「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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10/22衆院選の争点

 今度の衆院選だが、どうにも関心が持てない。「北朝鮮の脅威」が国難だと叫びながら国会を解散するという支離滅裂な論理を振り回す総理。財源も示さずに実行不能なアメ玉政策を並べ立てる各政党。ウンザリして、新聞の選挙関連の記事を詳しく読む気にもなれない。

 ところで、先週、今回の選挙の隠れた争点にふれている面白い記事を読んだのでご紹介しよう。経済学者の野口悠紀雄氏の書いた記事である。


 要約すると、2013年から始まったアベノミクスの結果について以下のようにまとめている。

① 家計消費支出の減少傾向が一向に止まらない。
② 労働者の実質賃金と従業員賃金は、共に横ばいのまま。
③ 金融資産保有額3000万円以上の富裕層世帯は、株高でますます豊かに。
④ 円安で輸出大企業の利益が増加する一方で人件費は横ばいの結果、企業利益は大幅増。

 ①について補足しておこう。この記事中の図-1を修正した図を下に示す。
 2014年4月に消費税が5%から8%に増えた。この影響を除くために、3%の増税分を各棒グラフの白抜き部分で示した。この消費税5%のレベルに統一した結果を見ると、アベノミクス開始以降、家計の実質消費額が急減していることがよく判る。なお、このデータは、二人以上の世帯を対象とした調査結果である。

 「アベノミクスで豊かになる」どころか、一般の家庭では消費を抑えて将来不安に対処しようとしていることが見て取れる。

 

 
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 野口氏はこの記事の末尾で、「本当に働く人の立場に立つ政治勢力が存在しないのは、日本の悲劇だ」と述べている。全くその通りだと思う。

 日本国内の労働者の約四割が既に非正規雇用となっている。労働者の利益を守る組織であるはずの連合は、大企業とそれに属する正規職の利益を守ることのみに汲々として、非正規職の増加を黙認し続けてきた。パートで働く主婦層や、定年後も働かねばならない高齢者などの非正規層の利益を明確に代弁する政党が、未だに現れていないように見える。

 安全保障面だけに目が行って、「北朝鮮をやっつけろ」とのスローガンに同調して安倍政権を支持する若い非正規労働者も多いのかも知れない。アベノミクスで貧困化している層がアベノミクスを支持すると言うのは、客観的に見れば非常に奇妙な構図でしかない。

 どのみち、日本単独で武力行使できるはずもないし、アメリカは自国の利益のためになると最終的に判断すれば、日韓の被害には多少は目をつぶってでも、北朝鮮への武力行使に踏み切るだろう。今回の選挙で日本の政権がどうなろうとも、日本はアメリカに対して「平和的な解決」を求めつつも協調していく以外には選択肢はないのである。「北朝鮮対応の是非を問う選挙」というのは、安倍晋三が解散理由として急きょでっち上げた空虚なスローガンでしかない。

 何年先になるのかは判らないが、日本社会で大きくなりつつある格差の是正を主張する、具体的で実行可能な政策を持った政党が大きな勢力になることを期待したい。それでこそ初めて、まともな政策論争を伴った国政選挙が実現するだろう。

/P太拝