「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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伊方原発の運転差し止めで見えて来るもの

 鳥取市内は、今日は朝から雪。夕方にアメダスで確認したら、積雪は15cmに達したらしい。今日一日、ずっと家の中にお籠りしていて、何とも退屈でした。
「つれづれなるままにパソコンに向かいて、そこはかとなく、ブログなるものを更新・・」というところです。

 先週のニュースで筆者が注目したのは、なんといっても「12/13 広島高裁、伊方原発三号機の運転差し止め仮処分決定」でした。差し止めの理由として広島高裁は、「阿蘇山の巨大噴火による影響の可能性」を指摘していた。
 

 最近の新聞各紙・TV・ネットを見ていると、原発再稼働に一番熱心なのはフジ・産経グループである。上の記事も「産経新聞号外」の転載らしい。おまけに、下に示すように、わざわざ社説で取り上げて、「130kmも離れた阿蘇山の噴火の影響があるとは、あまりに極端な判断・・・」と非難している。

 このブログでは、巨大噴火による原発停止の危険性を既に何度も指摘してきた。改めて紹介しておこう。

 専門家でもなく、単なる一般読者にすきない筆者でさえも知っている巨大噴火の危険性を、全国紙である産経新聞論説委員殿が知らないはずはない。また、本当にご存知ないのであれば、全国紙の社説を書くにはあまりにも無知かつ不勉強であり、その資格に欠けると言わざるを得ない。

 ここで、以前から巨大噴火の危険性を指摘し続けてきた専門家の方の見解も紹介しておこう。今回の判決を受けての神戸大学の巽教授の見解である。

 これも同氏による過去の記事であるが、阿蘇山の巨大噴火が起こった際の日本列島全体に対する影響予測も示しておく。

 約千三百万人が住む九州全体が火砕流に覆われた場合、避難が遅れればその住民の大半が死ぬことになる。(実際、7300年前に鬼界カルデラが巨大噴火した際には、火砕流が海をわたって100km以上も広がった結果、南九州の縄文文化が死に絶えている。) 川内、玄海、伊方の三原発から燃料を抜き取ってよそに移すような時間は到底ないだろうから、火砕流に埋まった各原子炉で核分裂反応が無秩序に進行し、やがて爆発して大量の放射能を大気中にまき散らすことになるだろう。この場合には、日本列島全体が居住不能になる可能性が高い。

 火山灰の影響も深刻である。上の巽教授の予測によると、火山灰の深さ20cmの領域は関東地方まで、深さ10cmの領域は東北北部までが含まれる。下に示す気象庁の資料によると、火山灰の深さ1cmでも停電や車の故障が発生する。深さ10cmでは確実に全面的な停電や交通途絶が起きるだろう。日本各地の原発で非常用電源の燃料が尽きれば、福島第一原発事故の再来となることは確実だ。火山灰が降り続く中、ヘリコプターで燃料補給することができるだろうか?

 産経新聞の社説は、「破局的巨大噴火の確率は一万年に一度」と報じているが、巽教授が以前から主張している「今後百年間に巨大噴火が発生する確率は1%」との見解は故意にか無視している。

 新幹線であれ、巨大建築であれ、使用期間中に事故に遭う確率が0.1%でもあれば、設計・建設・稼働を一時中止して再点検とリスク低減に努めるのが現代日本での常識であろう。まして、高放射性廃棄物最終保管場所の目途も経っていない日本では、原発の稼働終了後も使用済み核燃料が数十年間にわたって原発廃炉敷地内に保管される可能性が高い。

 さらに、休止中又は廃炉後の原発であっても、その敷地内に使用済み核燃料を保管していること自体が、その地域にとってはリスクなのである。最近の報道によると、北朝鮮の木造船はレーダーで検知すること自体が難しいそうだ。以前に当ブログの記事でも指摘したが、通常ミサイルを積んだ小型船が原発に近づいてきて、使用済核燃料保管庫を攻撃し爆破したら、少なくとも数十万人以上の近隣住民が、我が家を捨てて逃げださなければならないのである。


 フジ・産経グループの報道を鵜呑みにしてはならない。このグループは、この原発擁護に示すように安倍政権のタイコモチと化していることは明らかだからである。最近は新聞を読む人間が減っているので、ネット上にサイトを新たに作り、そこからフジサンケイの名前を隠して発信し続けている。「ホウドウキョク」などはその典型例だ。

/P太拝