「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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コロナウィルス、これから世界はどうなる?

 また、新型コロナウィルスの話題です。少なくともこれから一年、二年程度はこの問題が我々の生活に影響を与えることは確実と思われるので、関連記事を見ると読まずにはいられない。

 今朝読んだ記事が現状をかなり的確にとらえていると思われるので、以下に紹介しておきます。この記事を書いた真野先生は医師で経済にも詳しいとのことなので、この問題の分析には最も適任でしょう。

非常事態宣言…コロナ感染で「弱点」をつかれた米国と日本の大きな違い

以下、内容の要約。

・医療制度の不備は米国の最も弱い点であり、今回の事態はその弱点を直撃した。

・利下げなどの金融政策で対処することにより、感染が蔓延しても実態経済はあまり落ち込まない可能性もありうる。(かなり楽観的な見方であるが、今朝の時点でFRBが早くも最大限の利下げを断行したにも関わらず、米国市場は拒否反応を示した。「これで手持ちの弾をすべて打ち尽くしてしまった」との見方が支配的とのこと。金融政策では経済は救えないことが明らかになりつつある。米国経済は今後の感染のまん延に比例して急降下することになりそう。)

・欧州は人の移動が激しいこともあり既にまん延中、中国は他国には真似できない強権を用いて封じ込めつつある。

・日本は島国であり医療レベルも高いので、まん延阻止が比較的うまくいっている方である。しかし、日本経済は既に金融政策では打つ手がないので、実体経済の急降下を招かないためにも過度の自粛は避けるべき。

 筆者がずっと米国の感染状況に注目してきたのは、最近の世界の経済成長を米国経済の好調さが主導してきたからです。米国がくしゃみをすれば、日本は当然として、中国、欧州、ひいては世界全体が風邪をひくことは明白。アメリカも中国もロシアも、いわゆる大国と言われている国を筆者は基本的に嫌いなのですが(武力で周りの国を脅してその領土を奪うことで大国になったのだから)、それはそれとして経済上の実力は認めざるを得ない。

 その米国の今後の感染の見通しですが、悲観的な見方が多い。

ついにアメリカでも火がついた新型コロナ危機「数百万人が感染しかねない」と米高官

新型コロナウイルスはアメリカにどのぐらい被害をもたらすのか

 先週、トランプ政権はコロナウィルス対策として約八千億円の予算を提出し可決されました。しかし、コロナウィルスの診断と治療の費用が無償になるかどうかさえも、いまだに決まっていない模様。2750万人もの医療保険非加入者が、政府の「コロナ対策」を信用して直ちに病院へ行くようになるとは思えない。また、驚いたことには、米国内の時間給労働者(約8000万人)の七割が有給休暇の対象外だそうです。トランプ政権によるコロナ対策が、すぐに効力を発揮するかどうか大いに疑問です。

新型コロナの「時限爆弾」 無保険人口の多さが脅威に 米

 日本でも、今のところは感染者の急増は抑えられているとはいえ、日常やるべきことはアメリカや欧州のそれと変わりはない。イベントを中止して人が集まる機会を極力減らし、外出を控えて家にこもる。いずれも経済的にはマイナスである。唯一良いのは、二酸化炭素の排出量が抑制されて温暖化のスピードが鈍ることくらいか。

 東京五輪については、筆者は今年夏の予定通りの開催はもう無理だろうと思っている。「平和の象徴としての祭典」というオリンピックの基本的精神を思い起こせば、それが明白な結論。仮に、欧州でのまん延が落ち着いたとしても、その次はいわゆる途上国に飛び火するのは必然的である。今はまだ感染の初期段階であり、かつ検査体制が整っていないために、各国が明確な患者として把握しきれていないがゆえに、南米、アフリカ、南アジア等で患者が少ないように見えているだけなのだと思う。

 仮に今後、日本を含むいわゆる先進国で状況が落ち着き、その一方で、途上国で感染がまん延した場合にはIOCは五輪を強行できるだろうか?強行した場合には、五輪は「世界全体の祭典」から「富裕国限定のお祭り」へと堕落してしまうだろう。「スポーツの世界最高の舞台」としての五輪の正当性が失われることは明らかだ。既に選ばれた選手には気の毒だが、やはり世界中の選手が同一の条件の下で参加できるようになるまで延期するというのが当然の結論だろうと思う。世界中が混乱状態にあるどさくさの中、無理矢理開催した五輪で仮にメダルを取ったとしても、世界中の人々から祝福を受けることにはならないだろう。

  このウィルス騒動が最終的に収束する条件としては以下の二種類があるそうだ。

① 効果的なワクチンが開発されて、安価に大量に供給されるようになること。

② 世界中のほぼすべての人々が感染してしまって、皆が抗体を持つようになること。

 ①が実現するまでには最低でも約一年はかかるというのが、医療関係者の一致した見方らしい。②の選択を主張した場合には、今までの経過から見て「高齢者や持病を持っている人が死ぬのは仕方がない」と言っているのと同じことになってしまう。結局、ワクチンが完成するまでの間、「今の体制を維持して極力感染者が増えないようにする」という道以外には選択肢が無いのである。どこの国においても、少なくとも一年程度かそれ以上の間、現状のまま耐え忍びつづける以外には手がなさそうである。

 日本が「露骨でむき出しの資本主義」の米国や「中国共産党王朝独裁」の中国とも異なるのは、我々国民にとっては幸運と言うほかはないが、この「国民に強制することの少ない、ゆるくて中庸な国」という世界的にも貴重な体質をそのまま維持しながらも、何とかこのコロナウィルスの大波を、他の国よりも犠牲者数が少ないままに乗り切りたいものだと思う。

/P太拝