「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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布勢スプリント2018を見に行きました

 一昨日6/3の日曜日、鳥取市内の県営布勢陸上競技場(現在の正式名はコカ・コーラなんとか・・)に布勢スプリント2018を見に行きました。このイベントは小学生以上の各階層別に100m走などのタイムを競うものであり、今年はトップクラスへの出場選手として、日本短距離界の主要メンバーがそろい踏み。100m走の日本歴代記録十傑中の現役選手六名のうち、実に山県、多田、飯塚、ケンブリッジ飛鳥の四名が一緒に走るという見逃せない一戦です。

 オリンピックの陸上競技、陸上の世界選手権と日本選手権は何があっても必ず中継を見ている陸上フリークの筆者としては、この日をずっと楽しみに待っていました。

 結果は、すでに報道された通りで、山県選手が10.12秒で優勝。惜しむらくは向かい風-0.7mであったこと。男子100mの二十分ほど前までは、記録公認条件ぎりぎりの追い風2.0m弱がずっと吹いていたのに、このレースの十分ほど前から急に向かい風に代わりました。

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 中盤過ぎの状況、不注意でピントが手前の手すりに合ってしまいました(涙・・)。右から三人目が多田、以下左に、ケンブリッジ飛鳥、飯塚、山県。

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          一番上に表示されている-0.7mが残念!


 仮にこのレースの時に向かい風ではなく追い風が吹いていたら、どんな記録になっていたのか?ネット上にはたくさんの換算式があふれており、それを使って計算してみました。念のために、二つのサイトを使って別々に計算したが、結果は同一でした。

追い風が秒速-0.7mの時の10.12秒

 = 無風時の        10.07秒

 = 追い風秒速2.0m時の 9.97秒
 
でした。なんと、ちょうどこの試合の時に追い風2.0mが吹いていれば、山県選手は桐生選手の日本記録9.98秒を更新していた可能性があったことがわかりました。自分の目の前で日本記録更新の瞬間に立ち会えていたかもしれないと思うと、気まぐれな風がうらめしい。
 
 日本のトップレベル選手の出場種目としては、男子100m以外には女子100m、男子110mH、女子100mHも実施されました。女子100mは既に実績のある市川華菜選手とジャマイカの高校生が同着でともに一位という珍しい記録、三位には長らく不調であった日本記録保持者の福島選手が入って復調の兆し。女子100mHでは、第一人者の木村文子選手の走りが精彩を欠いたのが気になりました。
 
 さて、この日のトップレベルでの優勝者のコメントですが、みな同様に「ここのトラックは記録が出やすいので大好き」とのこと。実際に、国内海外を問わず、布勢のトラックは来場したほとんどすべての選手から好評を得ているようです。それを証明する例としては、日本の女子100m国内歴代記録十傑に載っている11名のうち実に5名が、この布勢で自己最高記録を出している事実が挙げられます。
 
 この布勢のトラックの材質がスピードが出やすいということは以前から言われていることですが、筆者が思うに、この地特有の気象条件も好記録に味方しているようです。
 
 湖山池周辺では、春から秋の晴れた日の日中は必ずと言っていいほど北寄りの風が吹きます(日本海を強い低気圧が通過して南風を伴うフェーン現象が起きる場合もあるを除く)。この風は、冷たい日本海と、強い日射によって暖められた中国山地山腹の温度差に由来するものであり、旧市内と違って北側に遮る山がない布勢付近では、早くも午前中には海からの涼しい北風が吹きこみ始めます。
 
 布勢競技場のメインスタンド前のトラックでは、100mは北からスタートしてほぼ真南のゴールに向かって走ることになり、晴れの日の正午前後に走る選手にとってはほぼ常に追い風となるはず。100mと200mで好記録が出るのも当然でしょう。
 
 布勢陸上競技場は知名度は低いものの、隠れた鳥取のお宝になりうる素材だと思います。入念に準備して売り出せば、すでに評価の高い国内のみならず海外勢からも高い評価を得られるでしょう。何よりも選手からの評価が高いことが重要であり、記録の出やすいトラックで有力選手が多数参加するとなれば、自費で参加したい選手も増えるでしょう。
 
 今後の課題としては、以下の点が挙げられると思います。
 
①交通アクセスの問題
 車での来場が主流だが、駐車場のキャパが圧倒的に少ない。6/3の場合には、観戦費無料に加えて子供の走る姿を見に来た家族連れで、公園内の道路はその両側に隙間なく路上駐車の状態だった。参加人数の予測とコントロールを可能とするため、参加費は有料、かつその多くを事前予約制としたほうがよい。予測される参加人数が多ければ、別の場所にも駐車場を設置してシャトルバスの運行(有料でよい)も視野に入れるべき。有力選手が多数出るのであれば、有料にしても、見たい人は遠くからでもやって来る。
 
② メインスタンドの屋根が小さく、夏の暑さ対策が問題
 6/3のメインスタンドはほぼ満席となったが、当日の最高温度は30℃。日陰となる場所はすでにすし詰め状態であり、筆者は強い日差しの中、硬いベンチに座って観戦したが、なかなかにつらいものがあった。今のスタンドの構造のままでは、夏の炎天下での開催は無理だろう。五月又は十月頃でなければ快適に観戦できないと思う。
 
 この布勢の競技場の活用を考える担当は、県の体育課や県の陸上競技協会なのでしょうか。せっかく全国に誇れる施設がすでにあるのだから、より有効な活用方法を強力に立案・推進していただきたいものです。
 
/P太拝