「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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韓国で原発事故が起こったら・・・

 森友学園の関連ニュースが飛び交っていますが、一昨日のニュースランキングに載ったのは、山口敬之という人物が書いた安倍総理を擁護する記事。調べてみると、この人物は安倍晋三を賛美する本を何冊も出しており、典型的な太鼓持ちでした。自分専属のタイコモチや産経新聞を使って、毎日のように提灯記事を連発して全面的に反撃しているところを見ると、安倍氏自身、100万円寄付の記事が出た段階から、かなりヤバいと思い始めているように見える。

 それにしても、読売・日テレグループがずっと沈黙していることが気になる。この森友学園への国有地売却と小学校認可の過程で、読売新聞の社員が何人も関係している。読売は、今は目立たないよう隠れているのがベストと思っているみたいだ。

 3/23に籠池氏が国会で証人として証言することになった゛。今から楽しみである。

 それにしても、籠池夫婦の破壊力はスゴイ。森友学園が破産するのは確実だろうが、吉本に雇ってもらって夫婦漫才をやれば、数億円くらいはすぐに取り返せるのではなかろうか?


(1)NRDCによる韓国原発事故のシミュレーション結果

さて、今回の話題は、韓国の原発事故が日本に与える影響についてである。もうご存知の方も多いだろうが、改めて紹介しておこう。3/7のYahooのニュースに次の記事が載っていた。

Yahooの記事でもあり、近いうちに消されてしまいかねないので、概要を下にまとめておいた。このカン博士の所属するNRDCは米国でも最大規模のシンクタンクであり、環境問題や核物質の専門家が多数在籍している。このシミュレーションに使ったシステムは福島の事故の分析にも使用されたとのことである。

『 韓国人の核物理学者で現在、米ワシントンのシンクタンク「天然資源防衛委員会」(NRDC)の上級研究員を務める姜政敏(カン・ジョンミン)博士(51)らによるシミュレーション結果。

韓国南東部、釜山市の海沿いにある1978年に1号機が稼働した韓国最古の古里(コリ)原発は、韓国内で商業運転する25基のうち7基が海沿いに並ぶ韓国最大規模の「原発銀座」。

  ここでは、使用済み核燃料の増加に対応して、間隔を詰めて「密集貯蔵」している。古里3号機には、韓国の原子炉別では最多の818トン分の使用済み核燃料(2015年末)が貯蔵されている。貯蔵プールが手狭になった1、2号機の使用済み核燃料も移送され、3号機で保管している。

  災害やテロなど何らかの原因で電源が喪失し、この3号機の使用済み核燃料プールで冷却機能が失われ、燃料プールの水位低下で使用済み核燃料がむき出しになって火災が発生、さらに建屋内に水素ガスが充満して爆発した事態を想定。使用済み核燃料に含まれる放射性物質セシウム137が次々と気体化して大気中に放出された場合の拡散を予測した。

  2015年1月1日の気象条件下で事故が発生と仮定、それから1週間の実際の天候状況や風向、風速などをもとにセシウム137の拡散と地表への降下量をコンピューターでシミュレーションした。避難を余儀なくされる地域の面積と人口、さらにセシウム137の半減期にあたる30年を超えても避難し続けなければならなくなる地域を算定した。

  その結果、最も大きな被害が予想されるのは、韓国ではなく日本になるとのこと。韓国では最大5万4千平方キロメートルが避難対象地域になり、最大2430万人が避難を余儀なくされる。これに対し、日本では最大6万7千平方キロメートル(日本の国土面積の約二割)が避難対象地域になり、最大2830万人が避難を迫られる。セシウム137の半減期である30年が過ぎても、引き続き避難したままとなるのは最悪の場合、韓国では1900万人、日本は1840万人、との計算結果が出た。 』

 この記事に付けられていた汚染予測図を下に示す。字が小さくて判りにくいが、赤色がセシウム137の土壌への沈着量が2MBq(メガベクレル)/m2以上、茶色が1MBq/m2以上、黄色が0.5MBq/m2以上の地域であることを示す。

 福島の原発事故の避難区域のほとんどの地点で、セシウム137の沈着量は1MBq/m2以上であった。つまり、最悪の場合には、下の図の赤色と茶色の地域が避難区域に指定されることになる。風向きが少し北に振れた場合には、日本の中心部、、京阪神、中京地区、首都圏の全てが避難区域に指定される可能性が大きいことが判る。なお、古里原発と東京との間の距離は約千km。

なお、当然のことだが、海にかかった汚染地域では土壌汚染は無いが、セシウム137によって海洋が長期間汚染されることになる。

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 このシミュレーションを行った前提としての2015年1月1日以降の気象条件に付いても触れておこう。下に最初の二日間の天気図を示す。この年の正月は年明け最初の二日間が冬型で、鳥取市では1/1は吹雪、1/2に最大積雪31cmを記録している。1/3から1/6までは高気圧が張り出して冬型が緩んだが、1/7から再び冬型となっている。

上の汚染分布は1/1から1/2頃にかけてのものらしい。強い西風が吹いた場合には、この図のようにほぼ関東以西の西日本全体が汚染される可能性が高い。この後に高気圧が日本上空にきて朝鮮半島に南風が吹いた結果、上の記事に示すように、汚染が朝鮮半島全体にも拡散した結果となったものと推定される。

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さて、このシミュレーション結果と、既に起こった原発事故であるチェルノブイリと福島第一の汚染範囲の比較をしてみよう。三つの汚染図の距離尺度を同一になるように調整した結果を下に示す。(二つの原発事故の汚染図の出所は経産省の資料。)

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 福島とチェルノブイリの汚染図では、濃い茶色の部分がセシウム137の沈着量が0.555MBq/m2以上であり、下のシミュレーションによる汚染図の黄色の領域とほぼ同程度の汚染となる。

 この図で目立つのは、今回のシミュレーション結果の汚染の程度が過去の二つの原発事故の汚染に比べてはるかに深刻であることである。これには次の二つの要因が関係していると思われる。

① 放射性セシウム放出量の差
 韓国原発事故のシミュレーションでは、放出された放射性セシウム137の総量を1600PBqと仮定している。これに対し、文献によってかなりの差があるが、チェルノブイリでの放出量は大体は80~200PBq、福島第一では16~40PBqの範囲であった。要するに、チェルノブイリの約10倍、福島第一の数十倍の放射性物質が放出されたのだから、汚染の程度もひどくなるのは当然である。根本的な理由は、このシミュレーションでは818tonの使用済み核燃料が爆発したと仮定しているのに対して、原発の炉内に一度に装着される核燃料はその十分の一程度の90ton程度であることによる。

② 降雨の影響
 原発事故が発生して放射性のヨウ素セシウムの酸化物・水酸化物が大気中に微粒子の状態(いわゆるブルーム、放射能の雲)で拡散した状態を考える。これらの微粒子は容易に水に溶けるため、雨や雪が降り始めると降雨と共に地上に落下して土壌を汚染する。福島第一の汚染地域が北西方向に延びているのは、3/15に二号機が爆発した後に、ちょうどこの地域に雨が降ったためと推定されている。仮に、3/12以降の数日間、広範囲に雨が降っていたのであれば、東北・関東の広範囲の地域が避難対象地域となっていたはずである。あの当時に東京に大雨が降っていたら、今頃は政府の主要機関が東京から逃げ出していたのかも知れない。

 チェルノブイリ事故の直後にも各地で雨が降っているが、上の図の汚染地域は、当時、降雨があった地域に一致するものと推定される。確証のある話ではないが、当時のソ連の指導部は、モスクワを放射能の雲から守るために、ウクライナに人工降雨を降らせたというウワサがある。チェルノブイリから北東約700kmの付近までが汚染されており、大規模な原発事故の際には、風向、風速、降雨次第では千km以上離れた地点で土壌汚染が起こってもなんら不思議はない。実際にチェルノブイリの事故の際には、約2000km離れた英国でもセシウムによる羊の汚染が確認されている。

上のシュミレーション結果は最悪の場合との断りがあるので、降雨の存在を前提として計算した結果と思われる。

 さて、今まではセシウム137に限定して話をしてきたが、半減期が約8日と短いものの、甲状腺ガンを引き起こすことは確実とされているヨウ素131は、原発事故の直後にはセシウム137の10~20倍も放出されたことが実際の事故で確認されている。上のシミュレーション結果によると、事故後ただちに数千万人が安定ヨウ素剤を服用しなければならない事態も今後想定されるが、その準備はできているのだろうか。

 このカン博士らのシミュレーション結果は、昨年秋に韓国の「民族日報」というサイトにも掲載されている。ハングル文だが、参考のために紹介しておこう。

 筆者は韓国語の辞書は簡単なものしか持っていないので、韓国語に対しては初めてのことであるが、ネット上の自動翻訳を利用してみた。結果を次に示す。中国語等を自動翻訳すると、奇妙キテレツな文章が出て来ることが多いが、韓国語から日本語への自動翻訳の結果は、語句を若干手直しするだけでまっとうな日本語の文章になった。韓国語と日本語の文の構造がほとんど同一であることがよくわかった。


 なお、このサイトの中の汚染予想図は、2015年4月.1日以降の気象条件を前提として計算されたものである。この日の気候は、朝鮮半島は南北の二つの高気圧の間にはさまれていたので風は弱く、汚染は周辺国には広がらずに大部分が半島内にとどまっている。
 
 以上の検証結果からみると、この韓国原発事故に関するシミュレーション結果はおおむね妥当なものだと思う。使用済み核燃料の蓄積がいかに危険なことであるかがよく理解できる。なお、日本国内の各地の原発には、使用済み核燃料が、2010年時点で約1万6千トンも溜まっているのである。上に述べた古里原発3号機の、実に二十倍もの量である。2011年に福島の事故が起こらず各地の原発が稼働し続けていたら、今頃は各地の原発で古里原発と同様に、使用済み核燃料の「密集貯蔵」が始まっていたことだろう。

 
(2)東アジアの原発の数は急速に増加中

 国内だけでなく、海外の原発の事故にも注意を払わなければならないことがよく判ったが、近隣諸国の原発の実態はどうなのだろうか?興味がわいたので、最新(?)の東アジアの原発マップを作ってみた。

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 2016年時点での各地の原発の位置を示した。各地のサイトにはそれぞれ複数の、最大で7基までの原発が存在している。中国54基、台湾6基、韓国24基、日本54基だが、資料ごとにかなり記載されている内容が異なる。特に、中国は急速に稼働数を増やしているので、この数字は正確な数ではなく概略の数字と捉えていただきたい。
 
 中国が今後建設を計画している原発の数は40基と膨大である。その計画図を下に示す。

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 これを見ると、今後は内陸部、特に揚子江流域に集中して原発建設を計画していることがわかる。ところで、原発の排出水には通常時でも大量のトリチウム(三重水素)が含まれている。健康被害は少ない放射性元素とされてはいるものの、半減期は12年と長い。海洋と違って流量が限られている河川に大量のトリチウムを流し続けて、はたして大丈夫なのだろうか?
 
 もう一つ気付くのは、首都北京の近くには原発建設の計画が全く無いことである。これは、中国の支配層が口先では安全と言いながら、心の底では原発の存在を恐れていることを示している。ただし、その点については、ソウルも東京も、北京と同様なのだ・・・。

 膨大な数の中国の原発建設計画ではあるが、このまま計画通りに行くとは到底思えない。中間層の増加に伴って、最近は中国民衆の環境意識が高まってきており、各地で民衆の反対デモにより、特に化学系製造工場の建設計画が白紙撤回される例が相次いでいる。原発産業に対しても例外ではなく、2013年には広東省で核燃料工場の建設が阻止されている。

 さて、中国の原発と聞くと、たいていの日本人は「安全性は大丈夫か?」と思ってしまうことだろう。今までのところ、大きな事故は報道されてはいないが、都合の悪い情報は絶対に公開しない一党独裁政権下にある国のことだから、本当のことはよく判らない。ただし、原発で大きな事故を起こしてしまった場合、共産党政権の威信が大きく失墜することは間違いないので、国の威信をかけて、中国の一般企業に比べればはるかに強力に品質管理を徹底しているのだろう。

 おそらく、報道されない小さな事故は数多く起こっているものと推測するが、技術は失敗から学ぶことによって初めて前進するものである。日本を越える数の原発を既に動かしているからには、その技術の具体的な内容も見ないで、頭ごなしにバカにして良いものでもない。

 経済小説の「ハゲタカ」で有名になった小説家の真山仁氏は、2008年頃に経済誌に「ベイジン」という連載小説を書いている。中国が北京オリンピックの開幕に合わせて建設した大連市の国産原発が、稼働開始直後に原子炉が暴走して大事故が発生するというストーリーであった。当時、筆者は中国で仕事をしながらこの連載を読んでいたのだが、真山氏が中国国営企業の品質管理体制をあまりにもボロクソに書いているので、「ちょっと上から目線が極端過ぎるのでは・・・」と思ったものである。筆者が現地で訪問したのはほとんどが中国の民間企業であったが、たいていの企業が日本の同業他社に比べればはるかに新しい設備を備えており、品質管理体制も特に優れているとは言えないもののソコソコのレベルであった。

 実際には、真山氏がこの小説を書いた三年後、品質管理には絶対の自信があったはずの日本の原発が福島で大事故を起こしてしまった。一方、大連市の原発は2013年に稼働を開始して現在に至っている。「自分の技術を過信してしまった者は、次の段階では必ず失敗する」というのは、過去の技術史における厳然たる事実である。

 かと言って、中国の原発は絶対安全とも到底言えない。いま言えるのは、中国・韓国・台湾の原発で突然事故が発生する可能性は十分にあるので、その放射能が日本まで拡散して来たときの対処方法を日ごろから準備しておくべきだということでしかない。

 事故や天災以上に心配なのは、原発に対するテロである。中国、韓国ともに、テロの危険性は日本よりも確実に高いだろう。中国共産党政府がウイグルチベット、モンゴル等の少数民族を抑圧し、彼らの土地を奪い続けている政策に対する現地の不満は極めて根強く、特に新疆ウイグル自治区では小さな暴動は数知れないほど起こっているらしい。自爆テロの一変形として、ハイジャックされた航空機が原発に突っ込んでくるという事態も想定しなければならないだろう。

 韓国では、最大の脅威は言うまでもなく北朝鮮だろう。なにしろ、韓国のすべての原発北朝鮮との境界線から約190~350kmの範囲内にあるのだから。北朝鮮の持っている一番小型の弾道ミサイルスカッドの射程距離は少なくとも700kmはあり、韓国内のみならず西日本の原発を狙うことも可能だ。スカッドには核弾頭も搭載できるが、対象が原発の場合には、通常弾頭であっても着弾後の影響は極めて甚大である。

 



(3)東アジアの原発の増加を止めるには、まず日本の原発を全廃するしかない!

 東アジア地域における原発の増加は、地域全体の危険性と不安定性の増大に直結することは確実である。だからといって、中国や韓国に対して、「君たちの技術力では原発の運営は到底ムリだから、直ちに止めなさい!」と叫んでいるだけでは何の効果もないどころか、むしろ逆効果でさえある。

 このような発言は、日本国内で日本人がお互いに誉め合って自己満足しているだけの、いわゆる「吾れ誉め症候群」の一種でしかない。むしろ、この種の発言に反発した中国や韓国は、日本を見返すべく従来に倍する速度でもって、よりいっそう原発建設にまい進しようとするだろう。

 筆者が数年前まで日本と中国を往復しながら、時々は出張で韓国にも立ち寄りながら仕事をしてきたなかで感じたのは、両国とも「日本に追いつけ追い越せ」をスローガンとして、今までずっと経済成長に注力してきたことである。逆の視点で見れば、日本がこれから選択する政策の内容が、これら両国に対しても未だにかなりの影響力を持ち得ると考えてもよいだろう。

 一昨年、2015年の名目GDPが日本の三倍弱、米国の約六割にまで達した中国は、これから追いつく対象は米国のみであり、日本はもはや眼中には無いと思っているのかもしれない。しかし、2011年に福島の原発事故が起こった直後には、中国でも原発推進政策の真剣な見直しが行われていた。結局、二年ほど後に再び原発推進に復帰したのではあるが、こと科学技術の分野に関しては、現在の中国でも日本の過去の経験と現在の方針を参考にしようという姿勢は、未だに強いものがある。

 韓国の事情は、ある意味で複雑であり、かつ単純でもある。戦後日本の後を追って輸出主導で国が経済発展してきたことは客観的な事実なのだが、表面的には彼らは日本の影響を極力否定し、独力で発展して来たのだと主張したがっている。反日を主張しなければ政治的成功が全く望めない国では、さもありなんという所だろう。その一方で、韓国の新聞やサイトは、各種の世界ランキングにおける日本との順位比較や、日本との野球やサッカーの試合での勝った負けたの記事で埋め尽くされている。

 親日反日かだけの一項目にとらわれ過ぎて客観的な判断をすることができず、日本との優劣の比較によってしか自己の価値を再確認できないという多くの韓国国民。そこから見えて来るものは、あくまで精神領域のみに限った話なのだが、逆説的に言えば、かなりの数の韓国の国民の精神は未だに日本の隷属下にあると言っても良いだろう。

 逆に、一部の日本人に対しても同様のことが言えるのだろう。例えば、産経新聞小学館SAPIOが連発している反韓記事を読むたびにカタルシスを覚える日本人は、日本が韓国に勝っていることを確認することでしか自己の価値を再確認できなくなってしまった人々と呼んでもよいだろう。いわば、自分が日本の国籍を有すること以外の面では自己の価値を主張する根拠が見いだせない人々なのだろう。この人たちも、逆説的な意味で言えば、精神分野では韓国の隷属下にあるのかも知れない。

 話が脱線してしまったが、韓国も日本の原発政策が今後どうなるかについては、表面にこそ出さないものの、大いに関心を持っていることは確かである。少なくとも、日本政府が現在の再稼働容認の方針から原発全廃に転換した場合、韓国国内でも現在の原発推進政策の見直し論議が大いに巻き起こることは確実と言ってよいだろう。

 中国国内でも、日本が原発全廃を表明した場合、原発を不安視している中間層の背中を押す効果があることは間違いない。彼らが一番不安に思っているのは、苦労してやっと手に入れたマイホームの価値が、原発や公害企業が近所に立地することによって大きく毀損することである。自分の今までの人生の価値や意味が、国家のゴリ押しによって全否定されたと感じることについては、日本人と中国人の間に違いはない。

 今の中国共産党毛沢東の時代の共産党ではない。国内の情報統制だけでは、すでに国民の多数を占め海外の情報にも日々接している都市の中間層をコントロールすることは不可能となっている。何かのきっかけで国民の支持をいったん失えば、今まで自分たちが独占してきた権力が全面崩壊しかねないことは、習近平以下の指導部が日々ひしひしと感じているはずである。

 一方、台湾は昨年の秋に原発全廃を宣言した。2025年までには、現在稼働中の三か所の原発を廃止する計画を表明している。福島の事故を受けて真っ先に原発全廃を宣言したドイツに続く賢明な選択であると思う。それに対して福島の事故を引き起こした日本では、安倍政権に変わったとたんに、またぞろ原発再稼働を容認してしまった。台湾の民主主義と台湾政府の情勢判断能力は、日本のそれに比べれば数段上等のように見える。

 結局、東アジアで原発を今以上に増加させないためには、早急に日本が原発全廃を宣言することが一番の近道だと思う。いったん破壊されれば、数か国にわたって深刻な被害を及ぼす原発は、この地域の不安の根源であり疫病神でしかないことは明白である。早急にこれ以上の原発増設を止め、すみやかに原発全廃政策へと舵を切るべきである。

 最後に、2/21の本ブログの記事でも触れたが、全国の電力会社の労働組合である電力総連と、その所属先の連合が原発再稼働に賛成していることに対する批判をあらためて述べておきたい。

 先の記事でも述べたが、原発による電力はコストが安いと言うのはまやかしに過ぎない。テロ対策のための保安費用、使用済み燃料の処分地確保費用、同地での今後数万年に及ぶ管理費用、今後事故が再発した場合の補償費用、廃炉の処分費用等の大半は国の負担、すなわち我々の税金から捻出されることを前提として、彼らは原発電力はコストが安いと言っているのである。彼らは、これらすべての費用を自分たちが負担することを前提として原発の電力料金を計算しなおすべきである。それすらもしないで、国民の税金に寄りかかって自分たちの当面の給料の確保だけを主張しているのは、単なる集団的な甘え以外の何物でもない。

 電力総連の後押しをし続けている連合も、現組合員の給与確保に専念するのみであり、増え続けている非正規職員と自分たち正規職組合員の格差の問題には、今まで一向に触れようとはして来なかった。安倍総理が(一時的な選挙目当てのスローガンにすぎないとは思うが)、唐突に非正規職との格差解消を唱え始めたのにあわてて、総理の主張をコピーしているていたらくである。この組織は、過去の既得権に固執するためだけの団体にすぎないのではないか?今のままの連合が、今後、この国をよくするための機能を幾分かでも果たせるとは到底思えない。むしろ、既得権にあぐらをかいて改革を邪魔する集団と化す、いや、すでにそうなってしまっているのではなかろうか?日本の国民全体にとっての連合の存在意義を、改めて問うてみたいものである。

/以上