説明を聞いて一番びっくりしたのは、投資金額が巨額であること。施設と設備の合計見積もりが177億円!
ただし、この見積もりは10年前のもので、現状はいくらになるのかまだ不明とのこと。別の例では、資材も人件費も上がったことを理由に、鳥取市は新庁舎の建設費をどんどんとつり上げているのですから・・・。現在でのこの処理場建設費の見積もりはいったいいくらになることやら、200億円を超えるのは確実!?
さらに、これ以外にも金額未定の費用がたくさんあります。
①敷地造成費用
処理場予定地は山林に覆われた丘陵地であり、新たに土地造成が必要。水道・電気等のインフラ整備も必要。
②賃貸料
処理場予定地は周辺の六集落の共同所有。稼働後30年間に渡り、賃貸料が発生する。その金額はまだ決まっていないとのこと。
③施設運営費用
稼働後は東部広域管理組合と民間企業の合弁企業体が運営する予定とのこと。建設費と稼働後20年間の運営費用も含めて一括入札となる。
④解体・土壌汚染処理費用
稼働して30年後には施設を解体し、土壌汚染があれば処理し更地にして地元に返却する取り決めとのこと。
建設費用の負担については、国からの補助金が1/3、残りは地元負担。東部広域管理組合構成する一市四町の中での負担割合は人口比(全体で23.5万人)とゴミ排出量によって決定されるが、鳥取市が85%を負担するとのこと。
仮に建設費が200億円と仮定すると、鳥取市の負担分は113億円にもなります。すったもんだしてきた新庁舎への移転問題では、現時点では市は新庁舎建設・移転には98億円かかると言っています。どうせ、それよりも膨らませるつもり、ことによっては113億円を超すつもりなのかも知れません。
最近、市は新庁舎を百年持たせるなどと、ヌケヌケと言い出しました。同様の構造の現庁舎については耐震改修しても65年しか持たないと、さんざん攻撃していたのと同じ面々が、従来の自分たちの見解を恥ずかしげも無く、コロリと変えてきました。
この可燃物処理場の場合には、なんといっても設備寿命の短さが問題になります。この処理場は、稼働して30年後には解体することが既に決まっているので、その毎年当りの償却費は新市庁舎のそれよりも確実に多額となります。今後、高齢化に伴って社会保障費が増加する一方で、国から支給される地方交付税が今後減少することは火を見るよりも明らか。新しいゴミ処理場の建設・運営のための財源は、市民の負担増に求める以外にはないのです。
市民負担の増大は、ゴミ袋料金の値上げ等の形で現れることでしょう。固定資産税、水道料金、国民保険料、介護保険料、保育料、各種手数料なども、ゴミ処理とは分野としては別ですが、同じく市の収入源です。すでに、この秋に下水道料金が14.6%も上がったのと同様に、これらの料金も今後は大幅に上がる可能性が大きいのです。
大規模可燃物処理場の建設促進は、発ガン性・催奇形性物質のダイオキシンの発生量を減らすという国の方針によるものであり、代替案も無い今、すぐに方向転換できるものではありません。ダイオキシンの発生を抑えるためは800℃程度の高温でゴミを燃焼させる必要がありますが、高温を保持するためには広域から大量のゴミを集めて24時間連続で稼働させなければならないのです。
可燃物処理場の建設は止められそうもないので、市民負担を減らすための対策としては、それ以外の不要な出費を止めるしかありません。鳥取市における現在の最大の不要出費は、なんといっても市庁舎の新築移転計画です。「可燃物処理場建設」+「市庁舎新築移転」が実現すれば、鳥取市民の財布にとってはダブルパンチです。
「現庁舎耐震改修案」の何倍もの費用を強いることになる「市庁舎新築移転計画」をこのまま黙認しているようでは、数年後の鳥取市民の負担増は必至でしょう。
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