「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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タイ国王逝去のニュースに接して、少し考えてみたこと

昨日、タイの国王が逝去されたとのこと。報道によれば、約七十年間もの長きににわたって、自ら築き上げたカリスマ性をもって国の安定と発展に大いに貢献されてきたとのことです。

たまたまですが、二日ほど前にタイの国内情勢に関する記事を読んでいました。


この記事の筆者の川島氏は、元々は中国の農業経済の専門家であり、タイのことを取り上げていたのが少し意外でした。ちなみに、氏は農村社会の現実からその国の将来を予測する記事を多く書いています。

上に紹介した記事では、国王の権威の元でいままで抑えられてきたタイ国内の(農民+下層都市民) 対 (軍部+都市中間層)の間の対立が、今後激化するとこは必至。これに外部から(中国)vs(米国+日本)の対立が加わって内戦状態になる可能性すらありうるとのことです。

さすがにそこまではいかないだろうとは思ったものの、川島氏が記事の最後で触れているユーゴスラビアやシリアの例を見ると、ひよっとしたらありうるかもと言う気もしてきました。

この記事の中で興味深いのは、国の産業構造が変化して農村人口が半分を切るあたりで社会の大変化が起こるという指摘です。各国のそれぞれの時代の農村人口の比率をざっと調べてみました。

 国と時代       (農業人口/全就業者)の比率   社会変化の内容

日本 1940年ごろ            44%           農村の貧困化
                    → 農村出身者が主の軍部が実質的に政権掌握
                            → 対中、対米英戦争に次々に突入
タイ  2011年           41%                       都市と農村間の格差拡大  
中国  2008年        40%(中国統計年鑑より)  都市と農村間の格差拡大

これを見ると、タイと中国ではこの先、過去の日本と同様に社会の大変革や外部への膨張圧力の増加が待ち構えているような気配も感じます。なお、現在の日本の農業人口の比率は1~2%程度です。

産業構造の異なる段階にある国が同時に併存していることで、各国の将来がある程度は個別に予測できるだろうと言うのは、とても面白い見方です。この切り口で現在の世界を見渡せば、各国と世界全体の将来像が少しは見えてくるのかもしれません。

なお、日本の産業構造が世界のほぼ先端を走っていることには間違いはないのですが、最近よく見かけるテレビ番組のタイトルのように、それだけで「日本はスゴイ!」と勘違いしないでください。この分野で世界の最先端を走っていても、それが日本の国民の幸福に直結しているワケでは全然ありません。
 
次の記事は、アジアの中で一応は民主的な選挙の元での政権交代が可能である、いわゆる民主的国家である日本、インドネシア、インドで、17~18歳以上の全世代の各国千人を対象として、各国のNPO団体が同時に実施したアンケートの結果を解説したものです。


 大変ボリュームがある記事なので、一部の結果の紹介にとどめます。「自国の将来への見通し」という設問に対する答えは次のようになります。

 国      楽観的に見ている   悲観的に見ている  
日本           20.7%          39.8%  
インドネシア     65.3%          8.0%
インド        75/9%          19.5%

日本人が自国の将来をとても悲観的に見ている理由については、この記事の内容を見てください。

このアンケート結果から筆者が連想する典型的な現代日本人の姿とは、「肩を落とし下を向いてトボトボと歩きながら、時々スマホを取り出して画面を見ては、一人でニヤニヤしている人物 (たぶん若者)」というものです。街を歩いてみれば、キョウビ、そういう人は実際にいくらでも見ることができますしね。

/以上