「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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アベノミクスの六年間がもたらしたもの(2)

前回に続き、この六年間の安倍政権の経済政策の結果について。今回は実質賃金の低下がアベノミクスで加速しているとの記事の紹介です。


 経済コンサルタント:中原圭介氏が 東洋経済ONLINEで公表した記事です。以下、概要。
 
・景気拡大なのに実質賃金は下落の現実。
 過去の約20年間、日本の賃金は下がり続けているが、2013年以降、名目賃金の減り方よりも、実質賃金の減り方の方が大きくなった。これはアベノミクスで急激な円安になったために、食料・石油などの輸入品価格が大きく上がったことが原因である。物価上昇で大部分の消費者の低価格志向が一層強まった。

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・実質賃金が下がると個人消費も減少
 特に2014~2016の三年間連続で個人消費が減少したのは戦後初。

アベノミクスの恩恵を受けるのは国民の二割だけ
 富裕層と大企業に勤める人は日本国民の約二割。各種世論調査の結果でも「景気回復を実感している」人は二割前後、「実感していない」人は八割前後。約八割の国民がアベノミクスの蚊帳の外に置かれたまま。「景気が良い」とはしゃいでいるのは大企業の世界だけなのである。

・正確な統計がなくなってしまっては、国の未来はつくれない。
 厚労省の統計不正により、経済分析とそれに基づく将来予測ができなくなってしまった。

(2)感想

先回の野口教授の記事によると、日本の総就業者は6456万人とのこと。野口教授の3/28付の記事 https://diamond.jp/articles/-/198124?page=3  によると資本金10億円以上の大企業と資本金1億円以上の規模の大きい中企業の従業員数の合計は1472万人であり、総就業者の22.8%。資本金五千万円以上の中企業も含めると2035万人、総就業者の31.5%となる。大体は、この層あたりまでがアベノミクスの恩恵を受けた層と言ってよいだろう。もっとも、この中には、小企業から大企業に移動はしたものの、給料は小企業の時のままという人たちがかなり含まれているはずである。

 日本で働いている人の中の残りの約8割は、アベノミクスでよいことは何もなかった人達である。夫の実質的な給料が目減りしたのでパートに出るしかない主婦や、年金だけでは暮らしていけないので定年後もアルバイト等で働かざるを得ない高齢者(筆者もその中の一員)が典型例だろう。

 滑稽なのは、アベノミクスの恩恵を受けているのは国民の約二割でしかないのに、安倍内閣の支持率が常に四割から五割の範囲に高止まりしていることだ。自分の実質手取り額が減っているにもかかわらず安倍内閣を支持している、お人好しというほかはない人々が国民の約二割から三割を占めているということになる。

 若年層では、中高年世代よりも安倍内閣支持率が高いが、その主な理由は「就職率が改善したから」だそうである。今の人手不足現象は、団塊世代が一斉に引退したという単なる年齢構成の変化が主因であり、どの内閣が政権を担当しても、この傾向は変わらなかったはずである。

 それを「安倍内閣のおかげ」ととらえているのだから、若者世代は事実を正確に認識する能力にも欠ける更なるお人好しの集まりと評するほかはない。日本人は「従順な羊の群れ」と化しつつあるのではなかろうか。

/P太拝