「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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湖山池の石ガマ漁、この冬は収穫ゼロ!

 先月末の2/26(日)、朝から風も無く良い天気。湖山池で石ガマ漁があると聞いたので、昼前に見物に行ってみました。11時ごろに三津集落の少し東側の現場に行ってみると、なんと、もう漁を終えて片付けを始めていました。

 漁をしていた人たちの話では、「全然ダメ、フナが一、二匹しかおらん」。とのこと。魚がいると突く棒の先に魚が当たるのでわかるが、魚がいる気配が全く無いので早めに漁が終わってしまったようです。以前には、朝から夕方まで七時間位続けて突いたという話はよく耳にしていましたが・・・。

 皆さん、ひどくがっかりしていて一様に口が重かった。当日撮った写真を以下に示します。

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 さて、2012年の汽水化事業の影響でこの年の冬は中止になった石ガマ漁。2015年3月に三年ぶりに復活したとのことでしたが、それから二年後には早くも壊滅状態に。そもそも、本当に復活したのでしょうか?2015年以降の新聞記事を元に検証してみましょう。
 
 まず、今年の報道から。漁から一週間経った時点で、既に報道していたのは日本海新聞だけでした。記事の概要を示します。
 
① 2017/2/26に漁実施
 
 2/27 日本海 「コツコツ追い込む 鳥取・湖山池 伝統の石がま漁」
 漁参加者や見物人の約50人が集まった。この日は一基で三時間の漁。例年になく石がまに泥が入り、捕獲に苦戦した。昔は一基当たり一回に300kg程度の水揚げがあった。保存会会長は「ここまで取れなかったのは初めて。漁を残していくために原因や対策を考えていかないといけない」と話した。
  ⇔ 「収穫量の記載が全く無い!」
 
 3/1 日本海 「冬の風物詩 伝統守る 鳥取・湖山池 石がま漁」
 約1/4ページを使って 当日の写真五枚を掲載。記事は伝統行事の紹介が主で、この日の結果には触れていない。写真中には、胴函(どうかん)に網を入れる写真もあったが、網の中に魚の姿は一匹も見えない
 
 この記事を読んだ人の百人が百人とも、「今年も無事に石ガマ漁が出来たんだな、よかった、よかった」と思うことでしょう。実際に現場に行って見ない限り、漁の実態はわからないものです。実態は、「形だけは漁のまね事をして手足を動かして見せたが、結果はゼロだった。」というものでした。虚偽とまでは言えないが、限りなく世論誘導的と言ってよい記事であることは確かです。
 
 以下、昨年、一昨年の記事の概要も示します。なお、毎日、読売、山陰中央各紙では石がま漁の記事は全く確認できませんでした。
 
② 2016/1/31に漁実施
 
 2/1 日本海 「寝床をトントン 鳥取・湖山池 伝統の石がま漁」
 地元住民のほか、県や市の職員が参加。約30人が一基で漁を行った。この日の水揚げはフナ約50匹(約30kg)であった。昔は一基当たり約400kgが取れた。去年から水揚げ後にフナのあら汁や刺身をふるまっており、今年は約50人が訪れた。
 
 2./4 日本海
 約1/2ページを使って当日の五枚の写真を掲載。記事は伝統行事の紹介が主で、この日の結果には触れていない。収穫の写真には網に入った魚が写っていた。(この写真の横には「大きく育った寒ブナ」との説明があるが、どう見ても最大で体長15cm位)
 
③ 2015/3/1に漁実施
 
 3/2 日本海「コツコツと魚追う音響く 石がま漁 三年ぶり復活 鳥取・湖山池」
 住民ら約30人が3基で漁を実施。悪天候のため三時間で終了。本来は一基で300kg程度の漁獲量。保存会の会長は「久しぶりに漁ができた。大事な財産として地域全体で守り残していきたい」と話した。
 ⇔ 「収穫量の記載が全くない!」
 
 3/2 朝日新聞鳥取版 「石がま漁 三年ぶり 寒ブナ30kg
 地区住民約30人が参加。時おり激しい雨の中で寒ブナ約30kgを収穫した。3基中2基からは数匹しかかからなかった。約3時間かけて1基から50~60匹のマブナやゲンゴロウブナを獲った。汽水化の前は一基で約300kgの水揚げがあった。保存会の会長は「残念な結果。続けることが大事だが、周囲の意見を聞き今後を考えたい」と話した。
 
 上に見るように、2015年の漁再開時の記事を比較すると、同じ人物に話を聞いているのに、日本海と朝日では記事から受ける印象が全く異なっている。
 汽水化前は三基で約900kgを期待できた水揚げが、汽水化後には三十分の一に激減しているのである。これで、「石がま漁が復活」と、記事の見出しにデカデカと書けるものだろうか?保存会の会長さんが前途を憂慮するのは、当然だろう!
 
 日本海新聞が湖山池に関する記事を書く場合、常に行政側寄りの内容となるのは石がま漁だけに限ったことではない。その例は枚挙に暇がないが、一例を挙げれば2015/10月に発生した赤潮(有毒プランクトンを含む)によるシジミ漁自粛記事が挙げられる。
 
 10/26に採取したシジミ貝毒検査結果を受け、県が漁の自粛を発表したのは11/3。これを受けて、翌日の11/4には毎日と朝日が鳥取版に関連記事を載せた。しかし、日本海が記事を載せたのは、発表から三日も経った11/6になってからだった。しかも、事態の発端とその推移の説明を省略した中途半端な内容であった。読者と消費者の安全よりも、県の政策の擁護を優先したとも受け取れる報道姿勢である。
 
 また、2013年春に湖山池にアザラシが現れた時には、日本海は一面トップで報道したり、アザラシ帽子をかぶった知事を連日のごとく記事に載せたりして、大騒ぎを演出して見せた。そういえば、最近の平井知事は、全くと言っていいほど湖山池には姿を見せていないように見える。この汽水化事業を決定し、かつ主導して、現状の結果を招くことができる立場にあるのは、知事以外には誰もいないのだが・・・。
 
 日本海新聞の記事が行政寄りなのは、実は湖山池関連だけに限った事ではない。
 
 最近の例を挙げれば、現在開会中の鳥取市議会において、2/27に代表質問に担当者が答える形で「来春には市の水道料を18.4%上げる見込み」と表明している。市民生活に直結する大問題なのだが、これを翌日の2/28に記事にした新聞は読売の鳥取版のみであった。最も詳細な地元記事が報道できる体制にあるはずの日本海には、今までのところは関連する記事が全く見当たらない。
 
 鳥取県内に関する各紙の記事の量は、日本海は最低でも六面、全国紙の朝日、読売、毎日では、通常は一面ないし二面である。なお、産経と日経には鳥取版というスペース自体存在しない。また、島根県を本拠とする山陰中央では、鳥取県東部の記事が載ることは極くまれである。言い換えれば、鳥取県内、少なくとも県東部の新聞による報道に関しては、日本海新聞が圧倒的なシェアを持っているというのが客観的な事実であろう。
 
 但し、詳しく見てみれば、日本海以外の新聞各紙も行政に対する批判記事を載せることは、最近ではめったに無い。たいていは行政の発表をそのまま丸ごとコピーして記事にしていることが多い。意図的に歪曲した記事を載せる事に比べれば、まだマシではあるが・・・。
 
 なぜ、今の報道機関はこんなにまで行政寄りなのだろうか。一つには、行政機関自体が各紙の顧客となっていることも影響しているのだろう。要するに、行政から各紙に対して、毎年ある程度の金額が広報費として支払われているのである。いったん少しでもカネをもらってしまったら、もらった相手を批判しづらくなるのは世の常である。行政からカネをもらっているメディアの記事は、眉にツバをつけて注意深く読まなければならないのである。面倒な世の中になったもんだ。
 
 鳥取県の場合、広報課の管轄のもとに、新聞・テレビ各社に対して総額約1億2千万円超が毎年支払われている。下に示すサイトが今年度の当初予算である。
 
 新聞では、数年前までは朝日・毎日・読売の全国紙もこの予算書に記載されていたのだが、今年度分を見たら、日本海と山陰中央以外の新聞は明示されなくなっていた。提供される情報量から見れば、どのメディアに一番カネが渡っているかは明白だろう。
 
 新聞ではないが、上とは別の枠で山陰放送の「週刊とりリンク」というTV番組の費用も毎年発生している。年間で約2千4百万円。今年度の予算を下に示す。
 
 一方、鳥取市の場合には、報道機関に対する出費は企画推進部秘書課の管轄となっている。年間で5千万円弱の予算。今年度の予算は、次のサイト(PDF)の中ほどに、市政広報費の名目で掲載されている。
 
 鳥取市の場合、県と異なり、広報費の支払先のメディア名は市の公表部分を見ただけでは全く不明。この透明度の差は、片山前知事が県政透明性が全国一と評価されるまでに注力されてきたのに対して、鳥取市の歴代首長は、逆に、市政の不透明性を高めることのみに努力してきた結果ではないかとさえ思えるのである。
 
 ともあれ、既に発生した費用に関する会計結果の隠ぺいや捏造があった場合には、確実に法に触れることとなるのだから、過去、どのメディアにどれだけカネが渡ったかは、鳥取市に対し情報公開請求さえすれば簡単にわかるはずだ。市政広報費の大半が、ケーブルテレビ事業も所有するある特定の企業グループに渡っていることは、公開を求める前から衆目の一致するところだろう。
 
 大半の報道機関に対して行政がカネを支払っているからには、行政の政策の実効性について、ほとんどのメディアが客観的な真実を伝えていない可能性もありうる。さて、身の回りのメディアに対する信頼性にいったん疑問を持ってしまった場合、我々はこれから一体、どんな情報を信じたらよいのだろうか?
 
 ちなみに、筆者はこのブログを無料で書いている。必要な出費は自分のパソコンとネット接続の費用だけで済む。Yahooに登録さえすれば、無料で自分のブログを開設できるのである。Yahooブログの機能には不満な点も多いので、近いうちに他のブログに変えたいとは思ってはいるのだが、無料のブログは他にもいくらでもある。
 
 国政レベルでは全国に拠点を有するマスメディアの報道に頼るしかないが、ネットを使えば朝日から産経まで、全国紙の幅広い報道を読み比較することは簡単だ。しかし、鳥取県鳥取市のように市場が小さすぎて競争が成立せず、ほとんど特定のメディア一社が独占してしまっている場合には、そうもいかない。日本の都市部以外の大半の地方では、地元の情報に関して複数のメディアをチェックして比較検討することすらもできないのである。
 
 また各自治体トップからカネをもらい、さらに記者室制度と言う名の排他的特権に慣れきってしまった既存マスメディアの体質が、これからの自助努力で簡単に改善するとも到底思えない。多分、努力の必要すらも感じていないのではないだろうか。
 
 結局、先日筆者が石がま漁の現地まで実際に足を運んだように、自分の眼で確認して納得し、それをネットに発信して広く知らせることしか手がないのではないかと思うのである。幸いにも近所で起こっていることなので、ヒマさえあればすぐに現地に行って記者のマネゴトくらいはできる。そういうことをやりたい人々がたくさん集まり、事実に基づいた無数の情報発信をすることで、カネの力で歪曲されがちな既存メディアとは異なる地域限定での客観的な視点を確保できるのではないか。最近は、そのように夢想しているのである。
 
 自分のブログを立ち上げて、自ら市政・県政に対して情報発信してみたい方は、是非御連絡ください。無料のブログ立ち上げのお手伝いをさせていただきたいと思います。ただし、当方の都合上、鳥取市、またはその周辺の方に対象を限定させていただきたい。ご希望の方は、「開かれた市政をつくる市民の会」のトップページ上部のメールアドレスに、ご連絡ください。
 
/以上