「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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コロナ、GoTo、菅総理(4)-スガーリン体制は早急に打倒すべき-

 菅総理については、コロナ関連ではもう書かないつもりでしたが、スカ内閣のコロナ対策の迷走の根本原因はやはり彼個人の特性に帰すべき点が極めて多いと思うので、今回あらためて取り上げておきましょう。

 (5)菅義偉という政治家の特徴

 昨日の18h過ぎにこのブログを書き始めたのだが、その時点では、菅総理による記者会見がネットで中継され、一都三県に対する「緊急事態宣言」が発表されていた。総理曰く、「何としても感染拡大を食い止める、1か月後には必ず事態を改善させる」とのこと。

 具体的な中身は何もないくせに、言葉だけは勇ましい。対応策は例によって国民の自発的な自粛への期待が主である。「よくもまあ、何の根拠もないのに、こんな楽観的なことをよく言うよ」と思う。

 約80年前の日本は、客観的な詳しいデータも集めないままに、たとえ集めても悲観的な結論は故意に無視したままに、ただひたすら希望的楽観論だけを振り回してあの泥沼の戦争へとはまり込んでいったのだが、何だかその時代からひとつも進歩していないような気がする。今回のこの対コロナ戦争における、決断を先送りしての小出し戦力の逐次投入による相次ぐ惨敗という現象も、約80年前と全く同じパターンなのである。

 なぜ、こんなにも、スカ内閣の政策は貧困、かつ文字づらだけの空疎で抽象的な内容に終始しているのだろうかか。よくよく考えるに、これはやはり菅総理自身が過去構築してきた官僚統制体制に根本的な原因があるのだろう。「独裁化し異論を封殺すること」は、イコール「没落への近道」なのである。

 菅氏自身が官房長官時代の2014年に発足させたこの「内閣人事局=スガーリン体制」下で、霞が関の官僚諸氏は菅氏の言うことに反対すれば即刻左遷という実例を嫌と言うほど目にしてきた。結果、「モノ言えば唇寒し」とばかりに、上から言われたことには直ちに従って持論を封印する「何でもイエスマン」と化した。その典型例が、モリトモ問題で国会で百回以上もウソをついても現在までは罪に問われることも無く、減額されたとは言え無事に約五千万円の退職金(=国民の税金)を手にできた佐川宣寿元国税庁長官なのだろう。

 現在、各省庁の上層幹部は、ひたすら自分の退職金の計算をしながら、定年退職の日が早く来るのを待ち望んでいるだけの無為な日々を送っているのだろう。このような「官畜」と化した上司に愛想をつかした若手の職員は、優秀で気骨のある人間から先にどんどんと民間企業へと逃げ出していった。後に残ったのは、民間でやっていくだけの自信も無く、既存のレールにしがみつくほかには選択肢も無い、時の体制にしたがって風見鶏よろしく向きをコロコロと変えるだけの「体制順応派」の職員ばかりなのではなかろうか。

 当然、今の霞が関の役人には、コロナ対策での画期的な政策の提案などは到底期待できない。それどころか、時の政権に不利なデータすらも上に挙げようとはしないだろう。挙げれば即刻左遷される。その結果、総理が発表する政策は、具体的な数字の裏付けを欠いた抽象的かつ空疎な美辞麗句の寄せ集めと化してしまっているのである。我々がいま眼にしているのは、過去に自ら仕掛けた行き過ぎた官僚統制によって、結果的に自分自身の首を絞めて政治家生命を終えつつある、愚かな一人の政治家の姿なのだろう。

 では、なぜ菅総理はこれほどまでに、客観的な事実を無視してまで独善的な持論に固執し続けようとするのか。それは、菅義偉という人物の政治家人生を詳しく見ていけば、直ちに了解されることなのである。

 最初に、元衆院議員の井戸氏による次の記事を参照していただきたい。

「菅政権の「残念すぎる現実」がいよいよ見えてきた…!」

 この記事の主題は菅内閣のデジタル化推進の一環としての婚姻離婚届けに関する話であり、手続き簡素化の以前に世帯主概念など婚姻の社会的意味を問うべきというものだが、四ページ目以降に30年前に井戸氏が菅義偉氏に直接面会した時の話が出て来る。

 当時の菅氏は故小此木彦三郎元通産大臣の秘書を務めながら横浜市会議員として活動していたはずだが、井戸氏が菅事務所を訪問したところ、通された部屋の壁には一面に無数のポストイットが張り付けられていたそうだ。

「・・・菅氏は話が終わるとポストイットをとって、ゴミ箱に捨てて部屋を先に出た。ゴミ箱はポストイットの山。今日だけで何人、一生涯にどれほどのポストイットを使うのか、一体何万件の陳情を裁くのかと思いながら、事務所を後にした。・・・」

 この部分を読んで思ったのは、菅氏は大量の陳情を処理することで着々とその地位を固めてきたのだろうということだ。陳情の優先順は相手から引き出せるカネや票数の多寡で決めているのだろう。それらとの交換で国民や横浜市民から集めた税金の優先的割り振り先を決めていく。まことに判りやすい作業だ。

 仮に、カネも無く大量集票も期待できない社会的弱者が菅事務所を訪れても、即刻門前払いをくらうだけであっただろうことは想像に難くない。そんな連中に関わって時間を無駄にしていたら、大臣にも、まして一国の総理大臣にも到底なれない。

 この日常活動の姿から判るように、菅氏は、国民に対して自らの政策を訴えて支持を得るタイプの政治家では断じてない。もっぱら人目につかない楽屋裏で、決して公にはできないたぐいの取引を約50年近くも山ほど行うことで支持基盤を拡大してきた政治家なのである。70才を過ぎて総理になった彼が、国民に直接訴えかける言葉を持っていないと批判されるのも、その経歴を見れば当然のことなのである。

 彼を支持している人々は、彼からの自分への直接の利益を得ることを期待して集まっているのであって、彼の政策や方針に期待しているわけではない。そもそも、彼には主張したい政策など元々ないのだろう。あるのは自分の勢力をより大きくし維持し続けたいという欲望だけなのである。

 持論の政策などは元からないのだから、確実な票を持っている相手でさえあれば、その主張には関係なく誰とでも手を組める。公明党や維新の会との間に築いた豊富な人脈がその証拠である。何とも空虚な人物と言うほかはない。

 10月に上の記事を読んでからは、筆者は菅内閣に対する関心を早々に失った。持論を持たず、カネと集票能力に引かれて誰とでも組むような人物には、この難題山積の日本をより良い方向に導くことなど到底出来るはずもないからである。

 「スガーリン体制」をさらに強化し官僚を飼い殺しにして、その能力発揮の場を封じる一方で、国民が期待する医療体制への支援・充実よりも、自分の支持基盤である観光業やJRのために巨額の税金を投入することを最優先。コロナ対策の看板を掲げてはいるが、その実態はドサクサに紛れての火事場泥棒に過ぎない。

 おまけに自身には科学的・論理的思考力が欠けているのに、専門家の意見を聞くことよりも自分のタニマチ(後援者)にみつぐほうを優先したものだから、政府のコロナ対策が支離滅裂な結果となってしまったのは現状に見る通りである。最初に医療関係や検査体制への投資を十分に行い感染拡大の芽を早期に摘み取っていたならば、彼のタニマチ連中のフトコロもこれほどまでは痛まなかっただろう。今の日本の苦境とは、歴史観・大局観を欠いた人物を国のトップに据えてしまい、その人物が自分の目先の利害にとらわれて右往左往した結果に過ぎないのである。

 参考までに彼のタニマチ連中に関する情報を以下にまとめておこう。

「菅首相を操る面々 ぐるなび・楽天との関係と「Go To」」
「・・・菅が秘書として仕えた小此木は横浜市議から国政に転じ、運輸政務次官衆議院運輸委員長などを歴任し、中曽根康弘の腹心として行政改革国鉄分割民営化に取り組んだ。国鉄長期債務特別委員長を務め、安倍晋太郎派の三塚博加藤六月らとともに「国鉄三羽烏」の異名ととった中曽根派の大物運輸族議員である。・・・」

 JRとの密着、さらにはその関係を通じて懇意となった「ぐるなび」や「楽天」を特に支援したいがために、菅氏がGoTo事業にことさらに力を入れたことは明白だろう。(筆者は楽天イーグルスの永年のファンであったが、もうファンであることも、楽天サイトを通じての物品購入も全部やめることに決めた。)

 JRとのズブズブの関係は、下の記事を見ても判る。
「菅義偉首相の実弟が自己破産後、JR企業の役員に就任していた」

 地元の横浜市内では、暴力団がらみの話として、本来は転売禁止の県有地を外国籍の後援者が取得することに尽力した疑惑が浮上している。「菅首相後援者の神奈川県有地転売疑惑 反社会勢力も関与か」

 大手ネット証券やマスコミとの密着ぶりも指摘されている。菅氏が地方銀行の再編に熱心なのは、SBI証券会長の北尾氏からの入れ知恵によるものだろう。「「菅総理」を抱き込む怪しい「政商」の正体 特捜部のターゲットになったことも」

 次は観光・カジノがらみの話。筆者は以前、ここに出て来るアトキンソン氏の著書を読んで「日本企業の生産性をあげるためには中小零細企業の統合が必要」との主張に共感して当ブログに紹介したことがある。

 その時は、民間が自主的に判断してその方向に進めばよいと単純に思っていたのだが、本人が以前から菅氏とつながりがあり、現内閣のブレーンになって上から政策を進める立場になるとは全く予想だにしていなかった。強制的に中小零細をつぶして淘汰させる政策が実行に移される恐れが出てきた。
「菅首相を動かす観光立国政策の指南役D・アトキンソン氏とは」

 叩けばいくらでもホコリが出てきそうな菅氏である。上に紹介はしなかったが、横浜のホテルで数千人を集めて開いた菅後援会の参加費用が異常に安かったとの話もある。退任後の菅氏については、なにやら安倍晋三氏の「桜を見る会」の展開の再演となりそうな気配でもある。

 さて、早くも、菅内閣終了後の次の首相候補がマスコミの話題にあがるような情勢となって来ている。あまり期待できる候補もいそうにないが、少なくともタニマチにシッポを振り続けるだけの人物よりはましだろう。

 誰がなるにせよ、「スガーリン体制の打倒」=「内閣人事局の廃止」だけは真っ先にやってもらいたい。せっかく採用した優秀な国家公務員に十分な活躍もさせずに飼い殺しにしておいて、欲まみれの人物が自分の権力維持のために税金を好き勝手に使う現状は国家的な犯罪に他ならない。国家公務員の人事については、内閣や省庁から独立した第三者機関を設立して、その判断にゆだねるべきだろう。

/P太拝