「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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コロナ敗戦の原因(5)-第六波はいつ来る?-

日本国内の新型コロナのいわゆる第五波は一応収束しましたが、専門家の間ではこれから冬にかけて次の第六波への備えが必要との意見が多いようです。一方、ワクチン接種が日本以上進んでいるシンガポールイスラエルでは、最近、感染者の急増が報じられるようになってきました。

以下、他の国の状況を踏まえながら、国内のコロナ感染の今後の推移を予想してみたいと思います。

(1)ワクチン接種が進んだ国の感染状況

最近の各国の状況としては、一回以上接種した国民の比率が未だ50%に満たなくても感染が収束しつつある国(インドやインドネシアなど)が出てきたが、これは国内での感染が蔓延した結果、既に大多数の国民が免疫を獲得したためと推測する。一方で、当初は厳格な規制で感染者数を抑えて「コロナ対策の優等生」と呼ばれていたものの、ワクチンの入手量が不十分なために最近では感染者の増加が抑えきれなくなって国内経済が混乱しているベトナムのような国もある。

このようにワクチン接種の現状は国によって大きな差があるが、今回は日本の将来の感染状況を予測するためにも、日本と同程度またはそれ以上に接種が進んだ国に限定して比較してみたい。

なお、以下で紹介するデータは、従来と同様に「Our World in Data」からの引用である。

下の図-1に日本、韓国、マレーシア、シンガポールイスラエル、英国、米国の七カ国の今年4/1以降のワクチン接種率の推移を示す。(図のクリックで図が拡大、以下同じ)

図-1

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縦軸は100人当り何回接種を既に受けたかを示すものであり、一人の国民が必ず二回接種を受けると仮定すると、100回受けた時点で国民の50%が接種済ということになる。あるいは全国民が一回目の接種を終えて二回目に入る時点ということになる。国別の接種進展度の差を見るために、暫定的に各国別にこの100回に達した時点を指標とみなして比較することとした。

イスラエルは、今年の4/1時点で既に120回弱となっている。シンガポールアジア諸国の中では飛び抜けて接種の進展が早い。米国と英国は自国でワクチンを生産していることもあって早くから接種が進んでいたが、今年の初夏以降は接種率があまり伸びていない。特に米国では、共和党が政治的に強い州では接種率が低い傾向があるというのは報道で良く知られている通りである。

日本、韓国、マレーシアは三国とも似たようなグラフとなっており、アジア諸国の中ではかなり接種が進んでいる側に位置している。

次に各国の死亡率の推移を図-2に示す。これは百万人当りの(コロナでの死亡者数)/日の推移を示すものである。

図-2

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報道では各国の(コロナ感染者数)/日が比較されることが多いが、後で示すように各国の検査範囲には大きな差があるので、単純に政府の感染者公表値を比較しても感染実態の比較にはならない。医療水準がある程度整っていて死因判定に比較的信頼がおける国であれば、コロナ死亡者数に着目した方がよほど感染実態を示しているものと考えたい。
この図に見るように、日本では9月上旬に死亡者数の第五波のピークを迎え、以後は減少している。イスラエルは8月上旬、シンガポールは9月下旬に死亡者数が急上昇している。
マレーシアはワクチン接種率が比較的高いにも関わらず死亡者数が一貫して増加傾向にある。このことでマレーシア国内で政治的な混乱が生じているとの報道が最近あった。同国は接種開始当初は主に中国製のワクチンを使っており、これがデルタ株に対して有効性が低かったことが影響している可能性があるのではないかと筆者は思っていた。しかし、最近マレーシア政府が公表したデータでは、欧米製ワクチンよりは若干劣るものの重症化を防ぐ効果は十分にあるとしている。
「中国シノバックの新型コロナワクチン、重症化予防に効果」

この記事の内容が政治力学から独立している真実のものならば(マレーシア政府はカンボジアラオスほど中国にベッタリではないが、反中国の立場は極力避けようとする傾向は強い)、なぜマレーシアの死亡率は日本、韓国、シンガポールに比べてかくも高いのだろうか?まだ、その原因がよく判らないのである。

英国では、おそらく従来株からデルタ株への主役交代の影響なのだろうが、春以降は漸増傾向にある。米国でも七月を底として最近は徐々に増えている。

アジア諸国に比べて欧米での感染者や死亡者が一貫して多い傾向があるのは、文化的な背景の影響もあるように思う。欧米では、特に男性は自分の「マッチョ性」を誇示したがる傾向があるようで、ウィルスを恐れてマスクをするのは「おのれの弱さを見せる行為」として忌避される傾向が強いらしい。後で示すが、「マスクをするか、しないか」が新型コロナに感染しないためには決定的に重要であるらしい。

大谷選手のプレーが見たくて、今年はヒマさえあれば米MLB中継をよく見ていたのだが、テキサス州などの米国南部ではマスクを着けている観客をめったに見なかった。エンゼルスのおひざ元のカリフォルニア(政治的には民主党の牙城)ではマスクをつけている観客もチラホラいたように記憶している。マッチョ志向性、共和党支持率。さらにマスク非装着率の間には強い相関があるらしい。
(この新型コロナウィルスの攻撃によって、共和党員は生物進化における自然淘汰の主対象となりつつあるように見える。「状況変化に応じて自ら柔軟に変われるものだけが生き残る」というのがダーウィンの教えなのである。もっとも、共和党支持者の主構成員であるキリスト教原理主義者はダーウィン進化論を元から信じていないのだから、こんなことをいくら言っても無駄なのだが・・。)

イスラエルでも、政府自らマスク解除令を出したりひっこめたりしていることから見ても、中近東でも欧米と同様のマッチョ志向があるらしい。いくら筋肉隆々としていてもコロナウィルスに対して強いことにはならないのは、世界中のあらゆる種類のスポーツ選手が多数感染していることで既に証明済みだ。我々東アジア人は、マスクをつけることについては、たいして抵抗はないのである。将来生き残る人類は東アジア人が主体になるのかもしれない。

続いて、各国の百万人当たりの(新規感染者)/日の推移を図-3に示す。

図-3

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この図は死亡率の推移を示す図-2を少し左側にずらした格好となっている(感染率のピークは死亡率のピークの数十日前にある)。ただし、この図の縦軸は必ずしも感染の実態を反映していない。その理由は各国ごとにコロナ感染の検査範囲と検査数が大きく異なるからである。各国の検査数の推移を図-4に示す。

図-4

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図-3を見る限りでは、10/3時点での日本の新規感染者数は韓国の約4分の1、その他の5カ国の30分の1以下であるように見える。しかし図-4を見ると、韓国は別として、9月末時点での日本の検査数は米国の約6分の1、その他三カ国の約20分の1でしかない(マレーシアは、政治的な理由によるのか、8月下旬以降は検査数が公表されていない)。

検査数が他国に比べて極端に少ないのだから、日本政府が公式発表する感染者数も各国に比べて著しく低いのは全く当然の結果なのである。各国と同程度の検査数であったなら、日本もほぼ他国並みの新規感染者数を示していたことだろう。ただし、最近の感染者数の全国一斉の急減傾向は本物だろう。これは各都道府県の検査手法がこの間に変えられていないだろうから言えることである。

日本では、現時点での公的な検査対象はコロナ特有の症状を訴えた当事者とその濃厚接触者とに限定されている。個人が民間の検査機関に自費で検査依頼するケースもかなりあるが(公的検査よりも若干検査数は少ないらしい)、その検査数は政府が公式発表する検査数にはほとんど含まれていないようだ。

民間検査で陽性が出た場合には当然感染者としてカウントしているはずだが、筆者が調べた限りでは、そのことすらも政府の公式発表の中では詳しくは説明されていない。要するに、日本政府は、検査数を増やすことに対して極めて消極的な姿勢に終始してきたのである。
岸田新総裁は総裁選の前か後かの公約で「PCR検査数をもっと増やす」と約束したらしいが、その実施が衆院選後の11月以降になることは明らかだろう。選挙前に感染者数の増加を公表するのは、政権党にとっては自滅行為でしかないからである。大方の予想に反して衆院選の投開票日を10/31に前倒ししたのも、コロナの感染者数が再び増えないうちに選挙を終えてしまいたかったからだろう。

なんだか、攻撃してくる相手の実態をわざと正確に把握しようとせずに、自分に都合のいい数字だけを発表し続けているようにも見える。1945年以前の大日本帝国大本営発表の現代的再現と言うべきか。日本人の、いや少なくとも日本政府の精神的DNAに関しては、76年前からたいして変わってはいない。

マレーシアを除くアジア三カ国を比較するための資料として、次の図-5も載せておこう。これは上の図-4までとは異なり、感染初期の2020年1月から現在までの日本、韓国、シンガポールの百万人当たりの一日での死亡者数を示したものである。

図-5

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OECDによる2020年の一人当り名目GDP(名目金額を購買力平価で調整済)が世界2位に位置するシンガポールは、ごく最近まではコロナ死亡者数はほぼゼロであった。

OECDによる一人当りGDPが世界24位であり、そのドル換算金額がシンガポールの42%でしかない日本は、コロナ死亡率ではシンガポールにはもちろんのこと、同GDPランクで世界23位に位置する韓国にさえも大差をつけられてしまっている。

韓国は日本と同様に検査数は少ないものの、図-5を見れば、百万人当たりの死者数では日本との間には大きな差があることは明らかだ。これは韓国独自のスマホによる濃厚接触者特定方式において接触度の順位付けがうまくできているのか、それとも重症者向けの医療体制の充実度が日本よりも優れているのか、どちらかか、或いは両方なのかもしれない。韓国のやっていることで学ぶべきことがあれば、先入観なく素直に学ぶべきだろう。
なお、この図-5に見るように、日本の第五波では第四波よりもビーク時の死者数が明らかに減っている(約二分の一)。一方で図-3に見るように、感染者数では第四波よりも第五波のビークの方がはるかに多い(約四倍)。4/12に開始された高齢者に対するワクチン接種の進展がこの死亡率の低減に大きく寄与したことは明白だろう。最近増えていると聞くワクチン接種反対論者は、この事実に対してどう反論するつもりなのだろうか?

(余計な話かもしれないが、数日前、フジサンケイグループが、ネット上に「韓国のコロナ感染者数は横ばいだが、日本の感染者数は最近こんなに減ったぞ!ザマー見ろ、韓国!」的な記事を載せていた。上の図-4、さらに図-5を見ていただければ、この記事の内容が全体の一部分を切り取って見せているだけの、感情的、かつ客観性を欠いた恥ずかしいものでしかないことは明白だろう。
筆者個人としては、別に韓国は好きでも嫌いでもない。(ただし、仁川空港でインチキタクシーにボッタクラれた時には、ムチャクチャ腹が立った記憶がある。)仕事で韓国企業と付き合っていた頃、彼らの自己主張の強さには正直言って辟易もした。しかし、他の国とも比べてみれば、日本人よりも彼らの行動の方が世界標準により近いのだろう。

我々日本人は自己主張をし無さ過ぎると思う。我々は公式の場では自己主張をしないでおいて、後でグチグチと内輪で慰めあって自分の不満を解消しようとする。まことに後ろ向きな姿勢でしかない。我々は、例えば韓国人と上手に付き合うことで、世界標準に対する免疫をつけておく必要があるだろう。特定国や特定民族、特定個人への嫌悪感をことさらあおることでしかメシを食えないような、陰湿で内向きなメディアの将来は暗い。)

(2)第六波はいつ来るのか?

上に示した図-1,2,3から読み取った各国の各種指標を下の表-1に示す。

表-1

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ワクチン接種の進展度合いとしては100人当たりの接種回数が100回に達した日付を採用。今年六月以降のデルタ株の蔓延で感染拡大が一段階さらに進んだが、その感染進展の指標として、現時点に直近の死亡数と感染者数とが谷底となった日付を採用した。この日付以降はデルタ株が主になったと考えられる。

英国、米国、マレーシアのように死者と感染者数がダラダラと比較的平坦に続いている場合には、どこが谷底なのかが特定し難い。一方、イスラエルシンガポール、韓国、日本のように増減がはっきりしている場合には谷底の時点は明確である。

この表の四列目「②-①」と五列目「③-①」は、ワクチン接種がデルタ株の蔓延拡大に間に合ったかどうかを示すものである。ここがプラスの場合にはデルタ株の拡大以前にワクチン接種を終えていると言ってよく、イスラエルシンガポールがこれに相当する。英国、米国は接種の進展がデルタ株の拡大開始とほぼ同時期。マレーシア、韓国、日本のアジア三カ国はこの指標が大きくマイナスとなり、接種がデルタ株の感染拡大に追い付いていなかったことを示している。

六列目の「②-③」は感染者拡大と死亡者拡大の時期のずれを示すもので、谷間がはっきりしているイスラエルシンガポール、韓国、日本のデータから、感染確認と死亡との間には約一か月のズレがあると言ってよいだろう。

さて、日本の今後の感染の程度を予想するうえで参考になるのは、接種がほぼ終わった時点でデルタ株の感染拡大を迎えたイスラエルシンガポールである。ただし、イスラエルの場合には、接種の進展とデルタ株来襲の間が空きすぎていて、この間に接種でできた体内抗体が相当減少してしまっているらしい。

イスラエルの状況については次の二つの記事が参考になるだろう。なお最近報道されているように、イスラエルでは三回目の追加接種を既に開始しており、その結果、九月中旬をピークに感染者は減少しつつある(図-3)。

 

「屋内マスクを再び義務化 イスラエル、変異株で方針急変」

「ブレイクスルー感染、日本はイスラエルの二の舞になるのか?」

特に昨日公開された後者の記事が参考になる。この記事の内容を以下に要約する。

特に重要と思ったのは、一般人と医療従事者の間にはブレイクスルー感染率で一桁の差があるという所だ。医療従事者のように感染機会を減らすように気をつけてさえいれば、ブレイクスルー感染はそれほど恐れるべきものではないのだろう。

イスラエルではワクチン接種の進展で新規感染者がほぼゼロになり、6/1に社会的規制を全て撤廃。しかし、六月末からデルタ株による感染爆発が発生。


・ワクチン接種を完全に終えた人が感染するブレイクスル―感染が8月に入って激増。ただし、接種完了した人で見ると、8月上旬の一週間にブレイクスルー感染が発生した割合は接種完了者の1%程度であり、残りの約99%は感染していない。(この部分のデータの説明とこの記事を書いた宮坂氏の説明には不十分な点があり、この部分の説明がはたして適切なのかどうか筆者には疑問が残る。)


・ブレークスルー感染しても、重症化する割合はワクチン未接種者に比べれば非常に低い。
・オランダと米国からの報告によれば、医療従事者でのブレイクスルー感染者の割合は1%以下と非常に低い。一般人でもブレイクスルー感染者の割合は数%程度。


・結論としては、ブレークスルー感染の発生を完全に避けることはできないが、ワクチン接種を完了していれば重症化と死亡率を大幅に引き下げられることは確実である。政府は社会的規制を一気に撤廃するのではなく、段階的に解除していくことが望ましい。

 

次にシンガポールの感染拡大状況を見ておこう。


「「ワクチン先進国」シンガポールで、いま本当に起きている「すごすぎる現実」」
9/21に公表されたコンサルタント会社経営者によるこの記事は、まだシンガポール国内の感染急拡大が広く認識される前に書かれたもののようで、シンガポールの先進性・優位性ばかりが強調されている。この記事は前半であり、記事の最後のページから後半の記事に入ることができるが、後半でもシンガポールの礼賛と、日本や周辺アジア諸国の対策立ち遅れへの指摘が目立つ。

シンガポール政権交代を経験したことがない準独裁国なので、政府の意志決定が早いのだろう。筆者は独裁国家に住みたいとは全然思わないが、参考にはなる。

「接種8割も感染急増 それでも「ウィズ・コロナ」を行くシンガポール」
この記事は10/5公開なので、直近の感染急拡大を正面から取り上げている。図-4に示すように現時点でのシンガポールの検査数は日本のそれの21倍もあるが、このレベルは今年五月からほとんど変わっていないので、単に検査回数が増えたから感染者も増えたという問題ではない。

同国政府は「ウィズコロナ」を目標に徐々に規制を緩和してきているようだが、何をいつの時点で緩和したのかはまだよく判らない。感染者が増加に転じた8/22の前の一、二週間での変化を調べる必要がある。


いずれにしても、一般的にはシンガポールは日本よりさらに規制の厳しい国であり、日本人から見れば国民の大半が富裕層、かつ既にワクチン接種済。皆がマスクをつけて消毒にも気を配っているのだろう。その国でこのように感染の急拡大が起こっているという事実は、同国よりも規制がゆるめである日本にとっても他人ごとではない。


シンガポールの直近の感染者再拡大は表-1に示すように8/22以降であり、この日はワクチン接種が100人あたり100回に到達した7/6からは47日目にあたる。

日本が同様の接種率に到達したのは8/29であり、シンガポールと同じ47日間の感染減少期間を経てから再拡大に転じるとすれば、その転換日は10/15、即ち来週末あたりということになる。これから約一、二週間の感染数の推移に要注目である。

 

(3)東京はシンガポールと同様にこれから感染再拡大?

 次の記事は国内の潜在感染者数の推定に関するもの。実際には公式感染者数の何倍もの感染者が街中を自由に歩き回っているという衝撃的なデータである。
「「隠れ陽性」市中で増加 ワクチン2回接種後に感染も」

この記事は先月の9/16時点のものだ。その後の推移を知りたいと思い「モニタリング検査」で検索を続けているのだが、一向に検査結果が見つからないのである。こんなに重要なデータをなぜ隠すのだろうか?政治的思惑が働いているのではないか。

これも各自治体、医療関係者、マスメディアによる政府への忖度の一例なのかもしれない。あるいは政府首脳自身が、「科学的なデータ収集などは二の次だ。選挙目当てのその場しのぎのパフォーマンス(アベノマスク等々)の方がもっと大事。」と思っているのかもしれない。実に情けない。

新型コロナ感染に関連の基礎的科学データに対する日本政府の軽視は、この件だけにはとどまらない。感染が拡大してから既に一年半も経つが、日本人が国内でまとめた感染に関する基礎的なデータを見たことが無い。

上のイスラエル関連の記事でも、もっぱら外国の研究者がまとめたデータをそのまま紹介することしかできない。GOTOトラベルに使った税金の百分の一でもこの分野の研究者に回していたのなら、今頃はずいぶんとまともな対コロナ戦略が完成していたのではないだろうか。

このような科学的事実の無視がまかり通るような環境では、ノーベル賞を受けるような優秀な科学者ほど率先して日本を出てしまうのも当たり前の話なのである。

「真鍋淑郎氏が「日本に戻りたくない」理由 受賞後の言葉に「切実」「どう受け止めればよいのか」」

ちなみに、日本出身で受賞時に外国籍を取得済であったノーベル賞受賞者は今回の真鍋淑郎氏で四人目である。今後、ますます増えていくだろう。

「日本人のノーベル賞受賞者」

真鍋氏は1997年から一時的に帰国、当時の科学技術庁が所管するプロジェクトの研究リーダーに就任したものの、日本の官庁の縦割り行政の弊害とその深刻さにあきれて早々に米国に帰ったそうである。

 

さて、東京都の感染者は現在は急減したが、現時点のシンガポールのように再び増加する可能性はあるのだろうか。ワクチン未接種、かつ未だに感染しておらずコロナに対する抗体を持っていない人がどれだけいるかがその答えになる。簡単な計算で東京都とシンガポールの抗体未獲得者の割合を推定してみた。結果を次の表-2に示す。東京都のデータは都の公式サイト「ワクチン接種実績」等から引用した。

表-2

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この計算の前提として以下の仮定を置いた。


・全人口から、接種による抗体獲得者と、感染による抗体獲得者(潜在感染者を含む)を差し引いて抗体未獲得者を算出した。


・東京とシンガポールでは、共に接種または感染による抗体獲得は最近数か月のことであり、体内の抗体の減少はまだわずかとみなしてブレイクスルー感染の可能性は無視した。
・公式認定感染者と潜在的感染者の合計は公式認定感染者累計の三倍と仮定した。上の「隠れ陽性」の記事では十倍との数字が出ているが、これは繁華街等で活発に活動している人が検査対象であり、都全体としてはもっと低い値を仮定した。なお、この三という値には特に根拠がある訳ではない。あくまで計算を進めるための仮の値である。

なお、検査数が断然多いシンガポールでは潜在的感染者はごく少ないと考えられるので、シンガポールについては一倍に近い掛け率でもよかったのかもしれない。その場合には東京との「抗体未獲得率」の差は縮まるが、東京の方が大きいことには変わりはない。

(何度も繰り返すが、今後の感染予測を大きく左右するこれほど重要な指標でさえも、中途半端な調査で正体不明なままに放置し続けているのだから、日本がどんどんダメになっていくのは当たり前の話なのである。)

・比較時期としては、シンガポールはデルタ株による感染拡大が始まった8/22、東京は現時点とした。

 

一番右側の列「抗体未獲得率」が以上の仮定のもとで得られた結論である。東京では現時点で三割の人がまだ抗体未獲得との推定である。

シンガポールでは抗体未獲得者が二割まで減少した時点で感染再拡大が始まり、現時点では図-2と図-3に示したように、死者は東京の3倍、感染者は東京の34倍に急増している。東京がシンガポールのように感染再拡大する可能性はまだ十分にあると言ってよいだろう。

今後、まだ未接種者が多い若年層への接種を進めるのは当然だが、現在はワクチン接種の対象となってはいない12才未満の子供たちの陽性率も十分に調べておくべきだ。

数か月後には既にワクチン接種済の高齢者の抗体減少度が大きくなるので、ブレイクスルー感染が増加することはほぼ確実である。追加ワクチンの手配は十分にできているのだろうか?

表面的には無症状の未接種の若者と子供とが、今後のコロナウィルスの主要な供給源になることもまず間違いないだろう。キューバでは、二歳以上の全ての子供にワクチン接種することを既に決めたそうである。

「2歳以上の子どもにワクチン接種へ キューバに世界初の決断をさせたデルタ株の恐怖」

/P太拝