「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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日本の若者が支持できそうな政党はどこか?

 先日、民進党が発足しました。でも世論調査の結果によると、「期待しない」という結果が約六割とか。極めて厳しい評価です。三年間の民主党政権下での混迷の記憶が全然払拭されていないように見えます。

 「何も決められない民主党」はどうしようもなかったが、「何でも強引に決めてしまう自民党」にも困ったものである。アベノミクスは既に賞味期限が切れ、今年は円安株高から円高株安への移行が進むだろうというのが大方の見方。株価に比例して安倍政権の支持率も下降する。七月の参院選前には、例によって景気刺激のカンフル注射があるだろうが、二月のマイナス金利導入の時と同様に、その株価への効果は数日しか続かないだろう。全ては安倍政権スタート時に総理が強調していた「第三の矢としての成長戦略」が、全く実現していないためである。

 安倍総理がことあるごとに唱える人口増や女性労働力増加への取り組みも、先日の政府の緊急対策の内容では肝心の保育士給与のアップが骨抜きになってしまった。予算の裏付けが何もない対策であり、待機児童の解消はまったく望み薄だ。

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 ついでながら、我が鳥取市の保育士採用の現状について言うと、近年は正職員1人、、非正規の保育士80人程度を毎年募集している。昨年度は非正規保育士が確保できなくなったためか、正規職員を4人予定したが、その前の三年間は正規の募集はずっと一人だった。次の表に、市が最近公表した昨年度の採用結果を示す。

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 非正規保育士80人採用予定に対して、実際には49名しか採用できなかった。原因は、給料が税込みで月に14万円程度と安いためである。正職はその二、三倍以上はもらっているだろうが、大切な人様の子供を預かるという責任については正規も非正規も一緒だ。これでは応募者が減るのは当然だろう。

 最近聞いた話では、市内の保育園に子供を預けようとしたが、「保育士の数が足りない」との理由で断られたとのこと。鳥取市は都会と違って待機児童とは無縁と思っていたが、実態は都会と同じなのである。「ハコモノばかりにカネを使って、市民サービスに使うカネは極力ケチる」という竹内前市長の市政がまだしっかりと続いているのである。

 職員採用全体を見ても、121人採用した中で非正規職員は全体の約6割を占めている。これに公民館職員等の公式統計に出てこない非正規職員の採用を含めると、市の新規採用職員の大半は非正規と言うことになる。鳥取市は、まさに「日本の悪しき将来」を先取りして実現している「先進自治体」と言ってよいだろう。
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 3/29に憲法に反する内容を含む安保法制が施行されたが、実際にこの法制に沿った自衛隊の訓練は秋までは見合わせるとか。自衛隊を戦地に派遣して死者が出たら、夏の選挙に不利になるからでしょう。とにかく夏の選挙までは、「今は何かをやったふりをして選挙民をごまかす」という姿勢がミエミエ。

 さて、アメリカでは大統領予備選が激戦の佳境に入っているが、本命視されている民主党クリントン候補に対して、当初は泡沫候補扱いされていたサンダース候補が予想外に健闘しているようです。同様の現象は欧州でも起こっているらしい。この筆者は英国在住の日本人だが、一般的に、日本の外にいる人間の方が日本の事を客観的に見ることができるものです。


欧米の今の若者は親世代よりも貧しくなっているという事実は、日本でも同じです。それなのに、日本の若者が政治に対して異議申し立てをしないのはなぜか。この記事の一部を抜粋してみましょう。

「・・・日本のジェネレーションYを取り巻く状況も欧米と同時進行で推移している。が、本人たちがそれを意識していないというか、受難の当事者意識がないという。

 エキタスの藤川里恵さんはこう言った。
 
「『考えたくない』んだと思うんです。考えたら、先を考えたらもう終わってしまうんです。本当は中流じゃなくて貧困なんですけど、貧困っていう現実に向かい合うと終わっちゃうから・・・・。(略) 労働問題とかを自分のこととして考えることをすごく嫌がるんです。だから、友達と話をするときに、そういう話題を出せない・・・・」
 
 その気持ちはよくわかる。いったん自分を客観的に見てしまうと、自分のみじめさ・情けなさにあらためて愕然とするから。今までかろうじて自分を支えてきたわずかなプライドを、いっときにせよ失ってしまうから。人は、「見たくないものは見なかったことにしたい」生き物であるから・・・。
 
 でも、「見たくないものも、あえて、しっかりと見る」ことを始めないと、事態はいつまでも良くならない。むしろ、眼をそむけていると、事態はいっそう悪くなる。この「最低賃金を時給1500円に!」という運動を始めたエキタス、「保育園落ちたの、私だ!」と国会前で叫んだママたちも、「今まで見たくなかったものを、しっかりと見よう」とし始めた人たちだと思う。
 
 先日発足した民進党に将来があるとすれば、この親世代よりも貧しくなることが確実な若者世代に対して、将来の希望をあらためて与えることにしかないと思う。今の政権与党は、年金を受け取る高齢者世代の投票によって支えられている。旧民主党自民党も、高齢者へのアメ玉配りばかりやってきたが、その政策もそろそろ限界にきている。言うまでもなく、国の財政が破たん寸前となっているためである。
 
 次のグラフは、2013年当時の財務省HPから引用した「日本政府の借金の対GDP比の推移」を示したものである。この図では2012年までしか出ていないが、2015年現在では234%に達している
 
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 ここまで政府の借金が膨らんだあとで、平穏に事態を収束できた例は、世界史上にほとんど前例がない。ほぼ例外なく、国の財政が破たんしている。日本での前の戦争の直後と同様に、借金のピークの直後には、国債の紙くず化、通貨価値の暴落、ハイパーインフレの発生が通例となっている。超インフレのおかげで政府借金は魔法のように消え去ることになるが、その一方で、庶民は極端な物価の上昇と所有資産の価値下落に苦しむことになる。
 
 今のアベノミクスの金融緩和も、景気浮揚が目的とは言いながら、実はゼロ金利政策による政府の公債費圧縮が真の目的ではないだろうか。今はマイナス金利になっているから、総理周辺では「国債の返済額が減らせる」と手をたたいて喜んでいる輩が多いことだろう。
 
 いずれにしても、今までの高齢者への優遇策は、近いうちに財政的に破たんして大幅減額することになるのは必定である。2020年の東京オリンピックまでは国際的に見栄を張って、「ブラジルとは違って日本は大丈夫!」というフリを無理をしてでも続けるだろうから、本当の危機はそれ以降に来るものと予想する。
 
 与党はその立場上、既存の支持層に配慮せざるを得ない。高齢者に手厚く、子育て世代にはうわべだけ支援したフリを続けることになる。一方、野党は政策を吟味し変更することによって、新たな若い支持層を獲得することが可能だ。生物としての限界ゆえに、今の高齢者層が近いうちに消滅することも確実である。
 
 旧民主党労働組合を基盤としてきたが、この点についても再考が必要と思う。現在、日本の組合傘下の組織労働者はすべての勤労者中の約17%でしかないとされている。人口減少の中で日本の労働人口を増やすためには、年功序列等の固定的な労働慣行の見直し、生産性に見合った賃金体系の見直し、労働市場の流動化は不可欠。既存の労働組合が正規職の大幅な賃金削減まで踏み込んでまでして非正規職の組合への加入を図らない限り、組合の組織率の低下は今後も続くだろう。
 
 この労組に対する旧民主党の姿勢が、身近なところで鳥取市民に対してとんでもない災厄を生んだ可能性が強い。約一年半前に市議選で当選した秋山議員は、当選直後に選挙時の公約を翻して市庁舎新築移転に賛成した。この結果、鳥取市民は高く見積もっても30億円程度とされた耐震改修案ではなく、100億円近くかかる新築移転案の費用負担を引き受けることになってしまった。一人の議員の裏切りによって、市民の負担が約70億円も増加することになってしまったのである。
 
 (新築移転に賛成する議員は、国の合併特例債を使うことで市民の負担なく新築できると今まで言ってきたが、これは完全なウソである。国から鳥取市への地方交付税算額は2012年度の257億円をピークに減少に転じている。一方で、国が地方交付税に含めて市に支払うと約束していた合併特例債償還額は毎年増加し続けている。要するに、国が払ってくれない分、市の負担が増加しているのだ。そのツケは従来あった市民サービスの削減として表れている。この件については、改めて述べたい。)
 
 秋山市議は旧民主党所属である。市議選の際に、どこかの組合からの支援があったことは想像に難くない。聞くところによれば、市職労(自治労)からの支援が大きかったようである。
 
 筆者の見るところ、今の鳥取市職労は自分たちの給料の確保しか頭にない。自分たち以外の鳥取市民の財布の中身のことなど、どうでもよいように見える。だから二年前の市長選の際、市職労は、住民投票結果をひっくり返して市庁舎新築移転を強引に推進した前竹内市長が後継者に指名した現深澤市長を組織をあげて強力に支援したのである。まさに選挙違反スレスレの行為を行っていたそうである。その選挙支援の恩賞として、深澤氏が当選した直後、市職員は大幅な給与アップを勝ち取っている。
 
 現在の鳥取市職労は、毎日一緒に働いている臨職保育士の低賃金を長年放置し続けていることなどに見られるように、鳥取市民全体の利益の事などまったく考えていない。直近の市長選でも見たように、自分たちだけの給料さえ上がるのであれば、市民全体の負担がいくら増えても気にしない。本当にどうしようもないエゴ組織であるといってよい。
 その傲慢と増長のツケは、市の財政の急速な窮乏化として、近いうちに君たちの頭の上に降りかかってくることになるだろう。市民に負担ばかり押し付けている鳥取市には一円も税金を払いたくないと、この街から出ていく人が増えるのは確実だ。
 
 民進党旧民主党は、今後縮小必至な労組に、国や自治体という住民全体の利益に目を背けて自分たちだけの利益確保しか念頭にない労組に、今まで通り依存していてよいのか?労組員の約五倍にも達する非組織労働者のことは無視するつもりなのか?あなたたちは、国民の大多数をホッタラカシておいて、当面の、自分たち議員のイスを確保することだけしか考えていないのではないか?
 
 民進党は、夏の参院選の数合わせの皮算用ばかりやっていないで、自らよって立つ政策の根本を時間がかかってもよいから再考すべきであろう。この国をどうするつもりなのか、どうしたいのかを改めて深く議論してほしい。
 
/以上