「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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鳥取市新庁舎建設工事入札結果は落札者なし!その背景は?

一昨日、8/2に新庁舎本体建設工事の入札が実施されました。意外にも落札した業者は無かったとのこと。
 
 
以下、この結果の背景について考えてみましょう。筆者は土木・建設業界に関しては全く知識が無いので、業界経験者の見解を聞いて参考にしました。
 
東洋建設が示した今回入札の最低価格47億円でも、市の予定価格(今のところは非公開)を越えていた。
 
 建設費+設計費+移転費用等の総額が約98億円であれば、通常は、建設費の六割程度が庁舎本体の建設費となるのが一般的とのこと。残りの約四割が、電気設備、配管、機械設備等の費用になる。したがって、昨日入札部分の予定価格としては50億円台が妥当なところだろう。
 しかし昨日の入札結果を見れば、市の予定価格上限は47億円以下であったことになる。これは、 庁舎本体建設費以外の部分、機械設備等への配分を特に多くした、あるいは、 総額98億円にとらわれず、総額がそれよりも大幅に安くなることを意図した、のいずれかである。後者であれば、市民にとってはうれしい話だが・・。
 
上に示したように、入札不成立の結果を受けて、市は即刻当日中に最低応札者(東洋建設)との随意契約交渉開始を表明。
 
 入札不成立の場合、最低応札者との随意契約に進むのか、あるいは期日をあらためて再入札を実施するのかは、各自治体の意向しだいらしい。入札不成立の当日に、直ちに随意契約交渉に入ることを表明したことは、市が事前にこの事態を想定していた可能性が高い。
 
今後、約47億円を超えて本庁舎建設費が膨らむ可能性はないのか?
 
 入札不成立で随意契約に移行した場合、地方自治法施行令により、予定価格を越えて契約を結ぶことはできないとされている。したがって、今後、随意契約の中で契約が成立した場合には、建設費がこれ以上膨らむことはないはず。
 
 
 一方、初回入札が不成立となり、その後の二次、三次の入札を経て結果的に予定価格が高騰した例としては、2013年の呉市庁舎(123→136億円)秋田市庁舎(96→116億円)の例がある。
 今後、東洋建設との随意契約交渉が不調に終わったとして、市が再び入札を公募する可能性もまだ残っている。今回の入札不調だが、事前に描かれたお芝居の筋書きの、まだ第一幕が開いたに過ぎないということもあり得るだろう。
 
なぜ、東洋建設?
 
 入札前の地元業者間のウワサでは、受注はスーパーゼネコンのT建設で決定済みというのがもっぱらだったそうだ。イニシャルは同じだが、はるかに規模が小さい東洋建設が応札したのは予想外であった。
 自社に談合のウワサが立った案件からは逃げ出すということはゼネコンでは一般的らしいので、今回はその一例ということかもしれない。まあ、新国立や鳥取空港国際会館を受注して既に忙しいT建設にとっては、たいして儲からない50億円以下の仕事などには興味はないというところが本音だろうか。
 
 来週8/9には電気・配管等工事の入札が行われる。その時点で主要な工事の予定価格が判明して全体費用の推定が可能になるだろう。市が勝手に費用を膨らませることの無いように、市民みんなで、引き続き注視しましょう。
 
/以上