「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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鳥取はすでに岡山の商圏? 頑張れ!鳥取商人!

 二年前の秋、それまで畑仕事に使っていた軽トラの調子がおかしくなってしまった。エンジンをかけて走り始めると、今までは感じなかった異音が気になる。走っているうちにエンジン音が高くなってくる。少し長時間走っていると、キンキンと耳障りな音がしてうるさい。既に十数年モノでもあり、そろそろ寿命かと思い売却することにした。


 最近はネット経由での中古車業者が主流になっていると聞いていたので、朝八時過ぎにネットで中古車買取業者を検索、トップで出てきた買取サイトに当方の条件を入力して送信した。すると、送信して数分後にはこちらの携帯に電話がかかってきた。「何と早い!」とびっくりしてしまった。二日後の土曜日に査定にきてもらうことにした。業者名を控えておいてネットで検索してみると、どうやら岡山市周辺の業者のようだ。この業者を仮にA社としよう。

 その日の夕方までに、さらに三社から連絡があった。順にB、C、D社としておこう。B社は岡山市、C社は鳥取市内、D社は米子市内の業者であった。BとCにも二日後にきてもらうことにしたが、Dは六日後でないと鳥取には行けないと言う。この時点でD社は既に脱落決定。

 ここまでの経過を見ると、とにかく早く電話をかけて来た業者が優位に立てるようだ。売り手としては、この後にどれだけの数の業者が買いたいと言ってくるかわからないので、最初に接触してきた業者をどうしても優先してしまう。査定の予定日は、最初の業者の都合と当方の日程をすり合わせて決めることになる。二番目以降の業者は、自社の予定にかかわらずその面会日に合わせることを求められることになるので不利である。売り手としても、何日もかけて業者を選定するのは時間がかかって面倒なので、筆者のようになるべく一日で決めてしまいたいと思うのではないだろうか。

 さて、三社が査定に来る土曜日。午前中、真っ先に来たのは岡山市のB社。年齢が二十台後半くらいのまだ「お兄さん」といった感じの青年営業マン。エンジンをかけて異音を実際に聞いてもらう。異音の原因はあまり把握できていないように見えたが、最初から金額を提示、「有利な見積もりだから早く決めてください」と熱心に説得される。「あと二社が来るので、見積もりが全部出てから決めます」と一応断る。

 午後になってから鳥取市内のC社が来訪。営業マンは三十代くらいの中堅社員という感じ。「異音がするのだが」と話すと、実際の音の確認もそこそこに、会社に電話をかけて誰かと相談をはじめた。結局、「会社に帰って相談してから後で連絡します」と言って、金額の提示もしないで帰ってしまった。

 最後、夕方になってやってきたのがA社。後で考えてみると、他社が見積もりを出した後でやってくるというのも一つの戦略である。何といっても「後出しジャンケン」の立場に立った方が有利だ。このA社の人は五十代前後か、「社員」というよりも「大将」と呼ぶほうが似つかわしいような、いかにも個人営業業者という感じ。既に車を二台積んだ中型の専用輸送車でやってきた。早速、異音を聞いてもらう。すぐに判定が出た。「ベアリングからの音で、エンジン自体は悪くない。修理にはあまり費用は掛からない」とのこと。金額もその場ですぐに出る。B社よりも若干高い。若干交渉してもう少し高い金額で妥結。お互いにいい取引だったようだ。

 四日後にA社に軽トラを正式に引き渡すことにして、少し話をする。岡山を拠点に、東は但馬から西は出雲市あたりまでを営業範囲としているとのこと。鳥取にも契約している修理拠点があるらしい。修理してから全国的な市場(ネット上か?)に情報を上げて売りさばくとのことだった。

 A社が帰ったあとでB社が電話をかけて来た。「もう決めました」と伝えると悔しそうな口調だったが、いくらで決まったかと聞いてきたので、素直に値段を答えておいた。営業としてはなかなか立派な態度である。今回がだめでも、最低限、市場の相場情報を手に入れたことになる。次回、同じようなケースに出会えば成約する可能性は高い。C社の営業マンもあとで電話をかけてきたが、「決めた」と聞くと、成約した値段も聞かずにあっさりと電話を切ってしまった。粘りが全く足りない。

 米子のD社に至っては、査定日の夕方に「決まったから、もう来なくていいです」と断りの電話をかけておいたのに、その四日後になってから「いま鳥取に来ました、これから伺います」と電話をかけて来る有様。論外というほかはない。商売をする以前に、まず社内の連絡体制をしっかりと立て直した方がよい。

 以上の経験から見えて来るのは、全て当たり前のことでしかないのだが、以下の点である。

・専門的かつ具体的な知識を持っているものが商売に勝つ。A社の知識力は圧倒的であった。

・知識が不十分でも、営業の粘りがあれば勝てる可能性もある。B社の熱意と市場情報を得ようとする姿勢は中々のものであった。

・岡山の二社に比べて、鳥取市のC社は、知識力、営業としての粘り、ともに圧倒的に劣っていた。このC社は他の分野では鳥取市内ではそこそこ名前が知られている中堅企業であり、中古車買い取りビジネスは新規参入のようだった。しかし、新規事業であればこそ、経験を積んだベテランを配置すべきだろう。社内に適任者がいなければ、自動車修理業界から人をスカウトするくらいでなければだめだ。本業の顧客つながりの範囲内で商売をすればよいと考えているのかもしれないが、中古車買い取り業界も相当厳しい業界のようであり、人と知識に対してある程度の初期投資をしなければ到底勝ち目はないだろう。
 
 振り返ってみると、過去数年間、日用品は大規模なDIYセンターでしか買ったことがない。筆者が日頃買いに行くのは、全国展開しているチェーン店二つと、津山市に拠点があり岡山、鳥取、兵庫に展開しているチェーン店一つだ。街の金物屋さんという業態はとっくの昔に絶滅してしまった。食品スーパーにしても、純粋な地元資本で鳥取市内に拠点がある系列は、JA系以外にはもはや一社しか残っていない。

 特に排外的な思想を持っているわけではないのだが、地元資本の店をなるべく選んで買い物をするように日頃から気をつけてはいる。自分が払ったカネが地域内に再投資されることなく外に流出するようでは、この地域がさらに貧しくなることは確実だからである。その意味では、筆者は「鳥取ナショナリスト」ならぬ、「鳥取リージョナリスト」とでも言うところか。

 ただ、上に紹介した中古車引き取り事例に関しては、あまりにも岡山の業者と地元業者との能力差が甚だしかった。こんなに対応が違っていては、県外業者を選択するのもやむを得ない。

 「頑張れ!鳥取商人!」

 ぼやぼやしていると、市内の商売は全て外部資本に乗っ取られてしまいますよ。

 二年前の小さな取引の話でしかないのだが、鳥取と岡山のビジネススキルの格差の大きさにあらためて驚かされた事例だったので、ここに紹介してみた次第。

/P太拝 

最近の香港情勢から見えるもの

 あいかわらず香港情勢が気になっている。11/24の区議選で民主派が圧勝してからは、中国側も次の一手に苦慮しているようだ。この二週間の間に読んだ香港関係の記事記事の中で、これは注目すべきと思ったものを以下に紹介します。 

① 「次の世代のために自分が銃弾を受け止める番 20歳女性」 

 最近、NEWSWEEK誌が二日に一回くらいの割合で香港市民の声を紹介しており、この記事はその一部。自由を守るため、普通選挙を勝ち取り民主主義を実現するために、死ぬ覚悟でデモに参加している人たちがたくさんいるのである。

 これを読んで改めて感じるのは、わが国の最近の選挙では、投票率が50%を切るのが普通になってしまったということだ。明治維新以来の約150年間、性別・収入にかかわらず成人国民全員が参加できる普通選挙の実現のために、どれくらいの血が流されたのだろうか。もちろん、最大の犠牲は、軍と民間合わせて約300万人以上が命を落とした先の戦争であると言ってよいだろう。それまで25才以上の男子だけに与えられていた選挙権が、敗戦からまだ二か月しかたっていない1945年10月には、20才以上の全ての男女に与えられることになったのである。

 ただ、心配なのは、今の我々の選挙権は、日本の再軍国化を防ぐため急速な民主化を意図した米国によって上から与えられたものであるということだ。日本国民が直接に民主化を求めて下から権力と戦ったために、300万人もの死者が出たわけではない。日本国民が権力に対してあまりにも従順であったがために、これだけの数の日本人が死ぬことになり、さらに周辺諸国では推定でその何倍もの死者が出たのである。
「第二次世界大戦の犠牲者(wikipedia)」

  もちろん、筆者には、「米国が押し付けた憲法と共に今の選挙制度を撤廃し、自主憲法と自主選挙制度の実現を!」などと叫ぶつもりは毛頭無いのだが、「容易に与えられたものは、また容易に失いやすい」ことを心配しているだけなのである。

 現在の日本の我々が「持っていて当然」とか、「投票に行くかどうかは、その日のお天気しだい」などと気軽に考えている選挙権だが、今の香港人と同様に行動した先人達が流した血の上に獲得されたものであることを、絶対に忘れてはならない。

 

② 「香港デモ魂は既に広東へ、習主席も恐れる革命の揺籃」

 区議選の前に出ていた日経新聞の記事。いくら中国政府が隠そうとしても、香港のデモの影響が隣接する広東省にも及び始めているとの内容。これは、例えば中国側の深圳市から香港の大学や企業に毎日通学・通勤している人がたくさんいるのだから当然の結果なのだが、この記事の中の以下の部分に注目したい。

 広東省出身のBさん、香港の大学に通っていて、この夏に友人と一緒にデモに一度参加した。故郷に里帰りしたら警察に呼び出されてデモ参加を追及され、ついには香港に帰れなくなってしまった。

 「・・・香港の街中に張り巡らされた監視カメラなどで個人が特定されていたという。中国のデジタル技術の進化もあって、百万人もの抗議デモの群衆の中からでも個人を特定できるらしい。マスクで顔を隠していたぐらいでは何の役にも立たない。・・・」

 この記事からわかるのは、香港の警察が集めた防犯カメラの情報が、そっくり中国本土の警察に渡されているということだ。かっては仕事で何十回も中国に通っていた筆者だが、最近の中国に行こうという気はもはや全く消え去ってしまった。全土に何億台ものカメラが張り巡らされて、つねに行動を監視されているような国には、到底足を踏み入れる気になれないのである。

 その点、香港や台湾はまだセーフだろうと思っていたが、香港も監視体制の点では既に大陸並みになりつつあるらしい。中国系文化圏を訪問する外国人が自分の個人情報を安心して守れる場所は、今や台湾だけになってしまったようだ。

 ③ 「香港区議選:中国共産党は親中派の勝利を確信していた(今はパニック)」

 これもNEWSWEEKの記事、同紙は香港に多くの記者を配置して熱心に報道しているようである。区議選の投票前、習近平政権は結果を極めて楽観的に考えていたとのこと。筆者はこれを読んで、1950年代末の「大躍進政策」を連想してしまった。

 このwikipediaの「概説」の中の記述の一部を以下に紹介しよう。大躍進時の現場指導者と中国政府が現在香港に配置している情報網、当時の毛沢東と今の習近平とが完全に重なって見えるのである。

 「・・・同政策に意見するものがいなくなるとともに、一層無理なノルマが課されるようになり、ノルマを達成できなかった現場指導者たちは水増しした成果を報告した。そして、その報告を受け取った毛沢東は、実態を把握しないまま更なる増産を命令するという悪循環に陥っていったのである。・・・」

 毛沢東は従来の政策を反省することもなく、更なる増産を指示。その結果、一説には七千万人とも言われる膨大な数の餓死者を出す大惨事となった。当時の中国の一般民衆のほとんどが無教育であり、上部の命令に無批判に従ったことがこの惨事に拍車をかけた。なお、この頃の中国社会の実状については、例えばユン・チアンが書いた「ワイルド・スワン」を読むことでリアルに知ることができる。

 大躍進政策の悲惨な結果を受けて、毛沢東は実権を失って半ば隠居状態となり、政権の実権は劉少奇と鄧小平を中心とする集団指導体制に移った。この失った権力の再奪取を狙った毛沢東が学生・労働者を扇動して始めたのが1966年からの文化大革命であり、さらに犠牲者数を増やすこととなった。

 従来から、例えば中国のGDPの異常に高い増加率については、各省の統計担当者が相当に水増ししているためだろうと噂されていた。以前、中国駐在が長い日本人に聞いてみたことがあるが、「物流データ等から見て、政府発表の増加率の半分くらいかな。6%と言っていたら2~3%位が本当なんじゃないか。」とのことだった。「上に政策あれば、下に対策あり」というのは中国ではよく聞く言葉だ。「下の対策」とは、この場合には、水増しデータや故意に楽観的な見通しの報告に他ならない。

 「ウソの報告が多いのは、中国だから・・」と笑ってばかりもいられない。太平洋戦争中には、日本軍現場指揮官の過大な戦果や楽観的な報告を信じた大本営が、現場では実行不可能な積極的な作戦計画を連発、結果的に軍の壊滅を速めた。ドイツでも、ヒットラーの叱責を恐れた現場指揮官が故意に楽観的な戦況報告ばかりをしていたらしい。

 権力トップの独裁が強まるほどに政権内ではウソの報告がまかり通るようになり、結果的には独裁制の急速な崩壊を招くという例は、国や地域を問わず、世界史上にあまたの実例を見ることができる。

 最近では「桜を見る会」問題に関する官房長官の説明で、事実関係のツジツマが合わずに答弁に詰まるシーンが再三見られるが、安倍内閣の内部でもウソの報告がまん延し始めていることの現れではなかろうか。まあ、トップ自らがウソをついていれば、下もそのマネをするのが当たり前なのだが・・・。

 さて、習近平は香港に対してこれからどう動くのだろうか。独裁者は自分にウソをついた部下には決して容赦しないものである。今回も区議選の終了後、香港担当部門のトップを即刻クビにしたとのこと。さらに部下への締め付けを強めることは間違いないだろうが、そのことでウソをつく部下がさらに多くなるという悪循環にはまり込みそうな気配である。

 今後、対香港と対党内でさらに厳しい姿勢を取ることになれば、習体制の崩壊は意外に早いのかもしれない。

/P太拝

ミニ学習会「福島のいまと私たちの未来」に参加しました

 11/30(土)に鳥取駅南の「県立人権ひろば21 ふらっと」で福島第一原発事故被災地の現状について報告する学習会があり、参加してみました。この学習会については、本ブログの11/14付の記事で既にご案内しています。

 新聞やテレビの報道を時々は見てはいましたが、3.11の被災地の生の声を直接聴くのは筆者にとって今回が初めての経験でした。以下、概要を報告します。

 

(1)第一部 「見えない化」のすすむ原発事故と被害の現状 

 国際環境NGO FoE Japan 理事 事務局長の 満田 夏花 さんによる講演です。当日配布された資料(PDF、全12ページ)もご覧ください。資料中の下線部や手書きの書き込みは筆者によるものです。講演時間が一時間弱と短かったので、この資料の全てについて説明されてはいません。この講演を聞いて重要だと思った点を以下に挙げておきます。

 

 ① 事故被災者は国から二重の差別を受けている

 次の表は、当日資料の2ページ目と3ページ目にある表を切り出したものです。1986年に現在のウクライナで発生したチェルノブイリ原発事故と、2011年に発生した福島第一原発事故における両国政府の被災者に対する対策の比較を示しています。

 

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  現在、ウクライナは隣国ロシアと東部国境付近で戦争状態にあり、一人あたりGDPは日本の五分の一程度、欧州最貧国のひとつと言われています。しかし、被災者に対する手当の充実度では、先進国を自称している日本とは雲泥の差があります。

 強制避難地区と認定されるための放射線被ばく許容量の上限値が、日本はウクライナの四倍もあります。福島では、避難指定地区の外で自宅にとどまることで、ウクライナでは当然避難すべきとされている放射線量の四倍近くを毎日被爆し続けていても、日本政府や福島県は「安全」とみなしているのです。さらに最近では、「年間20mSvを下回ったのだから、避難地区指定は解除し避難者への支援も打ち切ります。早く元の家に帰りなさい。」と行政が避難者に圧力をかけているのです。

 さらに、この日本の避難判定基準の想定被ばく量の年間20mSv(ミリシーベルト)は、日本では白血病の労災認定基準の四倍に相当します。実際に、福島第一で作業していた男性がこの基準を超えたために2016年に労災に認定されました。福島第一で労災患者が出ている一方で、その周辺に住んでいる一般住民、労災認定者よりもさらに大量に被ばくしていると推定される一般の住民の健康被害については十分に調査されているのでしょうか?一般住民には、職業人に必携の放射線量測定バッジすら供与されていないはずです。

「白血病の労災認定の考え方について」

 また、年間20mSvは放射線関係に従事する労働者の被爆限度上限の年間5mSvの四倍に相当します。放射線作業に無関係な一般公衆の許容限度は年間1mSvです。

 普通の福島県民が、なぜ、他の地域の住民の20倍近くもの被ばくを受け続けばならないのか?国は、なぜ、このように高い被爆限度基準を維持し続けるのか?

 自分たちには何の落ち度もないのに、福島第一の事故によって住む家を追われた上に、さらに白血病にかかる目安とされる放射線量の四倍近くの放射能を浴びさせられている被災者と、この状態を八年間以上も放置し続けてその責任を一向に取ろうとしない日本政府。まさに、「福島の被災者は国から二重に差別を受けている」と評するほかはありません。

 この講演を聞いているうちに、筆者には政府に対する怒りがムラムラとこみ上げてきました。大部分の避難者が避難指定が解除された地区に一向に帰ろうとしないのも、この高い放射線量を見れば全く当然のことなのです。

 ネット上では、「避難区域に指定されていない地区からの避難者を政府が支援するのは税金の無駄遣い」、「被災者は甘えすぎだ」、等々の大合唱が起こっているそうです。

 そう言っている人たちに強く問いたい。自分と家族が、白血病になっても不思議ではない量の放射能を24時間浴び続けながら、何年間も平気でその地に住み続けることができるものでしょうか?自分だったらどんな気持ちがするのか、一度想像してみてほしいと思います。

 事故時の風向き次第では、今後、浜岡や東海村で事故が起これば東京が、福井で起これば京阪神や名古屋が、福島と同じ状況になる可能性があるのです。「日本の原発は絶対に安全で二度と事故は起こさないだろうから、自分が原発事故で被爆することはありえない」というのは、既に単なる思い込みでしかない。当ブログの2017/3/19付の記事で筆者が既に指摘しているように、強い西風が吹いている時に韓国や中国の原発で事故が起これば、大量の放射性物質が東京までも届きかねない。

 さて、上の表に示すように、被災者に対する支援もウクライナに比べれば日本は全く不十分です。一例をあげれば、ウクライナでは、国の費用で被災者が国の費用で自宅以外の安全な地域に年に三週間の保養に行く権利が与えられているのに、日本では保養に対する国からの支援は全くなく、民間からの支援でごく少数の被災者しか保養に行けていない状況とのことです。こんなに被災者の人権を無視している状態で、はたして「日本は先進国」と世界に対して自慢できるでしょうか?

 

② 福島県内よりも太平洋上に流れた放射性物質の方がはるかに多かった。

 講演の冒頭で、事故時の放射性物質の流出状況のシミュレーションが示されました。(講演のあとで確認するべきでしたが、現時点ではまだシミュレーションの出典元を確認できていません。)これを見ると、流出方向の大半は東側の太平洋方面であり、流れが福島や関東地方の内陸側に向かったのは一時的でした。日本上空を偏西風が西から東に向かって絶えず流れていることを考えると、日本海側の新潟、福井、島根、佐賀の原発で事故が起こった場合には、福島第一の場合よりもはるかに多くの放射性物質が日本列島内に降下する可能性が高いと予想されます。その場合には、東京、名古屋、京阪神などの大都市も当然汚染されるでしょう。

 なお、事故発生時に空母等で現地支援に向かった米軍による「トモダチ作戦」の参加兵士の間では、ガン等の発生率が異常に上がっているとの報道もあります。米軍当局の公式発表では被ばくは微量としていますが、上に述べたように太平洋上の方が汚染度が高かったであろうことを考慮すると、実際に彼らが高度に被爆していた可能性も高いと思います。この件については、以下の三つの記事を紹介しておきます。

トモダチ作戦で被曝した米兵たちは、そして原子力空母は

3.11から8年 “トモダチ作戦”で被曝した米兵23人が癌に」 

脱原発の小泉純一郎氏にポンと1億円を寄付した意外な財界人とは?「トモダチ作戦」被爆の米兵支援金

 

③ 福島県内の子供の甲状腺ガン患者数は急激に増加中

 当日資料の6ページ以降には、福島県内の子供の甲状腺ガンの患者数が年を追うごとに増加していることが書かれています。当初は検査方法の問題だと切り捨てていた政府側の専門家も、増え続ける一方の患者数に、さすがに県内のガン患者発生数の異常な高さを認めざるを得なくなったとのことでした。

講演者の満田さんが所属しているFoE Japanの公式サイト中の中のページ「甲状腺がんと健康被害」の中から、関連する部分を抜き出して以下に示します。

 「国立がんセンターの統計によれば、日本全国の19歳以下の甲状腺がんの発生率は10万人中0.367人とされています。 現在、福島の子どもたちの甲状腺がんの率は、約30万人中100人以上で、この数十倍におよびます。・・・」

 今の状況は、ちょうど水俣病イタイイタイ病が社会問題になり始めた1960年代当時、政府と企業の意を汲んだ御用学者どもが「政府と企業の責任」を強硬に否定し続けた頃とそっくりです。歴史は繰り返すとはよく言ったものです。過去の多くの公害病訴訟で結局は患者側が勝訴したように、この甲状腺ガン多発問題や、上に述べた不当に高い被ばく量の避難基準等についても、司法的に国側には勝ち目はないのだから、早く全面的な被災者救済に踏み切るべきです。

 それをやろうとしないのは、来年夏のオリンピックが終わるまでは臭いものにフタをしておきたい、政治トップのメンツを守りたいというだけのことに過ぎないのでしょう。国民の健康を守ることよりも、インバウンド目当ての観光業界の金儲け優先、除染作業で下請け零細企業からピンハネしてぼろもうけしている大手ゼネコンの利益優先、今後も原発ビジネスにかかわり続けようとしている愚かしい各電力会社及び日立・東芝・三菱等の利益確保最優先というわけです。

 仮に福島と同じようなことが大阪や九州で起きていたら、血の気の多い(失礼!)住民によって暴動が発生、今頃は大阪府庁や福岡県庁が占拠されていたのではないでしょうか?おとなしい福島県民が相手だからこそ、相手を舐め切っている国と関連企業が、多くの問題を強硬に隠し通そうとしているのだと思います。

 他にも福島第一原発事故に関する問題点は山ほどありますが、詳しくは冒頭に紹介した当日資料、またはFoE Japanのサイトをご覧ください。

 なお、FoE Japanは会費と寄付によって運営されている「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」であり、同会への寄付は来年二月からの確定申告の税控除の対象となるとのこと。同会が設けている福島事故に限定した寄付サイトを以下に紹介しておきます。ご協力をお願いいたします。

東電・福島第一原発事故「見える化」プロジェクト

 自分の稼いだカネから取られる税金が、結局は原発維持のために使われてしまうよりも、原発廃止のための活動に使ってもらった方がはるかに次世代のためになるのは間違いないと思います。

 

(2)第二部 持続可能な環境・循環・共生の社会をつくるために

 福島県二本松市東和町有機農業を実践している菅野 正寿さんによる講演です。当日の資料(PDF、全2ページ)も参照してください。

 中山間地である東和町は、以前は養蚕が盛んでしたが、1980年代に中国から安い絹糸が輸入されるようになったために養蚕業が壊滅。以降は、1985年からの完熟トマトの栽培、最近では冬場のモチ加工、残っていた桑の木の葉のお茶加工、直販所経営参加、農家民宿などさまざまな仕事を行っているとのこと。二本松市と合併してからは過疎化が急速に進んだとのことで、この点は鳥取市と合併した周辺町村とよく似ています。

 3.11の際には、避難地区に指定された東隣りの浪江町から東和町に多くの人が避難してきたが、避難経路にあたる峠の向こう側の谷が高濃度に汚染されていたために、そこで被ばく量が増えた人が多かったとのこと。避難してきた人は、その後三~四回も引っ越しを繰り返し、その過程で福島県内では約2500人もの人が無くなってしまった。福島県内で津波でなくなった人の1600人よりも多い。3/23に農産物が出荷停止になったことでキャベツ農家の人が自殺、さらに畜産業者の人も自殺した。浪江町などの除染地区では、現在も農業を再開する見通しが立っていない。除染でゼネコンが儲けただけのことだった。

 現在でも森の中の汚染が続いているため、福島県内産の原木シイタケは全滅、野生のキノコなども出荷できない。ただし、畑や水田で栽培しているコメや野菜などは全数検査しているが、最近は出荷基準を超えるものは出ていない。

 この理由は、当初は汚染が土壌表面から5cm未満の所に集中していたが、深く耕うんするいわゆる「天地返し」によって植物が吸収する深さでの汚染濃度が減ったこと、土壌に堆肥などの有機物をたくさん入れることによって放射性セシウム有機物に吸着されて作物に吸収されにくくなったことなどによる。結局、昔から続けて来た農業技術が、汚染対策としては一番有効だった。

 現在、避難指定地区は、国と大企業によるロボットやドローン、トラクターの無人運転等の実験場と化している。それとは対照的に我々は、農家民宿に泊まりに来た人々や町外から招いた障碍者に農業を体験してもらいながら、「高齢者・障碍者と共に働く農業」を目指している。

 

(3)第三部 グループディスカッション

 筆者は残念ながら所用があり、参加せず会場から早退しました。後で参加者に様子を聞いておきたいと思います。

 なお、この集会の参加者は約30名。その中には元倉吉市長の長谷川稔氏の姿もありました。カネのニオイのする会合にしか出てこない自称政治家(その実質は職業としての政治家を選んだだけの単なる政治屋)が多い中で、県議を勇退されてもなお社会問題に関心を持ち続ける同氏の姿勢には敬服しました。

 

(4)参加しての感想

 最初に触れなければならないのは、筆者は福島の現状について今まで大いに誤解していたということです。新聞の見出しやテレビニュースの一部だけを見て、「避難指定が解除される地区も徐々に増え、復興は順調に進んでいるのだろう」と単純に思っていました。その考えは、上に挙げたように、福島とチェルノブイリの避難判断基準となる被爆許容上限値が四倍も違うという表を見たとたん、一気にひっくり返ってしまいました。

 筆者は理系の出身なので、大学生だった頃(40年以上前・・)には、「放射線防護に関する講義」を義務として受ける必要がありました。数学系を除けば、理系の大半の学生は実験などで放射性物質を扱う可能性があるため、現在でもこの講義は必修となっているのではないかと思います。

 当時教わったのは、「放射性物質を扱う職業人や学生は、年間被ばく量を500mrem(ミリレム)以下に抑えなければならない」ということでした。その後、単位系が国際的に統一されてレムの代わりにシーベルトが単位として使われるようになりました。500mremをシーベルトに換算すると5mSvになります。要するに、職業人の年間被ばく量の上限は40年以上前からずっと同一の値なのです。

 この講義で繰り返し注意されたことは、「放射性物質を扱うものは、絶対にこの年間被ばく上限量を越えないように、絶えず放射線測定値に注意しながら仕事を進めなければならない」ということでした。その上限値が、福島では普通に暮らしている一般住民に対して職業人の四倍に、他の地域の一般住民の二十倍に引き上げられ、その後現在に至るまで八年間以上も放置されたままなのです。「人権無視の言語同断な政策」という以外には言葉がありません。 

 講演でいただいた資料の確認のため、チェルノブイリでの年間被爆量上限値について、自分でも少し調べてみて次の資料を見つけました。

wikipediaの「シーベルト」の記載中の「基準」というところを見てください。チェルノブイリでは一年目の上限値が100mSv、二年目は30mSv、以降は年々切り下げられて、五年目には20mSv、六年目以降は5mSvで一定のままとの記載があります。

 一方、福島では一年目が20mSvとの記載です。この表の出所文献は2012年末に公開されているので、その後の福島の上限値を別の資料で調べました。その結果は、八年以上経過した現在でも20mSvのままでした。現在、日本政府は除染目標の20mSvを達成した自治体に対して、次々に「避難指定解除」を宣言し続けています。

環境省 除染情報サイト 除染の目標

 政府の公式サイトを見ると、たぶん意図的なのでしょうが、「年間20mSv」という値の記載を極力避けて「時間当たりの許容被爆上限値〇〇μSv」というような表現に変えている例が目立ちます。故意に、年間上限値に換算しづらいような数値に変えて公表しているのだと思います。役人が良く使う「姑息なゴマカシ」の典型的な手法です。

 次のサイトの「3.3 避難区域の再編」の所を見てもらった方が判りやすいでしょう。一部抜粋すると、「・・・避難指示解除準備区域は年間20mSv以下の地域に対して指定された。除染が終わった地域は順次解除され・・・」とあります。この解除宣言に素直に従って元の家に帰った人たちは、今後、年間20mSvに近い放射能を長年にわたって被爆し続ける可能性が高いのです。

福島第一原子力発電所事故の影響(wikipedia)」

 参考のために、下にチェルノブイリと福島の避難基準の経年比較を示しておきます。安倍政権になってからは、この基準は全く見直しがされていません。ウクライナで既に実施していることが、なぜこの日本ではできないのでしょうか?一般人に職業人の四倍もの放射能を浴びさせたまま放置し続けるのは、完全な人権侵害にほかなりません。

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 さて、この日本政府の方針は極めて危険と危ぶむ国連からは、昨年十月に下の記事に示すように、「全面的帰還時の目標を被災していない地域と同様に1mSv以下とするべき」との指摘が出されました。この指摘に対して、在ジュネーブの日本政府代表者は「風評被害の恐れを招く」と、日本にしては珍しく国連の指摘に対して猛烈な批判を加えたようです。たぶん、首相官邸から現地の政府代表者に対して直接の指示があったのではないでしょうか。

「子ども帰還見合わせ要請 国連報告者「年間1ミリシーベルト以下に」」

  実際に子供のガンも増えているし、もはや「風評被害」どころではなく「実際の被害」が出ているのは明白なのですが・・。

 当初の基準20mSvを決めたのは民主党政権ですが、事故の一年九か月後に政権を引きついだ安倍内閣になってからは、この年間被ばく量の上限値は全く変わっていません。せめて、チェルノブイ並みの5mSvに早急に変更すべきでしょう。

 国民の安全よりも、オリンピックのお祭り騒ぎと大企業の利益の拡大の方を重視する安倍内閣の本質が、こんなところにも明確に表れていると思います。この問題の重要性は、今話題の「桜を見る会」どころの話ではありません。我々国民、特に次世代を担う子供たちの命に直結する大問題なのです。 

 さて、最後に福島県、並びに東北地方への応援メッセージを、この場を借りて書いておきたいと思います。

 筆者の義理の姉は福島県の出身(避難指定地区外)です。また、こちらに帰ってくるまで住んでいた東京周辺で頻繁に付き合っていた友人・知人には東北出身者が数多くいました。この講演で菅野氏の福島なまりの説明を聞いているうちに、久しぶりに彼らのことを思い出しました。

 東北の人は山陰人に似て一般に地味でおとなしい傾向がありますが、彼らの心の中には何か大きな余裕のようなものがある、都会の出身者にはないものがあると常々感じていました。表面的には地味で控えめに見えるものの、心の底には楽天的なものが隠れているというか、自虐的なことも言う一方で、心のどこかにいつも青空を抱えているような人達だと思っていました。宮沢賢治の童話を読んでいて感じるユーモアや明るさと大いに共通するものがあると感じます。

 有史以来、東北地方は冷害や中央政府からの冷遇に耐え続けてきました。明治維新の際、薩長土肥からなる新政府は、「白河以北、一山百文」と言いはなって東北を侮蔑しました。そもそも、原発原発から出るゴミの処理場を東北地方に集中させたことも、3.11後の被災者への処遇を見ても、中央政府による新たな東北への差別の現れと捉えることができると思います。

 しかし、東北の人たちはどこまでも辛抱強いし、打たれ強い。故井上ひさし氏が書いた「吉里吉里人」にあるような「東北人による独立国家樹立」とまではいかないまでも、3.11にめげず、中央政府に頼らず自立した地方自治と経済の確立を目指して、これからも頑張っていただきたい。心の底からそう願っています。

/P太拝 

新刊書の紹介、「水道が危ない」

 先月末の10/30付で朝日選書より「水道が危ない」という新書が刊行されました。この本では、鳥取市が住民の反対を押し切って建設した巨大浄水場についても触れています。以下に概要を紹介します。

 著者の菊池明敏氏は、岩手県北上市に勤務の頃に全国に先駆けて上水道事業の周辺自治体との統合を先導された方とのこと。もう一人の著者の菅沼栄一郎氏からの紹介によれば、同氏は、「近くの花巻市紫波町に統合を持ちかけ、「水道の将来は厳しい」と説き、2014年に岩手中部水道企業団に統合。五浄水場を廃止し、将来の76億円の投資を削減、画期的な改革と注目された。」とあります。

 各章の項目名を以下に挙げておきます。この項目からだけでも、ある程度はその内容を推察できるでしょう。

第一章 「現代の水道 三つの顔」

 ・少人数で奮戦 簡易水道
 ・「水道水を飲もう 東京で動く」
 ・「漏水は全国各地で 北上市の水道管大漏水事故」

第二章 「水道の厳しい現状と持続に向けた方策」
 
第三章 「民営化より統合」先進地から

 ・ダウンサイジングのトップランナー 岩手中部の広域統合は今も進行中
 ・奈良県の「トップダウン」型水道改革
   新井正吾 奈良県知事インタビュー

第四章 「水余り」負の遺産

 ・胆沢ダム「建設仮協定」廃止の決断
 ・「一滴も使われなかった」ダムが三つ
 ・「水余り」がダム建設を中止に 最前線にいた二人

第五章 「おいしい水」って?

 ・「おいしい水」をつくる緩速濾過法を提唱
   鳥取市の「まぼろし住民投票
   片山善博 元鳥取県知事インタビュー

 

 第五章では、緩速濾過法の紹介に関連して、鳥取市の「浄水場建設をめぐる住民投票請求」が市議会によって否決されたことについても触れられています。当時活躍された元市議のお二人の写真も載っています。また、元知事(前知事では?)の片山善博氏も、鳥取市民の一人としてこの住民投票請求に署名されていたとのこと。このインタビューの中の、知事と巨大浄水場建設の必要性をまともに説明できない当時の市水道局幹部とのやり取りについては、なんとも笑うほかはありません。

 今後の水道事業の維持に不安を感じている方、さらに、今後の国・地方のインフラ維持に関心のある方には必読の書だと思います。

 なお、アマゾンや楽天を通じて通販で書籍を購入するのは大変便利ですが、あまりそればかりに頼っていると近い将来、街の本屋さんが全て無くなってしまいかねません。書店店頭で直接手に取って面白そうな本を探すという日常のあの楽しみを、我々自身の手で消してしまうことになりかねません。たまには書店店頭で購入、または購入予約されてみてはいかがでしょうか。鳥取市のことが載っているこの本は、まさに地元書店での購入がふさわしい本だと思います。

 また、書籍に限らず、地元で買い物をするということは、自分の地域内で循環するおカネの量がその分だけ増えることを意味しています。地域内の雇用は地域内を循環するおカネの量に比例するので、地域外での買い物が増えることで地域内雇用の縮小に拍車をかけることになります。人口減少を憂慮していると言いながら、その一方では通販でせっせと市外からモノを買っている生活を続けていては、自分の子供や孫の世代が職を求めて鳥取市外にさらに流出する結果を招くこととなるでしょう。この問題については、今後改めて記事にしたいと思っています。

/P太拝

香港区議選で民主派が圧勝!

 昨日の夜から今朝にかけて一番気になっていたニュースは、香港の区議選の結果についてであった。その結果は、既にご存知のように「民主派の圧勝!」であった。「よくやった! おめでとう!」と、もろ手を挙げて祝福したい心境である。

 参考までに圧勝の様子を伝える動画付きのニュースを紹介しておこう(数日中に消されてしまうとは思うけれど・・)。

「香港区議選 投票率は過去最高の71.2%」 日テレNEWS24

 この民主派完勝がもたらす今後の影響について間違いなく言えることは、このことで中国政府による香港への軍事的侵攻がますますやりにくくなったということだ。元々、香港は海外からの対中国投資の独占的窓口であった。現在でも中国への海外からの投資の約四割は香港経由とのことである。香港を軍事力で制圧した場合には欧米諸国からの中国への投資が止まることは明白であり、米国との貿易戦争で頭が痛い中国政府にとっては自分で自分の首をさらに絞めるようなものだ。

 これこそが、北京政府が国内のウイグル族チベット族等に対して行ってきた近年の暴力的制圧を未だに香港に対して実施できずにいる最大の理由なのである。もしも香港に経済的価値がなかったならば、とっくの昔に人民解放軍なり中国武装警察(国内治安を担当する人民解放軍の下部組織)が香港に進駐し、反抗する学生を容赦なく撃ち殺していただろう。

 公平かつ民主的に実施されたであろう今回の選挙結果を北京が国家暴力を用いて強圧的に否定した場合、欧米諸国が一斉に香港と中国への投資を中止することは確実である。常に人権問題よりも経済的利益を優先する傾向が明白な我が日本政府でさえも、その場合には、(天安門事件の直後とは異なって)さすがに欧米に同調しないわけにはいかないだろう。ちなみに、最近の中国が日本へのアプローチを強めている背景については、欧米に比べれば日本が「人権問題に対して極めて鈍感な国」とみなされていることがその理由の一端にあるのではないかと筆者は考えている。

 もう一点言えることは、これは別に中国と香港の関係に限ったことではないのだろうが、「一度、公正かつ自由な選挙制度を部分的にせよ手に入れた人々は、それを手放して再び独裁政権下に戻ることを強く拒否する」ということである。今回の香港の区議選の結果がそのことを明瞭に示している。

 現在の香港の選挙制度の元では、今回の区議選だけが自由かつ公平な選挙であると言える。中国による独裁政治に飲み込まれることを恐れた香港市民は、この区議選が自分の意思を表示して中国に飲み込まれることを阻止するための最後のチャンスと捉え、今までは政治に無関心であった市民までもが一斉に投票に向かったのだろう。今回の投票率が71.2%に達し前回の47%を大幅に上回ったという事実が、この見方を裏付けている。

 さて、この結果を北京政府がいつどのように報道するかに注目していたが、本日夕方になってから、ようやく中国のニュースサイト(百度新聞)が国営の新華社電を伝えた。(習近平政権になって以来、各メディアが独自に取材し独自の見解を発表することは完全に禁止されてしまった。どこのサイトを見ても、国内・国際政治に関しては、政府系メディアから供給された同一内容のニュースしか読むことができない。)

 その内容は以下のようにごく簡単なものであり、民主派が圧勝した選挙結果については一言も触れてはいない。(本日17h頃に上記ニュースサイトでこのニュースを確認したが、23hに再確認したら早くも消されていた。)

① 昨日、香港で区議選が実施され、18選挙区の452議席が全て決まった。

② 過去五か月間、香港の暴力分子と外国勢力が協力して香港の政治的分裂をあおり、経済と民生の発展、さらに選挙の実施を妨害した。

③ 選挙当日も暴力分子が愛国派(中国派)に対して騒動を仕掛けた。暴力を制止し秩序を回復することが、未だに香港の最も差し迫った課題である。

 政治的混乱は外国勢力の不当な干渉に原因があるとするのは、中国に限らずどこの国の政権でも使うおなじみの常套手段である。外から見れば、香港の経済と市民生活を混乱させた根本原因は、香港返還時に約束したはずの一国二制度を無視し民主主義を破壊しようとした習近平政権にあるのは明白なのだが・・。第一、自国民にまともな選挙に参加する権利すら保証していない国には、ちゃんと公正な選挙を行って自らの政治を決めようとしている地域を批判する資格などないはずだ。北京政府が香港の民主主義を圧迫することによって、逆に北京政府自身の大陸統治の正当性が疑われる事態になりつつあると言ってよいだろう。

 いずれにしても、香港の民主主義が習近平に押しつぶされることのないように、むしろこれをきっかけとして大陸中国独裁制が多少なりとも変化することを願いながら、引き続き香港情勢に関心を持ち続けたいと思っている。

 さて、筆者が香港問題に強い関心を持つのは、2012年までの約八年間、仕事で日本と中国を頻繁に行き来していたことが背景にある。一度過去のパスポートを調べたことがあるが、この間に三十数回も出張べースで日中間を往復していた。当初は日本と中国の違いばかりに目がいっていたが、「外観はよく似た民族同士なのに、なんでこんなに考え方が違うのか」という点に興味がわいて、過去の歴史も含めて色々と中国のことを調べるようになった。

 今や、好むと好まざるにかかわらず、中国の動向が我々日本人の生活にも大きく影響を及ぼす時代となった。少し前のことにはなるが、一介の技術屋が見た当時の中国社会の実状について、今後、時々は当ブログに書いていくようにしたい。経験したことを思い出しながら、今後中国がどの方向に向かうのかについて改めて考えてみたいと思っている。とかく日本人には敬遠されがちな現代中国ではあるが、その実情を知ってお互いの違いの背景をあらかじめ理解しておくことは、将来、何かの役には立つのではないだろうか。

/P太拝 

「湖山池遊覧船、再開先延ばし報道」について(続き)

 先の11/11付の記事で「湖山池遊覧船再開先延ばし」について触れましたが、その内容の一部について補足しておきます。

 先の記事では、市の公式サイト中の「湖山池遊覧船情報!!」のページの更新日が2019年11月1日付になっており、二年前に休止したはずの遊覧船が現在も運航中であるかのような市公式情報になっていることの不備を指摘しました。

 さて、この記事をアップして二日後の11/13の早朝に市のサイトを再確認してみたら、このページの更新日が2015年8月17日に変更されていました。11/11~11/12のうちに市の担当者が更新日を書き換えていたようです。したがって、先の当ブログ11/11付の記事を読み、そこからリンクを張っている市のページも読まれた方の大部分には筆者の批判の意図がうまく伝わらないことになっていたようです。

 今日現在もこの更新日は2015年8月17日のままです。はっきりと覚えてはいないが、このころにこの遊覧船事業が開始されたようです。念のために、本日時点での市のページをコピーして別のところに保存してリンクを張っておきます。このページもそのうちに書き換えられるか、消されてしまうでしょうから。

「2019年11月24日時点で保存した「湖山池遊覧船情報!!」のページ」

(11/11時点でもこうしておけばよかったです。指摘後、1~2日ですぐに書き換えられるとは全く予想もしていなかった。)

 

 以上の顛末で判ったことは以下のことです。

(1)当ブログの内容は、市職員によってほぼ毎日チェックされていること。

 (まことに光栄です!!閲覧ありがとうございます。当ブログへの訪問者のかなりの部分が、既に市職員の皆さんなのかもしれません。)

(2)このページの担当者が更新日を2015年時点に書き換えたのは、「遊覧船運航開始時に公開したページを、運航休止時に消すことを忘れてそのままにしていた」ことを装いたかったためである疑いが濃厚です。更新後が今年の11/1まで更新され続けていたのは、単に自動更新されていただけなのか、それとも担当者が意図して更新していたのかは、以上の事実からはよくわかりません。

(3)「遊覧船は現在も運航中」との間違った情報は、即刻消去するか訂正するのが市職員としての正しい行動であるはずなのに、この担当者は「単なるページの消し忘れ」で済まそうとしている。鳥取市民や市外からの観光客へのサービス提供よりも、自分自身を守るための言い訳用の証拠づくりを優先したのである。

 以上の中では、(3)が最も深刻な問題点です。遊覧船の休止を既に知っている市民の多くは別としても、市の公式サイト中のこのページを見て興味を抱いて市外から遊覧船に乗りにやってきたお客さんが、がっかりして鳥取市に悪印象を持って帰ることは確実です。「市民サービスよりも自己保身を最優先」というわけです。

 今後のために、改めて本日時点での市公式サイトのページにリンクを張って下に示しておきます。この内容がいつまでも上に保存したページと変わらないようであれば、それに比例する「担当者及びその所属部署のツラの皮の厚さ」がわかるわけです。なお、この遊覧船事業の担当部署ですが、このページの上部には「都市整備部 都市環境課」と出ています。

「湖山池遊覧船情報!!」

 このような例はごく一部の例外に過ぎず、鳥取市職員の大部分の方については、市民サービス最優先で働いていると信じたいものです。

 

 さて、この遊覧船事業の中身についても少し触れておきましょう。再開のための事業費二千万円の中身ですが、市の公式サイトを探したら、既に二月議会に上程する今年度予算の段階で計上されていました。事業名は「湖山池周遊観光促進事業費」、費用担当部署は都市整備部ではなくて、「経済観光部 観光戦略課」となっています。下記の市サイトのページの 「事業別概要(一般予算)」→「経済観光部」と進んでPDFファイルを開き、ページ下の表示がP128の所にこの事業費の内容が出ています。

「平成31年度当初予算(案)」

 これを見て感じたのは以下の点です。

・事業費二千万円の大半が船着き場の整備等に使用される予定だが、あいもかわらずハード面の整備だけに重点をおいていていいのか?お客さんは船着き場が見たくて来るわけではない。

鳥取市民から見れば、「湖山長者の話」を聞きながら単にボートで池を一周するだけのことに千円も払うのは、「高い」と感じる人が大半だろうと思う。少なくとも解説の内容が「もう一度聞きたい」というレベル、一見客だけをあてにするのではなくてリピーターが増えるようなレベルにならなければ、再失敗することは確実だろう。

・二年前に休止するまでの遊覧船の評判はどうだったのだろうか。乗客からアンケートを取って顧客対応を改善する等の営業努力はしたのだろうか。市民の税金を投入する以上、市には、再開後に事業が成功する見通しについて市民に対して細かく説明する義務があるはずだ。

 先週の日曜日に近くを通ったので、予定されていると思われる船着き場の一部を見てきました。下に写真を示しておきます。

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 場所は、西桂見のトイレのある公園から歩いて北に150m?くらいのところ。コンクリート部分は幅8m、長さ9mくらいで小さな漁船くらいしか入れないようです。本当に再開するのであれば整備は必要でしょうが、例によってハード整備に無駄におカネを費やしただけで終わることのないように、事業の成功のために内容の十分な検討が必要と思います。

 また、現在は地元との合意が得られず工事に着手できないとのこと。具体的な内容については差し控えますが、その背景には最近の一連の湖山池政策に対する地元の不信感の増加があるように思います。この不信感を放置したまま事業を強行してもうまくいくはずもなく、まずは不信感の原因を取り除くことの方が優先されるべきでしょう。

/P太拝

ラグビー、再発見!(4)

 11/3(日)のラグビーW杯決勝からもう二週間も経ったが、未だにラグビーロスから脱し切れていない。週末にラグビーの試合を見なければ、その週が終わらない感じがしてしょうがない。

 それにしても、決勝での南アフリカの快勝は全く意外でした。準決勝でのニュージーランドに対するイングランドの完勝を見れば、決勝でもイングランドの優位は間違いないと誰しも予想したことでしょう。結局は、フォワードの力をいかにして維持し続けるかがカギだったらしい。

 準決勝に全力を使い果たしたイングランドと、ローテーションを組んで強力フォワードの威力を維持し続けた南アは実に対照的でした。決勝でのイングランドフォワードは、準々決勝での日本よりもさらに南アに押し込まれていて、苦し紛れの反則→ペナルティキック→三点献上の悪循環に陥っていました。今回の南アの優勝が、南ア国内の人種間の対立と格差の解消のきっかけになればよいと願っています。

 今回の健闘で15人制ラグビーの国内試合のテレビ中継もこれから増えてくるのでしょうが、さらにお勧めしたいのは以前にも触れた7人制ラグビーです。15人制と違ってバックスが走り回る試合展開であり、逆転に次ぐ逆転で、いったん見始めたら試合が終わるまで目が離せない。日本は来年の東京五輪に開催国枠で男女ともにすでに出場が決まっていますが、男子では今回の15人制で活躍した福岡、レメキ両選手に加えて、松島選手とリーチ主将も参戦する可能性があるとか。メダル獲得の可能性もあり、是非観戦していただきたいと思います。最近読んだ七人制ラグビーの記事を以下に紹介しておきます。

東京五輪で選ばれる選手は? ラグビー日本代表は再び旋風を起こせるか

  話はまったく変わりますが、ラグビーW杯が終了して四日後の11/7、WBSSバンタム級王者決定戦、井上尚弥 対 ドネア戦をテレビで観戦しました。筆者はサッカーの日本代表戦とボクシングの日本選手の世界タイトルマッチについては、可能な限り見るようにしています。以前よく見ていた野球は、投手と打者間の対戦の間の長さ、緊張感が続かないことなどが嫌になって、最近はほとんど見なくなってしまいました。

 さて、井上対ドネア戦、史上まれに見るほどの素晴らしい試合内容であり、終了後に両者が抱き合って健闘を称えあう姿にも感動しました。しかしこの対戦中、両者が血を流しながら殴り合う姿に「なんでここまで殴り合わなければならないのか」と自分でも意外にも感じてしまいました。さらに、席から立ち上がって「もっと殴れ、ぶちかませ!」と怒号していた観衆に対しては、はっきりと嫌悪感を感じてしまいました。これらの感覚は、筆者自身、数か月前まではボクシングの試合を見ていて感じることのなかった種類のものでした。以前には筆者自身も、テレビの前で「そこだ、もっとやれ!」などと叫んでいたはずなのです。

 後で「なんでこんな感じがしたんだろう」と考えてみました。どうやら、一か月半にわたってラグビーW杯を観戦しているうちに、自分の感性がラグビーを基準として、そこから他のスポーツを眺めるようになってしまったらしいのです。

 考えてみれば、一口に「暴力的スポーツ」と言っても、ラグビーとボクシングではその質が違います。過去に筆者が書いたラグビー関連記事で使った「暴力的」という言葉は、「ボール争奪に伴う過度な肉体的接触」とでも言い換えられるべきであったようです。過去の「暴力的」という表現を訂正します。ラグビーでは、相手の肉体に対する直接攻撃は直ちに反則となります。

 対してボクシングは、選手には失礼な言い方になりますが、真に「暴力的」なスポーツ、「自分のこぶしを使って相手の肉体を直接攻撃することにより、深刻なダメージを与えて行動不能にする」ことを目的とするスポーツです。レフェリーが立ち会い一定のルールを課すことでスポーツとしてかろうじて成立はしているものの、レフェリーがいなくなれば、夜の盛り場で見かける殴り合いのケンカと何ら変わりがなくなってしまいます。

 おそらく筆者は、ボクシングの激しい殴り合いを見ているうちに、「これはやり過ぎだ、何らかの歯止めが必要だ」と感じてしまったのでしょう。無意識のうちにボクシングとラグビーを比較してしまっていたようです。見ているだけの人間の意識にもこれだけの影響を与えるのだから、厳しいルールのもとでプレーしている選手自身は、より一層、自分自身の攻撃性をコントロールすることが上手になるのではないでしょうか。

 「ラグビーをやることで協調性が養われる」、「企業経営者にはラグビー経験者が多い」等々、ラグビーの持つポジティブな効果についての記事は、最近では紹介しきれないほどに世間にあふれています。ラグビーほどではないにしても、集団で行うスポーツの教育的効果は著しいものがあります。即ち、「協調性が高まる」、「相手の立場を尊重する」、「お互いで決めたルールを厳守する」、「目立たない地道な仕事でも、仲間のために進んで取り組む」等々。国と国との関係も、スポーツの試合と同様にルールに従ってやっていけば、くだらない戦争などはなくなってしまうでしょう。「ノーサイド」の精神が地球全体に広まれば、本当に戦争がなくせるのかもしれません。

 こんなことを考えているうちに、ちょっとしたアイデアを思いつきました。日本は過去には「政府開発援助(ODA)」で、開発途上国の道路や橋などインフラ面の整備に巨額の資金を提供してきました。日本の最大の援助先は中国でしたが、今や中国自らアフリカ諸国どころか、中東や東欧諸国に対してもインフラ整備を積極的に進める時代となっています。これからの日本は、ハード面よりもむしろソフト面の援助、発展途上国の人材育成への援助に軸足を移した方が良い。その人材育成の中心となるのが各種スポーツの指導者育成です。

・現在、発展途上国のへのソフト面の支援は主に青年海外協力隊(JICA)が 担っているが、隊員の赴任期間はわずか二年間、金銭的待遇も決して恵まれてはいない(物価の安い発展途上国への派遣ということで、大半が年収100万円台のようだ)。結果的に素人に近いレベルのスポーツ経験者しか派遣されていないのが実態らしい。

・新しいスポーツ指導者育成事業では、発展途上国に派遣される日本人の資格としては、派遣先のそのスポーツ界全体の指導も可能な技術レベルにあること、日本にそのスポーツのプロ業界があればその出身者であることが望ましい。もちろん、人格的にも尊敬に値する人物でなければならない。待遇は最低でも年収一千万円以上とする。 

 国が関与してはいないが、昨年のサッカーW杯の西野監督が現在はタイ代表の監督を引き受けていることに見るように、日本のサッカー界はこの面では先進的であるといってよい。

・日本人指導者の派遣のみでなく、発展途上国から将来のスポーツ指導者となるべき候補者も積極的に受け入れる。スポーツの習得と共に日本の大学への留学を兼ねていてもよい。対象者が日本に滞在している間は、「奨スポーツ金」とでもいうか、十分な額の金銭的援助を対象者に対して行う。

・自国のスポーツの発展、特にサッカーのような人気スポーツの発展を積極的に手助けしてくれる外国を、その国の国民が嫌いになるはずはない。先進国では中間層の没落が進行しつつあるが、発展途上国の中間層は今後も急速に増え続けることは間違いない。衣食住に余裕ができた中間層が次に求めるのは、健康とスポーツなどの娯楽である。日本の対外的信頼度をさらに高めるためにも、スポーツ面での海外援助は必要不可欠。

・世界の平和と環境保全に積極的に貢献して多くの国から信頼を得ている国を、特定国がたいした理由もなしに一方的に攻撃に踏み切ることは困難だろう。スイスや北欧諸国のような国に対して、どの国があえて侵略しようとするかを考えてみてほしい。他国のスポーツへの援助によって日本の国際的な信頼度が高まるのであれば、そのための費用は「間接的な防衛費」に相当すると言ってもよいだろう。

 トランプ大統領が日本に執拗に売り込もうとしているF-35戦闘機は一機あたりの価格が100億円程度らしい。国がプロスポーツからの引退者を指導者として海外派遣するとして、一人あたりの人件費と経費の合計を約2000万円と仮定する。F-35購入を一機減らすことで、熟達したスポーツ指導者100人を五年間にわたって世界各国に派遣することができるのである。

 権力者の見栄の張り合いの象徴にすぎない戦闘機と、「世界の多くの人々の楽しみと健康増進につながるスポーツ振興」兼「引退したプロ選手の職場確保」と、税金の使い方としてどちらの方が重要かを、よく考えてみていただきたい。

/P太拝 

11/30に「「食べる」と自然と共生する生き方」に関する催しが開催されます

 

 昨日の案内に加えて、もう一つのイベントの紹介です。

 11/30当日の17hまで県立人権広場で開催される「福島のいまと私たちの未来」の後を受けて、18hから鳥取駅前のサンロード内で「「食べる」と自然と共生する生き方を恵みを味わいながら語り合う」という催しが開催されます。主催は「市民エネルギーとっとり」です。

 講師のうちのお一人は、「福島のいま・・・」でも講師を務められた菅野さんが場所を変えて再び登場されます。もう一人の講師の吉永さんは鳥取環境大を卒業後に鳥取市内で新規就農され、現在は有機農業に熱心に取り組んでおられます。当日は吉永農園産のお米と三朝町で捕れたイノシシ鍋も提供されるとのこと。

 

日時:2019年11月30日(土) 18h~20h半

場所:鳥取駅北口サンロード内水越屋五階

参加費:500円 (食材準備のため、事前にtel:070-5554-5813に申し込みをお願いしますとのこと。) 

 

 詳しくは下記のパンフを見てください。(クリックするとPDFファイルが開きます)

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/P太拝

11/30に学習会「福島のいまと私たちの未来」が開催されます

 東日本大震災福島第一原発事故が起こってから来春で早くも九年目を迎えます。最近は原発事故被災地等に関する報道もめっきりと減って来ましたが、現地の実状はどうなっているのでしょうか?「事故後に子供の甲状腺異常・がんが激増」との情報も漏れ聞こえてきますが、既存のマスコミがこの話題を大きく取り上げることはほとんどないようです。

 11/30に鳥取駅南口で、「えねみら・とっとり (原発のないエネルギーの未来を考える会)」と「県人権文化センター」の共催でミニ学習会「福島のいまと私たちの未来」が開催されます。

 事故後、福島の現地で被害者の権利保護と政策提言や、農業による生活再建に取り組んでおられるお二人からの生の声を聞くことができる貴重な機会です。被災地の現状や原発事故被害の実状に関心のある方は是非ご参加ください。

 

日時:201年11月30日(土) 14h~17h

場所:鳥取県立人権ひろば21「ふらっと」 (周辺地図  鳥取駅南口より約300m、県民ふれあい会館となり)

参加費:無料

 

詳しくは、下記のパンフレットをご一読ください。(クリックするとPDFファイルが開きます。)

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/P太拝

湖山池遊覧船、先週末に再開先延ばしの報道があったのに、市のサイトを見ると今でも営業中?

 先週末の夕方のNHKローカルニュースで、二年前に休業した湖山池遊覧船(当ブログでも報告済)の再開が延期との報道がありました。市は今年度に二千万円をかけて船着き場を整備中とか。

「湖山池遊覧船の再開先延ばし」

 なお、この実際のニュース映像付きのNHKサイトの記事は一週間程度で消されるらしいので、以下、文字内容の一部を抜粋しておきましょう。

「・・・池としては日本一の広さを誇る鳥取市の「湖山池」を周遊する遊覧船は、5年前に運航が始まりましたが、利用者の低迷などを受けておととしから休止しています。
鳥取市は、・・・今年度、およそ2000万円をかけて船着き場の整備などに取り組んでいます。
当初は、ことし秋までに池の東側に面した公園などに、新たな船着き場や券売所を整備する予定でしたが、場所の選定や周辺住民への説明などに時間がかかり、工事はまだ始まっていません。
さらに運航開始にあたっては、工事の終了後、国の認可を受ける必要があることから、鳥取市が目指していた来年春までの運航再開は難しく、予定の先延ばしは避けられない見通しです。・・・」
 

 おお!、客の不入りで廃止したと思ったのに、メゲずにまたやるつもりなのか!しかし、市のサイトで関連情報を調べたら、市の公式サイトには、以下のように今月一日付の記事で「就航しました」とある。

湖山池遊覧船情報!!「池」と付く湖沼の中で、日本最大の広さを誇る「湖山池」に遊覧船が就航しました。」 

 いったい、どっちが本当なのか?過去の経験から判断すると、NHKよりも鳥取市の方がはるかにガセネタを発信する確率が高いので、たぶんNHKが正しいのでしょう。 

 鳥取市の記事が間違いだとしたら、今月初めに就航の予定で公式サイトにアップしたが、何らかの理由でその予定がつぶれたということだろうか?予定が変更になっても担当者の怠慢で記事をそのままに放置していた可能性が考えられる。それとも、このサイトは二年以上前からずっとこのままで、単に日付だけが自動的に現在時点にアップデートされ続けていただけなのかもしれない。担当者の怠慢も二年越しというところか。

 ところで、このサイトには、「運航期間:3月中旬~11月中旬」とある。今月中旬に営業終了する予定なのに、半月前にわざわざ開業するか?これから考えると、実際には営業していないのに、二年間もこのサイトを公開し続けていた可能性が極めて高い。だとしたら、「鳥取市は観光に力を入れます」と言っておきながら、実にいいかげんな仕事ぶりである。このサイトを見て遊覧船に乗りに現地まで行った観光客は、必ずや鳥取市に対する強烈な不信感を抱くようになるだろう。まさに、現在の鳥取市職員の怠惰ぶりの深刻さを示す一例と言ってよい。

 ちなみに以前に観光船を運航させていた業者のサイトを見ると、この中には湖山池遊覧船のコースの紹介は全くない。

 さて、市からの今年度の予算二千万円の税金は一体どこに使われるのだろうか?業者への補助金か?業者が金額に難色を示しているのか?それとも、新たな船着き場の建設だろうか?NHK報道では船着き場を新たに東側につくるとしていたが、それが本当ならば候補地は桂見の公園周辺しかない。

 近いうちに現地に行って、新しい船着き場なるものがあれば撮影してくる予定。

/P太拝