「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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日本政府はコロナウィルスの検査数をなぜ増やさないのか?(5)

 今朝のニュースによると、鳥取県内であらたに二人の感染が判明したとのこと。うち一人はNHK鳥取局の20代のディレクターだそうだ。

 米シリコンバレーで血液サンプルからの抗体検査を実施したところ、既に確認された感染者数の五十倍以上の住民が感染していたことが推定されるとの結論に至った。公式に感染者が一人確認されたら、その背後には五十人以上の未公認・無自覚の感染者が潜んでいることになる。もう鳥取県内も安全地帯とはいえないだろう。当面は外出を控え、手洗い・消毒を徹底する以外には我々ができることはない。
「米シリコンバレー、実際のコロナ感染者数は公式発表の50倍超 研究」

 先日、安倍総理が記者会見をして「一人あたり10万円」の支給が決まったが、これは一時しのぎのバンドエイドのようなものだ。根本的な解決は、あくまで検査数増加と感染者隔離の徹底、治療薬の早期承認、ワクチンの開発にしかない。第一、10万円の一回こっきりでは、本当に困っている人には少なすぎる。これでは一カ月程度しかもたない。また、当面の余裕がある人はこれで消費拡大なんかしない、将来の不安に備えて貯蓄にまわすだけのこと。目の前の商品券や補助金しか頭にない公明党に責められた結果、12兆円以上がばらまかれ、国の負債がさらに積み上げられてしまっただけである。ひと月後に元のモクアミに戻ってしまうことは確実だ。公明党には長期的な視野が根本的に欠けていると言わざるを得ない。

 ところで、税金を466億円も使って一世帯当たりに二枚支給されることになった「アベノマスク」。早くも品質クレームが発生しているそうだ。洗うと縮んでしまって到底使用できる代物ではないらしい。「やっとマスクが手に入る」と期待している皆様(筆者もその一人)、あまり期待しない方がよろしいでしょう・・・。まさか、安倍晋三氏のお友達企業が安価な低品質品を調達して国に買い取らせてボロ儲け、なんてことはないでしょうね!?
「アベノマスク、正しい方法で洗ったのに「驚くほど縮んだ」」

 さて、筆者は、日本のPCR検査、簡易PCR検査、抗体検査等の検査数が他国に比べてあまりにも少ないことが、日本のコロナウィルス対策上の最大の問題点とずっと指摘してきた。検査数が少ないのは、東京をはじめとする国内各地で医療機関自らが検査拒否をしているからである。その概要は次の記事で知ることができる。このような話は、半月くらい前からあちこちで報道されている。

「新型コロナ「検査拒否」の実態、電話中に咳をしたら切られた…他」

 検査拒否の背景にはいったい誰がいるのかがずっと疑問だったのだが、先週の4/14に週刊朝日にその背景に迫る記事が掲載された。この週刊朝日を入手しようとしたのだが、ここ鳥取市では一般雑誌の発売開始は東京よりも一、二日遅れが普通。筆者が近くのコンビニでようやく買えたのは発売日から二日遅れの4/16であった。

 話が脱線するが、振り返ってみれば、筆者がいわゆる紙媒体の総合週刊誌を店頭で買ったのは、今回が確か三、四年ぶりのこと。普段は、ネット上の記事で知識が得られるので、わざわざ紙の雑誌を書店やコンビニに買いに行く必要がない。いかに紙の雑誌が衰退しつつあるかを改めて感じたしだいである。

 それはともかくとして、その紙媒体の内容を当ブログに紹介しようと思っていたら、昨日の4/18に朝日新聞社系列の aera.dotでほぼ同一の記事がネット公開された。購入した週刊誌からの引用は、下に示した記事「現役医師が告発する「コロナ野放し」の実態」のトップの写真だけにしておこう。これは東京都医師会が作成した、「PCR検査対象絞り込みのためのフローチャート」の現物とのこと。

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以下、下に示すネット上の最新版の記事に沿って報道内容の概要を示したい。

「医師が告発「PCR検査の条件は『38度が2週間』と言われた」真相を医師会に直撃」

・ 東京都医師会が都内開業医向けに配布したフローチャート、その日付は3/26となっている。

 「患者がPCR検査を受けられるまでの流れ」

(1)①発熱37.5℃以上、倦怠感、②呼吸苦、頻呼吸、③聴診にてラ音捻髪音、④低酸素血症(SPO2(動脈血酸素飽和度)が93%以下)

①以外にも②~④の症状が確認できたら(2)へ。①のみの場合は三日程度自宅療養。
④のSPO2は平常時は98%程度。SPO2が93%とは、「ゼーゼー、ハーハーといって、死にそうなくらい苦しい状態」とのこと。
厚労省の指針では、①の条件が四日以上続くだけでPCR検査が受けられることになっている。

(2)血液検査・胸部X線検査

X線検査で肺炎像が認められ、かつ、(1)の①と④を満たした者だけが(3)へ。

(3)PCR検査を実施 

 このように、東京都医師会は厚労省の検査条件に、さらに独自の条件を非公開で加えて検査対象を絞り込んでいる。その結果、感染が強く疑われながら検査を受けることができずに自宅に追い返される患者が激増している。東京都内の具体的な悲惨な状況については、詳しくは上の記事を参照されたい。なお、ネット記事にはないが、上記の週刊朝日の記事によると、このような対応は埼玉県でも既に行われており、4/10にさいたま市の保健所長は「PCR検査の条件を厳しくして検査数を抑えていた。病院が患者であふれるのが嫌だった。」と報道陣に語っている。鳥取県も近い将来、東京や埼玉に近い状況となる恐れがある。

 東京都医師会の上部団体は日本医師会だが、当初は日本医師会から各地の医師会に対して検査数抑制の指示があったのではないだろうか。3/24の東京五輪中止発表以前には、「公表患者数を極力減らしたい」安倍内閣からの要請があった可能性も高い。


 この週刊朝日の4/14公表の暴露記事に慌てたのか、最近になって急に日本医師会側が政府対応の遅れを批判し始めた。下に示す一昨日4/17付の記事には、「横倉氏は・・・、感染経路が不明の感染者が増えた3月下旬か4月初旬には(厚労省が)検査対象を拡大すべきだったとの認識を示した。」とある。自分たちも積極的に片棒を担いでおきながら、問題が発覚したとたんに相棒のせいにしようとするのは、国民に対して無責任な組織の自己防衛の常套手段に他ならない。

「PCR検査への政府対応の遅れ指摘 日本医師会横倉会長」

 日本医師会のコロナ対応に対する批判は、調べれば他にもたくさん出て来る。次の記事は日本医師会厚労省が進めてきた安全なオンライン診療の普及を妨害して、実施を一か月も遅らせたというものである。
「日本医師会が「新型コロナ対策」の足を引っ張っている…あきれた実態」

 「厚労省には「政府・自民党に大きな影響力を持つ日医に逆らうと、省内で出世できない」という不文律がある」とのこと。またこの騒ぎに乗じて、日本医師会はコロナ対策には関係のない補助金も要求してきたそうである。「火事場泥棒」、「災害に乗じた焼け太り」と非難されても仕方がない。

 どうやらこの日本医師会の幹部連中は、自分たちの既得権益の保護と、コロナ騒ぎに乗じた権益拡大にしか関心がないらしい。諸外国では民間機関がPCR検査やその他の検査の多くを担っているのに対して、日本ではいつまでも保健所が検査を独占しているのも、「新規参入企業に自分たちの縄張りを荒らされたくない」という日本医師会幹部の意向が反映されているように見える。彼らと、最前線の激務の中で日夜戦い、疲労困憊している医師や看護師の思いとの間には深刻な断絶が存在する。

 そうやって日医の幹部連が政府と政治的駆け引きをやっている間に、とうとう日医所属の医師たちまでもが大量に院内感染する事態となってきた。ここにきてようやく彼らも事態の深刻度を認識し始めたようだが、長年しみついた政治的駆け引き優先の習性は容易に抜けきれないものと思われる。さて、これからどうなることやら。ひとつ確実に言えることは、ここまで国内感染を深刻化させた責任の多くが日本医師会にあることは明らかということだろう。「面従腹背」は中国共産党政府の地方役人の専売特許と長らく思っていたが、既に日本の公務員や各業界にも広くまん延していたことがようやく判った次第である。

 日本医師会については、今までは「大きな圧力団体のひとつ」というくらいの認識しかなかったので、この際に少し調べてみた。wikipedia「日本医師会」によると、同会に所属している医師数は国内全医師の約半分程度とのこと。公式の統計は見つけられなかったが、「街のかかりつけ医院」等のいわゆる開業医の約八割、病院勤務医の三~四割が会員になっているようだ。

 このwikipediaのページの下の方にある「日本医師会綱領」の内容も参照されたい。特に、

「①日本医師会は、国民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活を支えます。

 ②日本医師会は、国民とともに、安全・安心な医療提供体制を築きます。・・」

の部分には笑うしかない。

 自民党との関係だが、日本医師会からの自民党への献金は年間2億円(2018年)となっており、企業・政治団体から自民党が集めた献金総額29億円の中では最大の献金額である。

「自民党への企業・団体献金」

 政治献金の効果も大きいが、自民党日本医師会を頼りにするのは、第一に組織が持つ集票力だろう。日本医師会政治団体である「日本医師連盟」出身の候補が参議院比例区で毎回当選しているのである。日本の医療と政治との間の癒着が国民のためになっていないことは明らかである。この癒着をいったん断ち切るための最も有効な方法は、次の選挙で日医が推薦する候補を落選させることである。

 民主党政権当時、3.11の原発事故の際に自らヘリコプターに乗り込んで原発上空を飛んだ菅直人元首相、「首相のすることではない」と世論からの大ひんしゅくを買った。筆者もあの行為は批判されて当然と思うのだが、東電本社に自ら乗り込んで東電を説得し、政府と東電が一体となった統合本部を早急に設立したことについては評価したい。

 対して、今の総理は、自ら日本医師会本部に乗り込んで日医幹部の尻を蹴とばすこともせず、省内出世と天下り先の確保が最大の関心事の厚労省幹部に日医との交渉を丸投げするばかり。ソファに座り込んで犬の頭をなでている動画を投稿しては、自分の役目を果たしたとカン違いしている情けなさである。

 このコロナ騒動の対策の統轄責任者は、彼をおいて他にはいないはずなのである。犬の頭をなでている時間などあるはずもないのだが・・・出るのはため息ばかりだ。もっとも彼の出番が多くなると、また第二、第三のアベノマスクが送られてくるだけかもしれないから、今のままの方がまだいいのかも。

 それにしても、この「誰が日本政治の責任者なのか、一向にわからない」という今の事態、先の戦争の時もこうだったらしい。

 /P太拝