先日にはペロシ下院議長が訪台、その直後から中国軍の台湾を取り囲んでのこれ見よがしの軍事演習が始まりました。台湾有事の予行演習というところでしょうか。
最近は習近平の三期目を確実視する記事が増えてきたものの、今の中国が感染力がさらに強まったコロナ変異株を容易に抑制できるとも思えず、新型コロナと経済低迷は依然としてこの秋の中国共産党大会までは大きな変動要因として残り続けることでしょう。
さて、硬い話ばかりが続いたので、この辺で気楽な話題をということで、久しぶりに好きな歌の話しです。
ぼんやりしている時や単純作業を続けている時などには、筆者の脳裏には好きな歌のメロディーや歌詞が無意識のうちによく浮かんできます。先日、少し思い返してみたら、たいていは悲しい内容の歌ばかりでした。
考えてみると、世間で唄われている歌の大半が恋人や家族との別れに関する歌なのです。特に演歌などはほぼすべてが哀しい内容といってよく、自分が幸せなことを歌う歌などはほんとうに数が少ない。幸福を歌っても、他人の共感はなかなか得られないようです。
無意識のうちに脳裏によく浮かぶ唄を以下に集めてみました。大半は筆者が二十代前後であった70~80年代に流行った唄ですが、最近になってyotube経由で知った唄も含まれています。なお、タイトル後にある数字は発売年を示しています。
① 「一時間」 ハンバートハンバート 2006
最近、よく知られるようになってきたハンバートハンバート。この唄はまだ認知度が低いのですが、隠れた名曲と言ってよいでしょう。遊穂さんの透き通った声が素敵です。
② 「夜明けのグッドバイ」 イルカ 1980
イルカがデビューしたのは筆者が高校生の頃。当時はシュリークスというグループの一員で本名の保坂姓で出ていました。この曲は作詞・作曲ともイルカ。
③ 「雨の物語」 イルカ 1977
歌詞の冒頭の「化粧する君の背中がとても小さく見えるから、僕はまだ君を愛しているんだろう」という所が、男性の心の動きをよく表していて本当にスゴイと思う。作詞・作曲は伊勢正三。一緒に出演していることが多いので、伊勢正三とイルカは夫婦なのだろうとずっと思っていました。
④ 「サルビアの花」 もとまろ 1972
当時の早川義夫バージョンが無かったので、一番よく売れたと言われている「もとまろ」版を紹介しておきます。
恋人の結婚式のシーンと言えば、1968年公開の映画「卒業」のラストシーン、ダスティ・ホフマンが花嫁衣裳を着たキャサリン・ロスを式場から連れ出して、ちょうど来たバスに飛び乗る場面を思い浮かべてしまう。アメリカ人は即行動。
それとは対照的に、日本人が作る歌はというと、結婚していく恋人を遠くから眺めながら泣いている自分をなぐさめて歌うだけ。日米間の人の心の中の湿度の違いを感じます。
⑤ 「さようなら」 NSP 1973
田舎の高校生のささやかな恋愛を歌った唄。名曲です。
筆者が大学生であった頃、西城、郷、野口の「新御三家」が人気を集めていました。当時、周囲の同世代の女性陣に「誰が一番好き?」と聞いてみたら、予想に反して野口五郎が一番人気でした。誠実さと清潔感とが好印象だったのでしょう。今聞いても唄のうまさはなかなかスゴイと思います。
秋になるとこの曲が聞きたくなります。背景には神戸市の風景を想定しているらしい。「赤い鳥」の当時、背の高い山本潤子さんよりも、丸顔の平山泰代さんの方が好きでした。
⑧ 「リフレインが叫んでる」 松任谷由実 1988
松任谷由実(荒井由実)の代表曲「中央フリーウェイ」にあるように、荒井由実といえばマイカーでのドライブと都会の風景とが連想されて、車も持っていなかった当時は「田舎出の地方人」の俺たちとは住む世界が違うという感覚がありました。でも、この曲はなぜか好きで心に残ります。
この曲を歌う長谷川きよしのカッコよさと当時のフォークソングブームもあって、高校の時にクラシックギターを購入。早速にこの曲の楽譜を入手してみたら、とてもじゃないが、簡単にひけるようなレベルではなかった。結局、ギターはアルぺジオ止まり。そのギターは筆者と共に日本各地を転々とし、今は実家の物置の中で眠っています。
南米のフォルクローレがなぜか好きで、この唄の作曲者でケーナ奏者でもあるウニャ・ラモスのCDも持っています。この曲を聞くたびに、高原を吹き渡っていく風と「乾いた哀しみ」のようなものを感じるのです。
原曲はシャンソンとのこと。朝倉ノニーの<歌物語> | もう取り返せない(別離)C'est irréparable (fc2.com)
長谷川きよし版もありますが、歌詞の内容からみて女性が歌った方がふさわしいと思い、岸洋子さん版にしました。この映像はその年末に彼女が亡くなられた年、1992年のもののようです。生きることの哀しみが凝縮され、人の形をとって再現されたかのような熱唱です。
/P太拝