「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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香港は死んだ

 今回も中国ネタです。これで三回連続。自分は、昔から人権侵害や人の自由を奪う行為を見ると黙ってはおれない性格なので、最近はどうしても香港報道に注目してしまう。市民の発言の自由を奪うような政府は、右だろうと左だろうと「さっさとクタバレ!」と言いたい。コロナや豪雨水害も気になるが、情報が毎日あふれるほど流れているので食傷気味。また別の機会に取り上げようと思います。


 今月初め、ついに「香港国家安全維持法」が施行された。もはや「香港は死んだ」と言ってよい状況となってしまった。
「香港の挽歌 もう誰も共産党を止められないのか」

 次の記事の内容によれば、中国・香港籍ではない外国人でも、中国政府を批判していれば香港を訪れた際に逮捕される可能性があるそうだ。一部を抜粋しておこう。

「・・・中国外からの香港民主派支援や中国共産党を批判する言動も同法に抵触する恐れがあり、2日付の香港紙・明報は「外国人が海外で違反行為をした場合、香港を訪れた際に逮捕される可能性がある」と報じた。国家安全法第38条は「香港特別行政区の永住権を持たない者も香港以外で規定の罪を犯した場合、本法が適用される」と明記。香港の司法関係者は「全世界80億人が対象だ」と困惑する。・・・」


「違反外国人、香港で逮捕の恐れ 国際金融センターの地位に影 ― 国家安全法」

 「この法律の施行が、中国共産党王朝の今後の長きにわたる没落の最初の一里塚になるだろう」などと当ブログに書いている筆者のような一般平凡人も、今後香港に行けば逮捕される可能性が出てきたのかもしれない。この法律をその文字通りに運用したら、香港を訪れる外国人の多くが逮捕されて中国に送られ、中国国内の刑務所が満杯になりかねないだろう。

 中国の法律の怖い所は、判断基準を故意に曖昧にして、その運用を司法側の解釈しだいにしているところだ(最近では、日本の司法にもそのような傾向が見られるようだ)。実際には、警察や検察はその場の気まぐれや、上部への忖度の度合いによって逮捕対象を決めるのだろう。表面的には法治を装いながらも実質的には人治とすることで、取り締りの対象からの権力側への賄賂の増加を期待しているのではないかとさえも思いたくなる。

 いずれにしても、もはや香港にも、まして中国大陸にも足を踏み入れる気にはならない。何処に行っても監視カメラの網目から逃れられず、その記録が後でどのように利用されるのかわからない国には到底行く気がしないのである。香港には過去に四度ほど行ったことがあるが、もうあの鉛筆みたいに細い高層ビルが林立している街を、多種多様な人種で混雑しているオモチャ箱をひっくり返したような街の中を歩けないかと思うと何とも残念だ。

 以前にも書いたかもしれないが、香港では「そごう」デパートによく行った。元々は日系資本だったが、日本のそごうが経営破綻して香港から撤退した後は、現地資本が店を引き継いで店の名前はそのままにしていた。五階か六階には日本の雑誌を置いている書店コーナーがあり、日本の文字に飢えていた筆者は定価の約五割増しの雑誌を何度か買ったものである。当時の中国本土では英語が通じるのは若い人だけだったが、香港ではたいていの人が英語を話せる。ただし、地元出身者同士になると北京語とは発音が著しく違う広東語での会話なので、はたで聞いていると何について話しているのかさっぱりわからない。
 このデパートの近くには中国政府の批判書をたくさん置いていることで有名な「銅鑼湾書店」があり、十数年前に一度訪ねてみたことがある。予想外に小さな店で、鳥取市内で言えば、今はもう無くなったが若桜街道沿いの今井書店の二階部分程度の狭さであった。大陸では禁書の毛沢東批判本などが堂々と売られていた。店の外に出ると、近くの街頭で「中共を殲滅せよ」とのノボリを立ててアジ演説をやっている人達もいた。今思うに、彼らは江沢民政権から大弾圧を受けて国外にのがれた「法輪功」集団の一部だったのかもしれない。法輪功については、また別の機会に触れたい。

 中国本土でこんなことをやったら、直ちに警官が駆け付けて来て、ボコボコに殴られて引っ張って行かれるだけのこと。「香港は本当に自由なんだ」と思ったものである。この店の店主等は、2015年以降に相次いで中国政府に不当にかつ暴力的に拘束され、今ではこの書店名のままで台湾に移転済みである。その気にさえなれば、自ら作った法律も、他国との間の約束も平気で破るのが今の中国政府なのである。彼らの言うことを信用してはならない。


/P太拝