「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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世界各国の幸福度指数

 最近読んだ記事の中で強く印象に残った記事がありました。以下紹介しておきましょう。


 南太平洋の島国フィジーで英語学校を経営している大阪出身の人が書いた記事です。一部を紹介します。

 「・・・・フィジーで暮らしてみて、驚いたことはたくさんあります。洋服は他人のものを勝手に借りて着ていくし、帰りの交通費を持っていなくてもどこへでも行きます。飲食店に行けば、注文したものとは別の料理が運ばれてくることも日常茶飯事です。仕事でミスをしても反省しないし、未来も考えません。「なんて非常識なんだ」と憤ったこともありました。なんでも共有し、適当に生き、今に集中して、つながりを大事にすること。この四つの習慣こそが、幸せの法則ではないかと思うようになりました。・・・」

 フィジーという国は今まで全然知らなかったが、次の記事の「2018年版世界幸福度調査」によると、最近四年間で三回も幸福度世界一になっているそうです。この記事も上の記事と同じ人が書いたものでした。

 
 「・・・フィジー人は「つながり」が非常に強い人たちだと感じています。つながりを強化しているのは、フィジー人の「依存力」(甘え上手)なのかもしれません。・・・」

 フィジーの一人当たりGDPは日本の十分の一程度にすぎませんが、こういう社会に暮らしていれば、「年金だけだと(自分が死ぬまでに)二千万円も足りない」などという不安とは無縁でしょう。「人に頼るのは恥」との意識の強い日本人ゆえの「引きこもり現象」も、フィジーでは到底ありそうもない話です。

 しかし、今の日本人にフィジー人のように生きろと言っても、なかなか難しいものがあります。生活が便利になるのに反比例して親戚や地域との関係はどんどんと薄れてしまいました。いざというときに頼りになるのは、「親戚よりも近くのコンビニ」というのが今の日本です。

 約50年前、岡林信康は自作の歌「俺らいちぬけた」の中で、「田舎のいやらしさは蜘蛛の巣のようで おせっかいのベタベタ息が詰まりそう・・」と歌い始め、砂漠のような街にも絶望して、「命あるものの流れに沿って 今夜街を出よう」と歌い終えていましたが、その後はどうなったでしょうか。多くの場合、我々は田舎にも本当には住みつけず、都会にもあきたらず、何だか同じところをグルグルと回っていただけのような気もします。

 ところで、上で紹介した「世界幸福度調査」はあくまで主観的なものであり、「とても幸せ、または幸せ」と感じる人の割合から「不幸、またはとても不幸」と感じる人の割合を引いた指数(%)で比較しています。フィジーの92という指数は驚異的な高さと言ってよいでしょう。18位の日本の54という数字もなかなかのもので、例えば、77-23=54というように7割以上の人が「とても幸せ、または幸せ」と感じていないとこういう結果には絶対にならない。皆さん、本当にそんなに満足しているのでしょうか?

 より客観的な経済力等を重視した、国連による「世界幸福度報告」も紹介しておきましょう。こちらの2016年の調査結果の一位はデンマーク。以下上位には北欧諸国がずらりと並んでおり、いわば常識的な予想通りの結果です。なお、フィジーはこの調査の対象外とのこと。

 
 この結果の中で日本は、2016年には総合で157か国中53位(年々低下傾向にあり、2019年にはさらに58位に低下)。2016年の日本の結果を項目別に見ると、「一人あたりGDP」26位、「社会的支援」24位、「健康寿命」3位、「人生選択の自由度」45位、「寛容さ」137位、「社会の非腐敗度」32位となっています。他の項目に比べて寛容さが著しく低い点が日本の特徴。最近のネット上での特定国関連ニュースに対するコメントの罵詈雑言ぶりを見ていると、この結果にうなずける点も多々あります。

 なお、アジア諸国の中で総合順位が高いのは、シンガポール22位、タイ33位、台湾35位等々。やはり、観光で人気の国が幸福度でも上位に来る傾向有り。

この調査で一位になったデンマークの暮らしについての記事です。

 
 高福祉高負担の元で、見栄をはらず、主な交通手段は自転車で贅沢とは無縁、実際に人と向き合ってのコミュニケーションを大切にする、流行に流されず自分の価値観を大事にする暮らし等々、将来の日本に参考になる点がたくさんあります。

 フィジーのような伝統社会が既に解体してしまった日本では、今さら明治以来の家父長制の家族構成に戻れるはずもなく、周囲とのコミュニケーションを回復させながら高福祉社会への転換と軟着陸を進めていく以外には道はないのでしょう。「そんな静かな生活はまっぴらご免!」という人は、混乱とエネルギーとが満ち溢れる新興国に行くとか、ニューヨークやシンガポールや香港(?)あたりに行って世界的に活躍していただければよいと思います。

 最後に、我が鳥取県の幸福度に関するデータも含んでいる記事を紹介しておきましょう。

 この記事の末尾に各都道府県別の幸福度ランキングが載っています。県民一人当たりの収入は全国最低レベルの鳥取県ですが、健康寿命や持ち家率、失業率などから見た「客観的幸福度」は最上位グループの12位以内に入っています。一方で「主観的幸福度」は最下位グループの37~47位。この差はいったい何なのでしょうね。
 「鳥取県民はもっと自分に自信を持ちなさい」と言っているデータなのではないでしょうか。

/P太拝