先日の記事の期待通り、ついに山縣選手がやってくれました!一昨日の男子100mでの日本新記録誕生です。また女子100mハードルでも青木益未選手が日本タイ記録の12.87を出して優勝しました。
これで布勢陸上競技場の「記録が出るトラック」の評価がさらに上がり、有力選手の参加もさらに増えることでしょう。布勢が「日本陸上短距離界の聖地」となる日も近いのではないでしょうか。
日本新が出る裏には関係するスタッフの協力も大いにあったようです。一昨日布勢は追い風が強く参考記録となる例が度々あり、スターターもスタートの号砲を鳴らすタイミングにかなり神経を使っていたとのこと。
「風が弱まり「今だ」スターター歴30年の直感、山縣の日本記録へ」
また、日本ではここと新国立競技場の二か所にしかない高性能トラック素材も新記録を後押ししたようです。
「日本新記録のウラに競技場?防風ネット&新国立と鳥取にしかないトラック」
さて、今回の「布勢スプリント2021」の全記録を載せたサイトを見つけたので紹介しておきます。全部で40ページものPDFファイル。
これはスポーツ界の記録全般を集めたサイトの一部のようです。(なお、布勢スプリントの公式サイト では、二日経っても未だに「結果は準備中」との表示のまま。この公式サイトは記録公開スピードが遅い上に内容もわかりづらく、陸上ファンの要求するレベルからは程遠いものがあり、今後の改善が必要。)
・男子100m結果 (このファイル10ページ目 GP 100m Men)
意外だったのは小池選手とケンブリッジ選手の不調でした。コンディションがこの日に合わなかったのでしょうか?桐生選手は体調が万全ではなく、最初から決勝を欠場する方針だったそうです。予選の追い風2.6mでの10.01は、この日の収穫に十分に値すると言ってよいのでしょう。
・男子110mH 13ページ GP 110mH Men)
日本新の期待が高まっていたものの、結果は低調に終わりました。
「男子110mHは金井が13秒40で快勝」
・女子100m (28ページ GP 100m Women)
期待したほどには記録が出ませんでした。優勝した御家瀬選手は若手のホープ。かっての第一人者の福島選手は、今回ようやく、今月6/24からの日本選手権の参加記録を突破し出場資格を得た状態。今後の復活に期待したい。
「女子100mは御家瀬緑が11秒57で復活V」
「福島千里「首の皮一枚つながった感じ」」
・女子100mH(31ページ GP 100mH Women)
この日、青木選手の日本タイ記録が出たことに見るように、この種目は現在大幅に記録向上中。それでもまだ五輪参加標準記録の12.84には届いていません。
「女子100mHで青木益未が12秒87の日本タイ!! 2位・寺田は12秒89」
この他にも、このファイルには小中高と一般の参加選手の全記録が載っており、近所の学校の名前を見るだけでも楽しいものがあります。
参考までに、現時点の男女100mの日本ランキング10位までを紹介しておきましょう。男子は10名中2名、女子では実に10名中5名が布勢で自己ベストを出しています。
さて、陸上界でも東京五輪への期待が高まっているのでしょうが、筆者は今回の五輪の開催には反対です。開催を中止すべきであると思います。その理由はいうまでもなく世界中で対コロナウィルス戦争が続いているからです。
オリンピックが平和と友好の祭典だとするならば、世界中で何億人もの感染者や失業者が苦しんでいる状況下でお祭りをやれるはずがありません。東京でのお祭り騒ぎをテレビで見彼らはどう感じるでしょうか?彼らの眼に日本という国がどのように映るでしょうか?ワクチンを打った人たちだけが集まって自分の健康さを自慢し合っているのを見て、「自分たちは取り残されてしまった」と感じることは明らかです。
五輪の強行は、世界の格差と分断と憎悪をさらにあおるだけの結果となるでしょう。その程度の想像力すらも持ち合わせていない開催推進派の人々は、その一方で毎日のように「格差解消、人権擁護、貧困根絶、SDGs推進」を訴え続けているのです。その無神経さと傲慢さにはあきれるしかありません。彼らは、本音では、今までに五輪に投資したカネの回収しかアタマにないのです。
さらに五輪開催に伴う何万人もの人の移動によって、当然ですが感染は拡大します。PCR検査で100%感染者を捕捉できるわけではなく、当初正しい判定率は七割と言われており、その後も判定率が大きく改善されたという情報は無いようです。また、たとえワクチンを接種した人であっても一割程度は感染します。変異株にとっては各国への拡散の絶好の機会となります。開催の強行によって死ななくても良かったはずの人々を余計に死なせてしまった責任は、いったい誰が取るつもりなのでしょうか。医療関係者がそろって開催に反対しているのは、彼らにとっては全く当然の職業上の反応です。
来年七月にはアメリカで陸上の世界選手権が行われる予定です(東京五輪の延期に伴い当初の予定を一年延期)。参加国は五輪よりも多く、名実ともに陸上競技の最高峰を決める大会です。来年は、多くの国でまともな選考会すら開けない今年よりも状況が改善していることは確実でしょう。山縣選手を始めとする有力選手には、来年の世界選手権に向けてさらに実力を高めてほしいと思います。
/P太拝