「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

当ブログの内容は編集者個人の見解であり、「市民の会」の公式見解ではありません。当ブログへのリンク、記事内容の引用等はご自由に!

ブログを引っ越しました

従来記事を書いていたYahooブログが今年の12月15日を最後に閉鎖となるため、「開かれた市政をつくる市民の会-編集者ブログ」を、こちらの「はてなブログ」に引っ越しました。

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/P太拝

 

香港の現状が心配!

昨日、テレビニュースを見ていたら、以前どこかで見たような映像に出くわしました。以下、最初の二点は中国国営放送CCTVが公開した画像からの転用です。

(1)香港に交代進駐する中国の「人民解放軍」の隊列 (2019/08/29公表)

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(2)上に同じく香港へ進駐する人民解放軍の兵士、ロボットのように無表情

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(3)1940年、フランスのパリに進駐するナチスドイツ軍

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(4)同上
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(1)(2)の中国人民解放軍、および(3)(4)のナチスドイツ軍に共通するのは、暴力によって進駐先の人民を抑圧しようとする、国家が作り上げた非人間的ロボット集団こそが軍隊の本質に他ならないということです。

30年前の天安門事件を境に、中国の「人民解放軍」と称するものは既に「人民抑圧軍」へと変貌していたのですが、今回の香港に対する一連の恫喝で、あらためてその事実を再認識させられた次第です。

約100万人ものウイグル族強制収容所に拘禁していると言われる中国共産党政府。チベット内モンゴルでは既に民族固有の文化や宗教を抹殺、単なる従順さを要求する道徳教育にすぎず全く内容の無い「社会主義核心価値観」なるものをすべての中国国民に押し付けようとしている。

漢民族に限れば、経済発展が続いている間は、一応は具体性のないこの空虚なスローガンを受け入れたふりをするのかもしれないが、いったん経済が苦境となれば、一転して現王朝の打倒に走るのが中国四千年の歴史における無数の実例が教えるところ。現在の中国共産党王朝に対しても例外ではないでしょう。

仮に、今後中国軍が香港の武力制圧に踏み切ったとすれば、中国が欧米の経済制裁を受けるのは必至。トランプによる米国との貿易摩擦に加えてさらに経済制裁を受けることになれば、大陸中国内での共産党統治の悪化も当然予想されます。先の道のりは長いものの、この香港問題が中国共産党王朝終幕の幕開けになるのかもしれません。

1989年の天安門事件の後、欧米各国は一斉に中国との経済断交に踏み切りましたが、翌年の1990年に目先の経済的利益に目がくらんで西側諸国の中で真っ先に経済交流再開に踏み切ったのは我が日本でした。その結果、中国の民主化の芽を最終的に摘み取ってしまい、かつ鄧小平率いる共産党の支配体制を強化させたのは当時の海部内閣の責任と言ってよいでしょう。

トランプの腰ぎんちゃくを自認している現内閣が、今さら米国に反して独自に中国よりの判断をするとも思えませんが、日本政府としてはあくまで人権と民主主義の尊重という観点から中国政府に対処すべきでしょう。ウイグルチベット内モンゴルや国内反対派に対する中国政府の人権抑圧に対しては、日本政府は過去に一言も抗議していないようです。

EU諸国と歩調を合わせ、中国国内と香港の人権と民主主義の尊重を主張し続けていくことが日本の将来のためにも、「人権と民主主義を尊重する国」としての国際的な日本の信用を高めるうえでも、必要不可欠なことだろうと思います。


/P太拝

来年の夏、東京五輪で熱中症死者は激増?

 来年の7/24は東京五輪の開幕日。なんでこんな暑い時期にわざわざオリンピックをやるのか不思議に思っていたが、下の記事を読んでその理由がやっとわかった。これも例によって、アメリカの意向に忖度した結果だったのですね。アメリカにゴマをすった結果(死語か?)人命を軽視するというのは、沖縄の基地問題と一緒のことだったんだ。
 また、大会スポンサーに名を連ねているマスコミ業界全体が、開催時期への批判をタブー視していることもよく分かった。真夏の五輪開催を批判したら「非国民」呼ばわりされかねないらしい。


酷暑の東京五輪に選手たちからもブーイング続出! 新聞・テレビは五輪利権でPR一色、五輪批判がどんどんタブーに

 今年は、今月8/5までに全国で七万人を超える人が熱中症で救急搬送され、うち138人が既に死亡したとのこと。


 世界中から観客や報道陣を何百万人も集めてきて、真夏の東京の高湿酷暑の中にぶちこんだらクレームが殺到することだろう。到底、「おもてなし」どころではない。勝ちたい一心で限界を超えてしまった選手の中から死者が出る可能性も高い。

 その場合、誘致委員会の竹田元理事長(贈賄疑惑で既に辞任)、歴代の東京都知事、はては「おもてなし」のソフトイメージをばらまいた小泉進次郎夫人等々には何の責任もないのでしょうか?アメリカ人から熱中症による死者が出たら、たぶん裁判沙汰となることでしょうよ。

 オリンピック期間中の天災を心配する声もある。期間中に首都直下地震が発生したら五輪どころではなくなる。

/P太拝

プラスチックゴミによる環境汚染、既に我々の体内にも到達!

 今日は台風のおかげで多少気温が下がっている鳥取市ではあるものの、先月末の梅雨明け以来、昨日までの段階で、実に15日間連続で35℃超えの猛暑日が続いていました。今、地球が本当に壊れつつあるのではないでしょうか。あまりの暑さのためか、昨日はとうとう我が車のエアコンが故障してしまいました。まあ、しばらくは車を使わないことで、微かでも温暖化の歯止めになるかと思えば、そう腹も立たないのだが・・・。

 何しろ、世界最大の超大国のトップの座に、この温暖化の仕組みを理解する能力のない阿呆が座ってるのだからしょうがない。その阿呆に一切文句を言わぬどころか、一緒にゴルフをして喜んでいるタイコモチの腰ギンチャクが我が国のトップに座っていることについては、日本国民として情けないというほかはない。

 ただし、視点を変えてみれば、温暖化の仕組みを理解する能力に欠ける人間でも、親のコネでやっとこさ大学を入学・卒業できたと噂されている人間であっても、世渡り上手でさえあれば超大国や大国のトップにまで出世できるのである。このご両人、世間の凡人に対して出世意欲を鼓舞する稀有な存在であると言えないこともない。

 さて、以下、温暖化との直接関係はないが、最近話題になることの多い廃プラスチックによる環境汚染について取り上げてみたいと思います。まずは下の二枚の写真をご覧いただきたい。

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 二枚ともに、太平洋の真ん中にある、その大半が無人島のミッドウェイ諸島でOWSコアホウドリを撮影したものである。親鳥が餌と間違えてPETボトルのフタやライターなどのプラスチックごみを与えることでヒナが毎年大量に死んでいるが、島に漂着したライターの約半分は日本製とのこと。プラスチックごみの誤食や漁船の網に巻き込まれることで毎年推定150万羽以上の海鳥が死んでおり、この60年間で海鳥の個体数は実に約七割も減ったそうである。

 次の記事はタイのアオウミガメに関するもの。昨年、タイのある海岸に打ち上げられたアオウミガメの死骸を調査したところ、その死因の約半分はプラスチックの誤食によるものだったそうだ。


 さて、「鳥やカメがゴミでいくら死のうが、俺には関係ない」と思う方もいるのだろうが、我々人間にとっても無縁な話ではない。次の記事は、すでに我々人間も、食物や飲料を介して体内に微細化したプラスチックを取り込んでしまっていることを示している。なお、この記事中の「下に点線が引かれている部分」をクリックすると、水道水や食塩の中にどのくらいのマイクロプラスチックが含まれているかを知ることができる。


 たまたま本日公開なのだが、次の記事は、我々が空気からもマイクロプラスチックを自分の呼吸器内に取り込みつつあることを示唆している(ここにも某阿呆が登場)。


 このように既に人間の体内に取り込まれつつあるマイクロプラスチックなのだが、健康上どのような影響を与えるのかはまだ明確には分かっていない。しかし、過去約四十六億年の地球の歴史の中では全く存在していなかった物質が、地球の全生物史上で初めて生物の体内に入ってきているのだから、少なくとも、良い影響を与えることはありえないだろう。

 次の記事は、プラスチックに含まれている環境ホルモン乳がん精子減少を引き起こす可能性、また、発がん性があるDDTやPCBがマイクロプラスチックの表面に吸着されやすいことについて述べている。

 この記事では、日本の海のプラスチック汚染の度合いが世界平均よりも著しく高いことについても具体的に触れている。
 

 時間がたつほどにマイクロプラスチックはさらに粉砕されて微細化し、ますます体内に取り込まれやすくなるのだが、微細化して表面積が増えるのに比例して吸着する発がん物質も増加することは明らかだ。現在はその影響が目立たなくても、既にこれだけ大量に環境中に廃プラスチックが溜まってしまったのだから、将来、健康に対する負の影響が急速に指数的に増加する可能性も十分にあり得る。


 さて、この問題を調べているうちに、この廃プラスチック問題は地球温暖化問題と極めてよく似た経過をたどっていると感じるようになった。現在は、廃プラスチック問題の深刻さについて、専門家のかなりの割合が警鐘を鳴らし始めている段階なのだろう。

 地球温暖化問題が国際的に広く認識され始めたのは、今から約三十年前、1988年の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」設立の頃なのだろうが、この廃プラ問題はその数年前の1980年代初頭の段階に当たるのかもしれない(地球温暖化に関する動きの歴史 -wikipedia-)。

 地球温暖化問題は、我々世代を含む数世代が「より便利な生活と、より多くの収入」をひたすら近視眼的に追求した結果として生じさせてしまった次世代への負の遺産なのだが、この廃プラゴミ問題もそれに続く第二の負の遺産となりそうな予感がする (日本の場合には、さらに、次世代に先送りしつつある第三の負の遺産として、「返済できる見込みも立たず、その増加を止めることすらできない膨大な政府の負債」も挙げられると思う)。

 幸いなことに、目に見えない温暖化問題に比べれば現状がはっきりと目に見えることもあるためか、この廃プラ問題に対する世界各国の対策の立ち上げ方は、温暖化問題よりもはるかに迅速であると感じます。次回の記事では、引き続き、各国の廃プラ削減への取り組みの現状を紹介する予定です。

/P太拝

世界各国の幸福度指数

 最近読んだ記事の中で強く印象に残った記事がありました。以下紹介しておきましょう。


 南太平洋の島国フィジーで英語学校を経営している大阪出身の人が書いた記事です。一部を紹介します。

 「・・・・フィジーで暮らしてみて、驚いたことはたくさんあります。洋服は他人のものを勝手に借りて着ていくし、帰りの交通費を持っていなくてもどこへでも行きます。飲食店に行けば、注文したものとは別の料理が運ばれてくることも日常茶飯事です。仕事でミスをしても反省しないし、未来も考えません。「なんて非常識なんだ」と憤ったこともありました。なんでも共有し、適当に生き、今に集中して、つながりを大事にすること。この四つの習慣こそが、幸せの法則ではないかと思うようになりました。・・・」

 フィジーという国は今まで全然知らなかったが、次の記事の「2018年版世界幸福度調査」によると、最近四年間で三回も幸福度世界一になっているそうです。この記事も上の記事と同じ人が書いたものでした。

 
 「・・・フィジー人は「つながり」が非常に強い人たちだと感じています。つながりを強化しているのは、フィジー人の「依存力」(甘え上手)なのかもしれません。・・・」

 フィジーの一人当たりGDPは日本の十分の一程度にすぎませんが、こういう社会に暮らしていれば、「年金だけだと(自分が死ぬまでに)二千万円も足りない」などという不安とは無縁でしょう。「人に頼るのは恥」との意識の強い日本人ゆえの「引きこもり現象」も、フィジーでは到底ありそうもない話です。

 しかし、今の日本人にフィジー人のように生きろと言っても、なかなか難しいものがあります。生活が便利になるのに反比例して親戚や地域との関係はどんどんと薄れてしまいました。いざというときに頼りになるのは、「親戚よりも近くのコンビニ」というのが今の日本です。

 約50年前、岡林信康は自作の歌「俺らいちぬけた」の中で、「田舎のいやらしさは蜘蛛の巣のようで おせっかいのベタベタ息が詰まりそう・・」と歌い始め、砂漠のような街にも絶望して、「命あるものの流れに沿って 今夜街を出よう」と歌い終えていましたが、その後はどうなったでしょうか。多くの場合、我々は田舎にも本当には住みつけず、都会にもあきたらず、何だか同じところをグルグルと回っていただけのような気もします。

 ところで、上で紹介した「世界幸福度調査」はあくまで主観的なものであり、「とても幸せ、または幸せ」と感じる人の割合から「不幸、またはとても不幸」と感じる人の割合を引いた指数(%)で比較しています。フィジーの92という指数は驚異的な高さと言ってよいでしょう。18位の日本の54という数字もなかなかのもので、例えば、77-23=54というように7割以上の人が「とても幸せ、または幸せ」と感じていないとこういう結果には絶対にならない。皆さん、本当にそんなに満足しているのでしょうか?

 より客観的な経済力等を重視した、国連による「世界幸福度報告」も紹介しておきましょう。こちらの2016年の調査結果の一位はデンマーク。以下上位には北欧諸国がずらりと並んでおり、いわば常識的な予想通りの結果です。なお、フィジーはこの調査の対象外とのこと。

 
 この結果の中で日本は、2016年には総合で157か国中53位(年々低下傾向にあり、2019年にはさらに58位に低下)。2016年の日本の結果を項目別に見ると、「一人あたりGDP」26位、「社会的支援」24位、「健康寿命」3位、「人生選択の自由度」45位、「寛容さ」137位、「社会の非腐敗度」32位となっています。他の項目に比べて寛容さが著しく低い点が日本の特徴。最近のネット上での特定国関連ニュースに対するコメントの罵詈雑言ぶりを見ていると、この結果にうなずける点も多々あります。

 なお、アジア諸国の中で総合順位が高いのは、シンガポール22位、タイ33位、台湾35位等々。やはり、観光で人気の国が幸福度でも上位に来る傾向有り。

この調査で一位になったデンマークの暮らしについての記事です。

 
 高福祉高負担の元で、見栄をはらず、主な交通手段は自転車で贅沢とは無縁、実際に人と向き合ってのコミュニケーションを大切にする、流行に流されず自分の価値観を大事にする暮らし等々、将来の日本に参考になる点がたくさんあります。

 フィジーのような伝統社会が既に解体してしまった日本では、今さら明治以来の家父長制の家族構成に戻れるはずもなく、周囲とのコミュニケーションを回復させながら高福祉社会への転換と軟着陸を進めていく以外には道はないのでしょう。「そんな静かな生活はまっぴらご免!」という人は、混乱とエネルギーとが満ち溢れる新興国に行くとか、ニューヨークやシンガポールや香港(?)あたりに行って世界的に活躍していただければよいと思います。

 最後に、我が鳥取県の幸福度に関するデータも含んでいる記事を紹介しておきましょう。

 この記事の末尾に各都道府県別の幸福度ランキングが載っています。県民一人当たりの収入は全国最低レベルの鳥取県ですが、健康寿命や持ち家率、失業率などから見た「客観的幸福度」は最上位グループの12位以内に入っています。一方で「主観的幸福度」は最下位グループの37~47位。この差はいったい何なのでしょうね。
 「鳥取県民はもっと自分に自信を持ちなさい」と言っているデータなのではないでしょうか。

/P太拝
 

「れいわ新選組は、非正規の星か?」

 既に一週間も過ぎてしまいましたが、今回の参院選の結果を筆者なりにまとめておきたいと思います。7/21の投票日に色々な記事をあらためて見直してみたところでは、山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」に関するものが圧倒的であったと感じました。以下、関連する記事を何点か紹介しておきます。


「6年間、山本太郎ね、国会の中にいたんです。参議院最前列でその政治を見てきた、参加してきた。やられてきたことの数々は、はっきり言って皆さんを踏みつけることの連続です。皆さんを搾り取って踏みつけて、そこから得られた利益を、企業側に流していくことしかやってませんよ。」

 投票日前日の7/20にこの記事を投稿した相澤記者は、「この今までは無党派だったことが多い人たちが、実際に投票にいくのだろうか」と期待と懸念が半々の感想を述べている。投票結果から見れば、投票に行った人たちが相当数いたことは明らかだろう。

 「1年間で2万人くらい、ひと死んでるんですよね。自殺で。異常ですよ。戦争も紛争も起こってないのに。なんでこんな状況にされなアカンの? 生活安定していたらこんなことになる? 働き方にもっと余裕あったとしたら、こんなことになる? 自分がいていいんだ、自分が存在していいんだっていう世界になってたら、こんなことになる?」

 「名古屋市に住む50代男性は、20年ほど非正規の仕事を転々としてきました。いつクビを切られるかビクビクしながら働く毎日。派遣社員のときは、仕事がなくなると寮からも追い出されたそうです。山本氏の演説動画を見て涙し、5万円ほどしかない貯金の中から1万円を寄付しました。「僕に『生きててくれよ』と叫んでくれたのは、山本さんだけですから」と、男性は私の取材に話しました。」

 「左派ポピュリズムは、お金を持っている既得権益、エリート層の代弁者になっているリベラル層への不満の表れとして理解するのが適切だろう。山本は「持たざる私たち」「将来に不安を抱えている私たち」という枠組みを新たに政治に持ち込もうとしている。彼らには既成政党が捉え切れていない、どこにも属せない「こぼれ落ちた人」の代表という意味が付与される。」

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 無党派を自認している筆者ではあるが、かねてから、「働いている人の四割近くに達している非正規労働者の立場を代表する政党が、きわめて必要とされているのになぜ現れないのか?」と常々思っていた。今回の参院選で、山本太郎氏の率いる「れいわ新選組」がその候補として初めて登場したといってよいだろう。その意味では大変喜ばしい。

 ただし、先の記事でも述べたが、「さらなる新規国債発行で財源確保」という政策は到底受け入れがたい。そんな政策を大規模に始めたら、ある時点で外国勢は一斉に日本ヘの投資から手を引き、日本国債今以上に日銀以外の引き受けがなくなるだろう。

 その結果、円の国際信用度が下落、インフレが亢進しガソリンはリッター200円以上に?物価高が家計を襲うが、年金は額面通りにしか支給されない。円安に伴い名目的な政府税収は増える一方で、社会保障費の伸びを物価上昇よりも抑えれば政府の借金はどんどんと軽くなる。ハイパーインフレが、借金漬けの日本政府を結果的には救うことになる。

 そもそも、この「福祉目的でどんどん新規国債を発行すればよい」との山本氏の主張に近い、「日銀が輪転機を回して一万円札をどんどん刷れば日本は景気回復して繁栄する」という主張は、高橋洋一(銭湯での窃盗を認め書類送検)、三橋貴明(十代妻への再三のDVで逮捕)、山陰新幹線建設にご執心の藤井聰(京大土木出身で公共事業の積極推進派、今のところこれといった私的醜聞は無い)等々の「お寒い自称エコノミスト」の主張と同一である。「れいわ新選組」が現在主張している財源政策は現実には実行不可能であり、根本的な見直しが必要だろう。

 山本太郎氏は、今回は自身は落選したが、「次の衆院選では全国で百人を擁立する」と述べているそうである。財源政策面での大幅修正は必要と思うが、格差是正と多様性尊重の方向は間違っていないと感じる。大いに活躍していただきたい。

/P太拝

最低賃金を継続して引き上げなければならない理由

 先回の記事でとりあげたように、今回の参院選の争点の一つが最低賃金の大幅引き上げですが、まずは「最低賃金引き上げ論」の元祖ともいえるデービッド・アトキンソン氏による次の記事を一読していただきたい。同氏の提言は、単に格差是正だけにはとどまらず、最低賃金の引き上げという政策が、まさに日本の国の将来を左右する最重要政策に他ならないことを主張するものであると思います。

 刺激的なタイトルのこの記事は、日本商工会議所の反論に対する再反論として書かれたものらしく、いささか筆調が感情的になっている面があるものの、同氏の本来の主張は極めて論理的かつ客観的な内容です。以下、同氏の最新の著書である「日本人の勝算」の内容に沿ってその概要を説明していきましょう。

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(1)急速な人口減少の中でも、社会保障費は今後も維持し続けなければならない。そのためには生産性の向上が不可欠。

 国連のデータによれば、日本の人口は1億2775万人(2016年)から8674万人(2060年)へと、今後44年間で実に32.1%も減少すると予測されている。特に15~64才の生産年齢人口に限れば、7682万人(2015年)から4418万人(2060年)へと実に42.5%もの減少。一方、65才以上の高齢者は3395万人(2015年)から3464万人(2060年)へと2.0%の増加との予測である(高齢者数のピークは2040年の3868万人と予測、以上の予測はもともとは国立社会保障・人口問題研究所によるもの)。

 今後40年以上にわたり高齢者数は現在とあまり変わらないのだから、国全体の社会保障費は少なくとも現在と同じ水準を維持しなければならないし、超高齢者が増えるのでさらに医療費が増えることも確実だろう。しかし、働き手の数が四割以上と大幅に減るので、労働者一人当たりの付加価値(×労働者数=国のGDP)、いわゆる生産性を2060年には現在の1.74倍にしなければ (これは生産性を毎年約1.3%ずつ引き上げることに相当) 現在の日本のGDPは維持できない。

 GDPが減れば社会保障費も減らさざるを得ない。「人口が減少するのだからGDPが減るのはやむを得ない」との説もあるが、その人は「自分の年金や医療保険が減るのもしかたがない」と言っているに等しい。

(2)規模が小さい企業ほど生産性が低いのは世界共通の現象だが、日本では零細規模の企業が極めて多い。

 生産性と企業規模の間には明確な相関があり、企業の規模が大きいほど生産性は高くなる。下の図は各国の生産性と20人以下の企業に勤める人の割合を示すものであるが、日本ではこの割合が20.5%であるのに対して、生産性が日本の約1.4倍のアメリカでは11.1%に過ぎない。日本の生産性が先進国中最低ランクであるのは、零細企業が極めて多いことが影響している。

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 逆に規模の大きい企業が国内に増えれば、国全体の生産性も改善する。働く人が激減する日本で企業数が減るのは必然であるが、むしろこの機会に企業間の合併や吸収によって積極的に企業規模を大きくするように国が支援するべきである。すでにこの動きが進んでいるのが銀行業界であり、現在の業界トップの三菱UFJ銀行は、1990年には七社に分かれていたものが統合を繰り返して誕生した。

(3)生産性改善のために最も有効な政策は最低賃金の引き上げ。

 生産性と最低賃金の値との間に強い相関があることは、既に世界的に認められている。各国の生産性と最低賃金(購買力平価調整済)の相関を下に示す。日本は、生産性が同等レベルの国に比べて最低賃金が低いことは明らか。

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 最低賃金の継続的引き上げの実例としては、近年のイギリスの状況が挙げられる。1997年に労働党が保守党に代わって政権を握った結果、1999年に3.60ポンドであった最低賃金は年平均4.17%の率で継続して引き上げられ、2018年には7.83ポンドと、19年間で約2.2倍に上昇した。この結果、最近の約20年間では、先進国の中では、ほぼ唯一イギリスのみが賃金格差が縮小している。

 イギリスの保守党は(現在の日本の財界と同様に)、当初、「最低賃金を上げると失業率が悪化する」と猛反対したが、結果としてはこの間の失業率の悪化は認められなかった。さらに、生産性が向上した企業も以前よりも増加した。

 なお、韓国で2018年に実施された最低賃金引き上げが失敗に終わったのは、第一回目の引き上げ幅が16%と極端に大きかったことが原因と考えられる。小幅な最低賃金引き上げを継続的に繰り返すことによって、技術導入による生産性向上、業種転換、企業合併へと経営者を誘導することができ、その結果として国の経済の安定的な発展と格差是正を実現することができる。
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 以上が、アトキンソン氏の主張の概要です。日本が現在置かれている状況を踏まえての極めて客観的で実践的、かつ合理性のある提言であると思います。反論したい方は、客観的かつ信頼できるデータを提示した上で、反論していただければよいでしょう。

 上に紹介した最低賃金の話題以外にも、この本には、日本で女性の賃金が極端に低い理由、外国人観光誘致の戦略、技術が優れているはずの日本の生産性が長期にわたって低迷している原因など、読みどころが満載です。ぜひ一読をお勧めしたいと思います。この本に紹介されている多くのデータを踏まえたうえで日本の至る所で議論をすることが、将来に向けての課題のより有効な解決策への近道であるはず。

 先回の当ブログの記事では、「れいわ新選組」を立ち上げた山本太郎氏が「政府補償付きでの最低賃金1500円」を明日投票の参院選の公約に掲げていることを紹介しました。この「日本人の勝算」を読めば、最低賃金の引き上げは、それによって経営者層の危機意識を刺激し、彼らの意識変革を引き起こしてこそ初めて有効に機能するのだということが判ります。政府が経営者に補助金を出して最低賃金を上げさせるだけでは、経営者層の意識は何一つ変わらず、生産性が低い補助金漬けのゾンビ企業がさらにダラダラと延命するだけの結果となることは明らかです。山本氏には、公約を決める前にこの本を読んでほしかったとつくづく思うしだいです。

 さらに、この本の特徴は参考データが極めて豊富であるということ。そういう意味では、経済書は文系に属しているとふつうは考えがちだが、この本に限っては理系に属しているといった方が適当かもしれません。裏付けとするデータが多いほど、その主張の客観性と信頼性が高まるのは明らかです。日本人のエコノミストの中で、このようにデータを駆使しながら経済問題を解説できるのは、筆者の知る限りでは早大野口悠紀雄氏くらいではないでしょうか。ネット上で見かける自称エコノミストの中には、最初から最後まで根拠も示さずに自分の主観を一方的に述べるだけ、データを提示するとしても、自説に都合の良いところだけを切り取って部分的に見せるだけという人が数多くいるのです。こんな記事を読むのは時間のムダでしかないと思います。

 もう一つの感想は、アトキンソン氏に代表されるようなアングロサクソンは(実際の氏の出自民族は異なるのかもしれませんが・・)、日本人よりもはるかに精神的に強靭だということです。どこかで読んだことですが、同氏はこの本を書くために経済論文を二千本以上読んだとか。そのようにして情報を集めて客観性を十分吟味したうえで築いた大局観が、多少の批判やそこらでブレるはずもないのです。

 それに比べて我々日本人は、「将来に向けた大局観の構築よりも、自分が属するグループの目先の利益確保を」、国家公務員は「国益よりも省益を」、政治家は「国家百年の計よりも、次の選挙での自分自身の当選を」優先するという傾向に傾きがちです。典型的な例が、先の戦争開始前にはアメリカと戦っても到底勝ち目はないとのデータが山ほど積み重ねられていたのにも関わらず、目先の権力争いや自分の所属先のメンツのためにあの戦争を始めてしまった人たちです。

 最近の例としては、「年金だけでは死ぬまでの生活費が二千万円足りなくなる」という部下からの報告書の受け取りを拒否した、「俺が見たくないデータは、俺が見なければ無かったことになる」という精神年齢が小学生並みの副総理兼財務相がいましたね。野党にしても、国家の将来のグランドデザインをいつまで経っても一向に示すことができないままに、選挙向けに政府・与党の当面の失策の揚げ足取りに終始するばかりです。

 日本人の、特に政治家には、「アトキンソン氏の爪の垢でも煎じて飲んでほしい」とつくづく思う昨今です。

/P太拝

最低賃金が参院選の争点

 最近は期限に追われる仕事(?)が多く、しばらく更新していませんでした。

 気が付けば参院選も終盤、期日前投票に行くつもりだったが、まだ行けていません。地方区の投票先は決めたが比例区はどうしようかと思っていたら、今朝、次の記事を読みました。週刊新潮は基本的に嫌いだが、この記事はなかなか面白かった。


 閉塞した今の日本の政治を変えるためには、こういう人が必要かなと思いながら一読。続いて同会派の公約を調べてみた。

 この公約を読んでいて一番引っかかったのは、「財源は新規国債の発行で」という一項。現状でさえGDPの二倍を超えている国の借金をさらに膨らますというのはとんでもない話。1945年と同じことになる。

 南海トラフ地震や首都圏直下地震は、近いうちに必ずやってくる。他にも、既存原発が事故を再び起こさないとしても、有事の際に、(使用済み放射性燃料を貯蔵している休止中原発も含めて)原発を攻撃されたら(核ミサイルは不要、通常兵器やカミカゼ特攻機で十分)、近隣の数十万人か数百万人が自宅を捨てて逃げださなければならない。

 日本政府は、このような災害の際の復興資金は準備できているのか?人口減少が確実な日本に融資してくれる国はそう簡単には見つからないだろう。唯一の方策として考えられるのは、民間が保有している潤沢な資産(主に海外資産)を政府が強制的に搾り取るということだ(戦後の新円切り替えのように)。いずれにしても、これ以上、国の借金を増やすという政策は全く評価できない。過去の歴史に学んでいないということだ。

 ただし、最低賃金を引き上げるという政策に関しては、拡大しつつある格差を是正して社会の安心・安定を増すという点で評価できる。「れいわ新選組」の公約は全国一律に時給1500円(政府保証付き)である。各党の最低賃金に関する公約を調べてみた。


自民党  全国平均で1000円(期限なし)
公明党  全国平均1000円超(20年代前半)、都道府県の半数以上で1000円以上(20年代半ば)
立憲民主 1300円以上(5年以内)
国民民主 全国どこでも1000円以上(早期に)
共産   直ちに全国どこでも1000円、速やかに1500円を目指す。
社民   全国一律で1000円とし、1500円を目指す。
維新   公約に最低賃金の記載なし

 自民党は例によって実現時期を約束していない。公明党は実現時期を細かく定めているが、親分の自民党が期限を決めていないのだから、選挙に勝ってもこの公約は「絵にかいた餅」に終わるだろう。いずれにしても、財源が許す範囲内で政府補助もつけて、早急に大幅実施を図るべきである。

 政府の補助もいつまでもあてにはできないので、根本的に必要なのは先進国中最低ランクの生産性の向上である。最近の韓国に見るように、生産性の改善に裏付けられていない政策による賃上げ強制は、かえって混乱を大きくするだけのこと。最低賃金の問題については、筆者は「日本人の勝算」を著したデービット。アトキンソン氏の主張に共感するところ大である。次回では同氏の主張を紹介したい。

/P太拝

あそう、おまえ、今まで何してたんだ?

特にこれといった理由はないのですが、しばらく投稿していませんでした。そろそろ再開します。手始めに、今日読んだ記事のなかで、一番インパクトの強かった記事を紹介しましょう。


記事を紹介したあとでムナシクなるのは、生まれると同時に麻生財閥御曹司となることが決まっていたような人物に、御年78才の人物に、今さら何を言ってもムダだからです。「パンがないなら、なんでケーキを食わないんだ」とか言い出しかねません。今回の場合には、「俺は二百億円用意したぞ、なんで二千万円ぽっちが用意できないんだ」と言うのかもしれません。

庶民の苦労を知らない人物(現政権の中心にはもう一人ボンボンがいますが・・)に、国政のキーを預けた我々自身が悪いのです。

アベノミクスの六年間がもたらしたもの(2)

前回に続き、この六年間の安倍政権の経済政策の結果について。今回は実質賃金の低下がアベノミクスで加速しているとの記事の紹介です。


 経済コンサルタント:中原圭介氏が 東洋経済ONLINEで公表した記事です。以下、概要。
 
・景気拡大なのに実質賃金は下落の現実。
 過去の約20年間、日本の賃金は下がり続けているが、2013年以降、名目賃金の減り方よりも、実質賃金の減り方の方が大きくなった。これはアベノミクスで急激な円安になったために、食料・石油などの輸入品価格が大きく上がったことが原因である。物価上昇で大部分の消費者の低価格志向が一層強まった。

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・実質賃金が下がると個人消費も減少
 特に2014~2016の三年間連続で個人消費が減少したのは戦後初。

アベノミクスの恩恵を受けるのは国民の二割だけ
 富裕層と大企業に勤める人は日本国民の約二割。各種世論調査の結果でも「景気回復を実感している」人は二割前後、「実感していない」人は八割前後。約八割の国民がアベノミクスの蚊帳の外に置かれたまま。「景気が良い」とはしゃいでいるのは大企業の世界だけなのである。

・正確な統計がなくなってしまっては、国の未来はつくれない。
 厚労省の統計不正により、経済分析とそれに基づく将来予測ができなくなってしまった。

(2)感想

先回の野口教授の記事によると、日本の総就業者は6456万人とのこと。野口教授の3/28付の記事 https://diamond.jp/articles/-/198124?page=3  によると資本金10億円以上の大企業と資本金1億円以上の規模の大きい中企業の従業員数の合計は1472万人であり、総就業者の22.8%。資本金五千万円以上の中企業も含めると2035万人、総就業者の31.5%となる。大体は、この層あたりまでがアベノミクスの恩恵を受けた層と言ってよいだろう。もっとも、この中には、小企業から大企業に移動はしたものの、給料は小企業の時のままという人たちがかなり含まれているはずである。

 日本で働いている人の中の残りの約8割は、アベノミクスでよいことは何もなかった人達である。夫の実質的な給料が目減りしたのでパートに出るしかない主婦や、年金だけでは暮らしていけないので定年後もアルバイト等で働かざるを得ない高齢者(筆者もその中の一員)が典型例だろう。

 滑稽なのは、アベノミクスの恩恵を受けているのは国民の約二割でしかないのに、安倍内閣の支持率が常に四割から五割の範囲に高止まりしていることだ。自分の実質手取り額が減っているにもかかわらず安倍内閣を支持している、お人好しというほかはない人々が国民の約二割から三割を占めているということになる。

 若年層では、中高年世代よりも安倍内閣支持率が高いが、その主な理由は「就職率が改善したから」だそうである。今の人手不足現象は、団塊世代が一斉に引退したという単なる年齢構成の変化が主因であり、どの内閣が政権を担当しても、この傾向は変わらなかったはずである。

 それを「安倍内閣のおかげ」ととらえているのだから、若者世代は事実を正確に認識する能力にも欠ける更なるお人好しの集まりと評するほかはない。日本人は「従順な羊の群れ」と化しつつあるのではなかろうか。

/P太拝