「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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水道料値上げについて質問する議員が少ないのは、なぜ?

 今回も水道料金の大幅値上げ案について。
この件について角谷市議が質問した内容を一週間前に紹介しましたが、今回もその続きです。それにしても、現在開催中の九月市議会では32名の議員中で26名が一般質問に立ちますが、この市民の財布を直撃する水道料金値上げについて質問するのは、角谷議員一人だけのようです。


 数年前、市庁舎新築問題と住民投票の件で市民の意見が二分されていた頃、公明党はわざわざ宣伝カーまで出して、「市庁舎が新築になっても、水道料金を値上げすることはありません!」と鳥取市民に約束して回っていました。

 あれだけ大見得を切っておきながら、今月の市議会では、あっさりと水道料金値上げに賛成するつもりなのでしょうか?公党である以上、市民に対する説明責任があると思いますが、いかがでしょうか?せめて水道事業に関する質問くらいは、やってほしかったと思います。

 ところで、今回の一般質問の一覧表を見ると、同じ問題について何人もの議員が質問しているのが目に付きます。例えば、「保育・子育て」に8名、「防災」に6名といった具合です。二月の定例市議会の時にも、直前の二月中旬のあの大雪の除雪体制について質問した議員が5名以上はいたと記憶します。

 質問しやすく、かつ選挙民への受けを狙いやすいテーマと言うものがあるようです。テーマの重要度をこの場で云々するつもりはありませんが、質問テーマを見ただけでも、その議員の市政に対する取組の真剣さがある程度はわかるのではないでしょうか。

 各議員の活動を評価する上では、インターネット放送の映像配信機能が役に立つと思います。次のサイトの「録画中継」を見れば、過去の本会議での各議員の発言を確認することができます。以前は、生中継だけでしたが、最近、録画も閲覧できるようになりました。このことで、鳥取市政の透明度も若干ながら改善されたことは確かです。今後、大いに利用しましょう。


 さて、角谷議員の先週9/6の一般質問の内容に関する補足に入ります。当日の傍聴で理解できなかった内容を、後日、同議員から説明していただき、ようやく理解することかできました。

① 殿ダムの水利権購入費用

 水利権費用のいきさつについて。約28年間もかけた殿ダムの工事は、H25年度にようやく終了。事業費総額は888億円にも上ったが、この費用の約1.76%の15.6億円を鳥取市が負担することでダムの水の利用権を確保した。国庫補助金が約3億円出ることになり、残りの12.6億円は既に支払い済。しかし、H29年度現在、鳥取市民は殿ダムの水を、未だに一滴も水道水としては利用していない。殿ダムの水を上水道として利用するためには、ダムから叶水源地までの配管工事が新たに必要となるからである。(ちなみに、同ダムを工業用水として利用するのは県の事業であり、鳥取市には直接の関係は無い。)

 「市は、この殿ダム水利権に支払った費用の大部分を水道局の負担とし、今回の料金値上げで回収しようとしているが、殿ダムへの出資を決めたのは水道局ではなくて市執行部であり、本来は一般会計で全額負担すべきではないか。」と言うのが角谷議員の主張の要旨。

 殿ダムの水を水道水として利用するためには、ダムから叶水源地までの約20km弱にわたって道路下に配管する必要があるが、そのための費用は少なくとも十数億円か、ひょっとしたら数十億円はかかるだろう。先週の角谷議員の質問に対して、水道局は災害時の予備水源として殿ダムの水源は必要と答えていたが、現在の市の水道事業会計に、そのような巨額の負担を追加できるはずもない。「殿ダムは予備水源として必要」と言うのは、議場での答弁のための口先だけの説明に過ぎないと思う。

 災害時に水道インフラが寸断されたら、他の自治体等から給水車を借りてきて当面対応するのが、世間一般の常識だろう。現在の市水道の一日の最大給水量は約六万三千m3であり、既に浄水能力に対しては約二万五千m3も少なく十分な余裕があるというのに、これから何十億円もかけてさらに予備水源を確保しようとするバカはどこにもいないはず。

②各企業の市上水道から県工業用水への切り替え等の影響

 市内各企業が市上水道から県工業用水への切り替えを急速に進めていることが明らかになった。市内15企業の上水道料金の合計は、H23年度が7254万円。これがH28年度には2848万円と4406万円も激減。 三洋電機の撤退の影響も大きい。H22年度の同社向け上水道料金は6307万円。これがH25年度にはわずか89万円と、実に6217万円も減っている。

 このような産業構造激変による水道財政の悪化を、一般世帯に対する負担増で補おうとするのはおかしいのではないか。市執行部が将来を見込んで行った巨額の設備投資のあてが外れたことから来る水道財政の悪化は、市民への直接負担となる水道料の値上げではなく、一般会計からの支援で解消するのが当然ではないかと言うのが角谷議員の主張の要旨。

 水道料金値上げ案の採決は来週の9/22に行われる見込みです。採決結果については、改めて報告します。

/以上