「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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鳥取市新庁舎入札、建設費総額は一体いくらになるのか?

 先日の8/9に新庁舎の電気工事等の入札が行われました。その結果は、四件中で落札したのは昇降機の一件だけというものでした。残り三権については随意契約交渉に入るとの事。

 また8/2に行われた新庁舎本体の建築工事入札も落札者無しに終わりましたが、最低価格を出した東洋建設との間の随意契約が早くも合意に達したとのこと。市の公式発表を下に示します。
 

 さて、市の予定価格に届かない見積もりが大半であったことから推測されるように、予定価格と各応札者の見積もり価格の間にはかなり大きな差があったようです。我々市民が気になるのは、トータルの建設費がいったいいくらになるのかということです。この観点から今までの情報を一度整理してみましょう。

 新庁舎関連の入札・発注の日程は、今年四月に市が公表した発注方針に詳細が載っています。次のサイトの中の「別紙 発注概要」を見てください。


 この表でわかるように、主要な工事については今回の二度の入札でほぼ価格決定が終わる予定でした。後に残るのは、市民交流棟、立体駐車場棟、空調換気、地中熱利用設備、植栽の五件です。

 今までの入札結果から、各工事の市の予定価格の合計金額を推定してみましょう。落札に至らない工事の場合には、応札中の最低価格を示しました。予定価格に届かなかったとは言え、そうかけ離れた金額ではないでしょう。
 なお、未落札分の工事の入札詳細は次のサイトで確認できます。


             落札価格(億円)  予定価格(億円)  結果    落札者
            又は最低応札価格
 本庁舎建設      45.69  45.859(事後公開)  落札    東洋建設
 昇降機         0.881  0.9582(事前公開)  落札    フジテック
 給排水         3.02     未公開        未落札
 弱電工事        2.90     未公開        未落札  
 強電工事        9.50     未公開        未落札
         
 以上五件の落札価格と最低応札価格の合計は、約62.0億円となります。今後の随意契約交渉(再入札となる可能性もある)の結果で価格が決定するとしても、この金額から大きく外れることは無いでしょう。

 さて、今後入札を迎える残りの五件の予定価格は、一体どのくらいになるのでしょうか。それを推定する上で、「鳥取市の入札制度」の表が参考になります。この表によると、入札方法の形式と予定価格の範囲は対応しているので、上に示した「鳥取市新本庁舎建設工事発注方針」の表と見比べることで、おおよその予定価格の範囲が判ります。今後の入札予定五件を一覧にまとめると、次のようになります。

             入札方法         予定価格範囲
 市民交流棟     公募型競争入札      2~5億円
 立体駐車場棟   公募型競争入札      2~5億円
 空調換気      制限付一般競争入札   5億円以上
 地中熱利用設備  公募型競争入札      1~5億円
 植栽         指名競争          2億円以下

 植栽が建築工事なのか、それ以外の工事なのかよく判りませんが、一応建築としておきました。この五件の予定価格を、仮に上から、3.5, 3.5, 7, 3.5, 1.5(億円)と仮定してみると、その合計は19億円となります。残った五件の予定価格の合計は推定で20億円弱といったところのようです。

 この推定結果と今までの落札又は最低応札価格の合計が約62億円であったことを考え合わせると、予定価格の合計は、80億円強程度ではないかと思われます。

 現在の深沢市長が、就任して約一年後のH27年5月に公表した「みんなでつくるとっとり市庁舎の考え方」で市民に約束した新庁舎の建築費は、消費税込みで約93.2億円でした。一方、上に示した入札価格・予定価格は全て消費税抜きの価格です。

 仮に、今後の入札も含めた落札価格の合計が82億円で収まったとして、これに消費税8%を掛けると約88.6億円となります。(なお、すべての工事完了をH31/9末に予定しているのは、現時点ではH31/10に予定している消費税の10%への引き上げを回避するためと推定されます。)

 なお、既に発注済で現在工事中の地盤改良工事2.98億円は、本来は市長が明らかにするのを一貫して逃げ続けてきた周辺整備費に含まれるべきものでしょう。仮にこれも上の仮定金額82億円にプラスして建設費に含めると、消費税8%を掛けた結果は約91.8億円になります。

 市長は、「市民に約束した93.2億円を数億円は下回ったからいいじゃないか、努力した結果だ」というつもりかもしれません。しかし、そもそも、93.2億円の建設費自体、市民にとっては予想外に高額な数字でした。

 深澤市長がH24年4月の市長選で当選する前、さらに同年12月の市議会で市庁舎移転の位置条例が可決される前に市民に対して提示していた新庁舎建設費は、H23年11月に公表された「鳥取市庁舎全体構想(素案)」の16ページにある数字の約59.4億円でした。それが、「中核市移行に伴って保健所を駅南庁舎に持ってくるので新庁舎の増床が必要」との理由で、位置条例可決して数か月後には、一挙に五割以上も増額となったのです。

 この時は、竹内・深澤市政で一貫して与党であった公明党ですら、一時的だけでしたが、強い疑念を示した格好を見せていました。裏で糸を引いていた人物が誰であれ、新庁舎建設費を59億円から93億円に増額した当事者は、あくまで深澤現市長です。最後に数億円削って見せたくらいで、その責任から逃れられるはずもありません。

 若い方はご存知ないかもしれませんが、「マッチポンプ」と言う言葉があります。知らない人はネットで検索してみてください。

 自分でマッチで火をつけて火事騒ぎを起こしておいてから、あらかじめ用意しておいたポンプで水をかけて火を消して、「どうだ、俺はずいぶん頑張っただろう」と誇って見せるやり方です。偽善的手法が得意な政治家がよく使うやり方と言われています。就任してまだ三年ほどにもかかわらず、現市長もしっかりとこの手法を会得したようです。

 今回の入札結果を調べて見て、気付いた点が二点あります。

① 深澤市長は、来年四月の市長選に出馬して二期目を狙うだろうということ。

 初当選のために投資した努力(金額?)を回収するためには一期では短い、最低二期は必要というのが選挙通の間では常識とのこと。新庁舎建設費を数億円程度削ってみせて、「市民のためにこんなに努力している」姿勢を示そうとしているのは、来年春の市長選に向けた準備にほかならないと推測ます。次を狙わないのであれば、建設費が当初の想定を上回っても気にしないでしょう。この秋に二期目への出馬を表明することは、ほぼ確実なのでは。

②竹内前市長の影響力が落ちているのではないか。

 鳥取市政における歴史的病弊であるが、この市の首長は、国から補助金が出るとなったら、常に目いっぱい使おうとする傾向があるようです。前市長が典型例だが、その前の市長もひどいものだったらしい。来春、市の水道料が大幅値上げとなるのは、全くこの二人のせいであると言ってよいだろう。この件については、今後、「市民の会」のサイトで記事にするつもりです。

 さて、約93億円の建設費を既に公表しておきながら、現市長がそれよりも安い金額で納めようとしているのは、竹内氏の影響力が強ければありえない展開ではないだろうか?国のカネを目いっぱい使うことを手段として政治的な出世を狙ってきた同氏としては、今の状況は許しがたいでしょう。

 先日、そう思ってあらためて調べてみたら、竹内氏関連の情報が最近は全くないことがわかりました。気になる方は、「鳥取+竹内功」で検索されたい。筆者が確認できた記事としては、約二カ月前のものが最後。単なる勘違いであるかもしれないが、ひとまずは同氏の御健康を祈りたいものです。

/以上