「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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平井県政の二期八年を検証する (2)  -地価の下落も止まらない-

 国土交通省は毎年三月に、その年の一月一日時点での全国約二万三千地点の地価を公表しています。今年の公表結果は次のサイトから見ることが出来ます。
 
 
 都道府県別の住宅地の地価増減率を見ると、地価減少率ワースト一位は去年、今年と二年続けて秋田県。そして今年のワースト二位は、わが鳥取県です。これも二年連続でこの順位。
 
 秋田県は人口減少率が全国一高い県でもあり、毎年のように、前年よりも人口が約1%も減るというすさまじい過疎化が進行中です。鳥取県も人口減少中ですが、そこまで急速に減っているわけではない。両県の比較のために、人口減少率と地価増減率の関係を調べてみました。各県の人口の推移については、次のサイトを参照しました。
 
 
 2008年以降のデータをまとめた結果を下の図に示します。鳥取県、および近隣の島根県岡山県。さらに人口も県民所得も急激に減少している例として、秋田県高知県も加えました。
イメージ 1
 
 この図から判ることは、以下のようになります。
 
①島根は鳥取よりも人口減少率が約1割大きいが、地価の減少率は鳥取よりも約
3割小さい。
②秋田の人口減少率は鳥取よりも約7割も大きいが、地価の減少率は鳥取とほぼ同じ。
③高知の地価は20112012年にかけて急減している。
 
 ①と②から言えるのは、鳥取の地価減少率が高いのは、人口減少の影響よりも県内経済の不振によるところが大きいということです。経済が冷え込んで、土地に対する需要が減少しているのです。鳥取とは対照的に、景気の回復に伴って東京の都心部では数年前から地価が上昇傾向、最近は名古屋や大阪の中心部でも地価が上昇し始めています。「地価は経済の体温計」とはよく言ったものです。
 
③については、2011年に発生した東日本大震災により、巨大津波による被害に関する懸念が高まったことが原因でしょう。南海トラフ地震による津波被害が集中すると予想されている和歌山や徳島も、高知と同じく2012年にかけて地価が著しく落ち込んでいます。ちなみに、南海トラフ地震の発生確率は、今後30年以内に6070%とされています。(当ブログの3/14記事参照)
 
鳥取の地価が直近の7年間で26%も下落しているというのは、改めて考えてみるとじつに深刻な話です。7年前の評価額が二千万円であった土地を持っている人にとってみれば、毎年七十万円以上もの損失を七年間連続で被り続けていることになります。地域経済の低迷は、単に直接の雇用者だけにとどまらず、その地域に住む住民全てに対して、所有する資産の価値の下落という深刻な影響をもたらしているのです。
 
 先回の記事で、2011年まで鳥取県の県民所得が全国トップクラスの速度で急減し続けていることが明らかになりました。今回の地価データを見ても、この県内経済の低下はまだ底打ちしてはいないようです。鳥取市内での実感としても、景気が良くなって来たような感じは全くありません。
 
 あらためて、平井県政の八年間の評価という課題に立ち返ってみましょう。片山前知事が就任した1999年時点で、鳥取県の一人当たり県民所得の全国順位は33位。片山氏が退任し平井現知事が就任した2007年での順位は36位。これが2011年には44位まで低落。現在はさらに順位が下がっている可能性が高い。
 
この経済不振の主因は鳥取三洋電機の消滅に代表されるような、県内の主要産業であった電機産業の衰退にあることは確かですが、この傾向は’90年代からの工場の海外移転等に見られるように一貫して続いてきたことです。この間、電機産業に代わり得る産業の育成が一向に進んで来なかったことに対して、前知事も含めた歴代の県幹部の責任は大きいものがあると思います。
 
不思議なのは、平井知事がまだ三選出馬を表明していない去年の秋の段階で、地元紙などに「平井三選出馬待望論」がしばしば掲載されていたことです。「県内各自治体の首長がそろって平井知事に三選出馬を要望・・」、等々。これは、県からの補助金を少しでも増やして欲しい各首長がオベンチャラを言いゴマすり競争をやっていたのか、それとも地元紙が意図して流した情報なのか、その真相は不明です。
 
しかし、これほどまでに県民経済の悪化を招いた最高責任者に対して、さらに継続して知事をやって欲しいなどと言うのは、いったい何を考えているのかと言いたくもなります。民間企業であれば、これほどの業績悪化を招いた社長は、三期どころか、一期目の半ばの株主総会において解任動議が提出・可決され、即刻クビになることでしょう。
 
自民・公明・民主の三党相乗りでの平井支持も理解できません。本当に県民の生活向上を願っているのなら、八年間もやってきて実績を上げられない知事に対しては、草の根分けてでも候補者を探し出して対抗馬を立てるのが、政党としての県民に対する当然の責務だと思います。
 
 平井県政の内容を調べれば調べるほど、その実績が乏しいことが見えてきます。マスコミをうまく活用して自分の露出度を増やして良い印象を振りまくことには長けてはいるが、今まで述べてきた経済実績の惨状が物語るように、実際の仕事の成果は上がっていません。うわべだけ仕事をしたふり、パフォーマンスばかりに注力していて、実際に県民を取り巻く状況はむしろ悪化しているように見えます。次回からは、平井県政の個別の政策について調べてみる予定です。
 
/以上