「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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日本政府はコロナウィルスの検査数をなぜ増やさないのか(7)

 昨日一日のうちに、鳥取県内のコロナ感染者数が一気に増えて10人になったとのこと。県は「県版新型コロナ警報」を県東部地区に発令したそうです。どういう内容かと思って下の県公式サイトをのぞいてみたが、我々一般人に関しては、「会食や飲み会の場で、感染予防に最大限の注意を払っていただきますよう強くお願いします」というだけのこと。従来の生活にさらに強い制限がかかるということではないようで拍子抜けしてしまった。

「新型コロナウィルス感染症特設サイト」

 「東京アラート」は一回出ただけでなぜかお蔵入りになってしまったが、少なくとも、県の「コロナ警報」が東京のような薄っぺらなカタカナ外来語を使っていない点については好感は持てると感じました。


 さて、昨日の新規感染者数は1200名越えで過去最高を更新、岩手県でもついに初感染者を記録とのこと。岩手県民も今までの緊張感が抜けて、ある面、ホッとしているのかもしれない。この日本でのコロナ感染も重大な岐路にさしかかりつつあるようなので、久しぶりに検査数の問題を再度取り上げてみたいと思います。まずは最新データの紹介から。

 次のサイトは英国オックスフォード大学の研究者が運営しているサイト。各国の最新データが日々更新されていて、各国の現状が把握できます。このサイトから世界の主要な国38カ国における昨日7/29時点での直近七日間の陽性率と検査数(千人当たり)の平均値を拾いました。対象国としては人口が多い国を、また人口が少なくても、感染が急速に増加、またはうまく抑制できた国も加えました。

 このサイトには各国ごとに色が塗り分けられた地図がありますが、地図上の各国の上に(マウス等の)ポインターを載せると国別の数字が表示されます。


「Our world in data」

 また、各国の昨日までのそれぞれの累積検査数、累積感染者数、累積死者数も調べることにして、以下のNHKサイトから国別の数字を、さらに各国の2019年時点での人口を以下のサイトから抽出して各指標の千人当たりの数字を計算しました。

「NHK 新型コロナウィルス特設サイト」

「GLOBAL NOTE 世界の人口 国別ランキング・推移(国連)」

 以上の各国の指標を表にしたものを下に示します。なお、各国の現時点での感染拡大の傾向を示す指標として「陽性率(直近七日間の平均値)」に注目しました。

 また、各国の感染状況の把握の度合いとして「検査数(直近七日間の平均値)」と「 累積検査数」にも注目しました。

 表中では、各国の現状と日本の現状を比較するために、日本よりも各指標が悪化、または劣っている国の指標を赤字で示しました。さらに、「陽性率」と「検査数」の両方ともに日本よりも劣っている国の国名を赤太字で示しました。
 なお、「検査」方法としては、このサイトではPCR検査のみを対象としてカウントし抗体検査等は現時点では除外しているとのことです。

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 以下、この表からわかること。

①「陽性率」では、メキシコとブラジルが60%台を記録。これは感染拡大のスビードに検査能力が全く追い付いていないことを示しているのだろう。いわゆる医療崩壊の状態なのではないか。コスタリカは、当初は感染抑制に成功した国として報道され当ブログでも以前紹介したが、六月以降に急速に感染拡大したとのこと。今のところ、同国に関する新しい記事が見つからないのでその原因はまだよく判らない。欧州全域、アジアの一部、オセアニアでの陽性率は低い。

 症状が出ている人から検査を始めてその周囲に検査対象数を増やしていけば陽性率は低くなるはずだが、最近の日本では検査数を増やすと共に陽性率も上がってきている(後述のグラフ)のだから、感染の拡大傾向は明白だ。こんなことも判らないのはK都知事くらいしかいないだろう。

 

②「検査数」が日本よりも少ないのはわずかに七カ国のみ。感染をほぼ完全に抑え込んでいる台湾は検査の必要性が少ないためと思われるので除外すると、残った六カ国にはいわゆる先進国は一つもない。これらの国は医療インフラが不十分なために検査数を増やせないのだろうが、はるかに医療先進国であるはずの日本が、バングラデシュ、メキシコ、ペルー、パキスタンと同程度の検査しか実施していないのはどう見ても異常。

 比較的「中進国」であるはずのタイが検査数が少ないのは、同国が現在は軍事独裁政権下にあることと、観光業が主要産業であることが関係しているのではないか。政権が意図的に検査数を下げている可能性がある。

 

③「累計検査数」が一番多いのはUAEであり、既に国民(外国人労働者を含む)の約五割に検査を実施済。ロシア、イスラエル、米国、ポルトガル、オーストラリアが一~二割台で続く。これらの国では、個人への「PCRパスポート」の発行も近いうちに視野に入ってくるだろう。

 「累計検査数」が日本よりも劣るのは、わずかに五カ国。前述の理由で台湾を除けば、ナイジェリア、コンゴ(データが無いが推定で入れた)、タイ、インドネシアの四カ国のみ。ここでも「先進国」日本の遅れがひときわ目立つ。

 

④「累積感染者数」については、各国の検査対象の選定方法がかなり異なるので単純な比較はできない。「累積死者数」についても各国の「コロナ死」の判定基準はバラバラなようだ。アフリカ諸国や南アジア、中南米などでは、コロナによる死と特定されないままに処置されている病死者がかなり多いものと思われる。

 判定基準がかなり共通していると推定される北米、欧州、東アジア、オセアニアで見ると、やはり欧州の死亡率の高さが目立つ。逆に東アジアの死亡率の低さも際立っている。週刊誌やニュースサイトには「日本だけがダントツで死亡率が低い」と書き立ててる記事が多いが、そんなことはない。東アジアに共通した現象である。これについては今後の記事で触れてみたい。

 

⑤  現在の日本の陽性率の高さ、未検査者が圧倒的に多数であること等から見て、今後のさらなる感染拡大は確実だろう。これらの指標が日本とよく似ているパキスタン、インド、インドネシア、フィリピン等の今後の推移についても要注目である。

 そもそも、自分自身も含めて誰が感染しているのか判らない現状では、外出を控えて極力人との接触を避けようとするのは当然の行動である。結果として消費は大きく落ち込み、いつ回復するのかの見通しすら立たない。

 広範囲な検査を実施して感染者と非感染者を明確に分け、感染者を治療して回復を待つ一方で、当面は非感染者だけで経済を回していくしかないことは子供でも判る。それなのに、厚労省は検査を増やせない理由を並べ立てるだけで一向に動こうとしない。今こそ政治家がリーダーシップを発揮すべきである時なのに、総理は公邸にオコモリしたままで国民に呼びかけることすら避けている。「不思議の国、日本」というほかはない。

 

 ついでに、日本の陽性率の推移のグラフを下の図に示しておこう。出所は上と同じく「Our world in data」から。

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 7/22から「GO TO トラベル」が前倒しで始まった。その成果なのか、開始してから一週間たった昨日の7/29には新規感染者が急増している。この前倒し日程が決まったのは7/16の会議でのことだったらしい。観光業界を自分の支持団体としている二階幹事長からの強引な圧力で前倒しが決まったとの説が有力である。

 上のグラフでこの7/16前後の陽性率の推移を見ると単調増加中であり、感染が既に拡大傾向にあることは明白であった。専門家がデータに基づいて危険性を指摘しているのに、政治家と官僚は自分の椅子確保と今後の出世だけが目的で、データを無視して無茶な、余計な政策をゴリ押しで決めている。国民から集めた税金を無駄に使っては事態を一層悪くする。毎度おなじみの光景が毎日のように繰り返されている。日本の政治の内実を知れば知るほどに、我がタメ息は増えるばかりだ。

 さて、現在の最大の問題は、日本のPCR検査がいつまでも途上国並みにとどまっていてなぜ増えないのかということだ。約一か月前の報道によれば、中国国内のPCR検査能力が一日当たり370万件になったとのこと。一方、上の表の値から計算すると、現在の日本の検査実績は一日当たり1万1千件にすぎない。

 一か月前の中国の検査能力は、千人あたりに換算すれば日本の最新実績の約29倍に相当する。中国経済が世界に先駆けていち早く回復しつつあるのは、検査数の圧倒的な多さを見れば当然の結果だろう。なんでここまで差がついたのか?

 検査対象を全国民に拡大さえすれば、経済と感染防止の両立などは容易な話なのに、なぜ日本政府はいつまでもやろうとしないのか。皆さんは何が原因だと思いますか?

 次回の記事ではこの点に焦点を当ててみたいと思っています。

/P太拝