「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

当ブログの内容は編集者個人の見解であり、「市民の会」の公式見解ではありません。当ブログへのリンク、記事内容の引用等はご自由に!

子供の貧困率が増加、格差拡大の原因はどこに?

 いままでこのブログの中では触れて来なかったが、日本社会の格差は確実に増加している。アメリカでも同様らしいが、いままで社会の安定を維持してきた中間層が解体して、富裕層と貧困層に二分化しつつある。
 次の二つの記事は、現在の日本の教育現場の悲惨な現状について報告している。
 子供の現状が悲惨なのは親の責任と言えばそれまでだが、親と子をそこまで追い込んだのは、全て彼らの落ち度のせいなのか?

 「五歳の子が、栄養不足から来る発育不良で三歳にしか見えない」という現実をどうしたら改善できるのか?「自己責任論」を振り回して、「俺には関係ない、バカなお前たちが悪い」と自己満足しているだけでは、日本社会の劣化は止まらない。社会全体が劣化すれば、自分一人だけは別だということには、当然ならない。

次の記事では、子供の貧困化の原因にまで切り込んでいる。

 この記事の中で、山形大の戸室准教授は、子どもの貧困の原因は、国全体としてみれば、「子育て世代の非正規労働者増加」にあると述べている。労働構造の変化が格差を生み出しているのだ。

 余談だが、この記事の中で、我が鳥取県は子供の貧困率は高い(悪い)方から18番目となっている。2012年度の一人当たり県民所得は全国で46位に転落 (要するにブービー県) という貧困県にしては、ずいぶん健闘していると言ってよい。おそらく、食料品などの物価が安いことと、三世代同居世帯が多いことが関係しているのだろう。

 この記事で注目すべきは、従来から豊かな地域とされている北陸三県が、子供の貧困率でも全国で一番低いレベルにあることである。以前にも述べたが、北陸三県には世界的に有名な地場の民間企業がたくさんある。税金を食い散らかすだけの公共事業に頼ることなく、民間経済が自立的に活性化すれば、格差拡大を阻止して子供たちを幸せにすることができるという実例にほかならない。

 北陸地方は、気候的には鳥取県よりももっと厳しい風土なのに、なんでこうも違うのか?鳥取県民は、政治家の一過性のパフォーマンスにすきない「まんが王国」なんぞを応援しているヒマがあるのなら、北陸三県へ勉強に行って、彼の地の取り組みを十分に学んだ方がよっぽど有益であろう。

 現在、テレビを見ても、書店に行っても、「日本人はすごい!」「日本のここが優秀!」といった番組や本があふれているのだが、子供一人あたりの教育費は、先進国で構成されるOECD諸国32か国中で日本が最下位なのである。子供たちへの投資をしない国には将来は無い。ウヌボレもほどほどにしておかないと、もうすぐこの国の将来は、お先真っ暗ということになる。

 ところで、最近、安倍総理は唐突に、「同一賃金、同一労働」と言い始めた。企業が非正規労働者を増やしているのは、正社員を抱えているよりも、非正規に変えた方が利益があがるからだけの話である。企業会計上、正社員に支払う給料は人件費に区分されるが、派遣社員の給料は物品購入費として計上される。要するに、「派遣社員はモノ扱い」なのである。「モノの購入に対する支払だから、正社員の時給の半分以下で当然」というのが、実際の企業での現場感覚だ。その結果、上に述べたような「子供の貧困」が発生している。

 安倍総理は、このような現実に対して、どう切り込むつもりなのか?経団連などの大企業は、うわべだけは聞いたフリをするだろうが、「非正規の低賃金」という自社の利益の源泉を、そう簡単に手放すはずはない。
 筆者の感想は、「夏の参院選を前にして、また恒例の選挙前パフォーマンスが始まった」と思っているだけである。選挙が終わったあと、どう落とし前をつけるつもりなのか?選挙が終わったら、例によってコソコソと、この「同一労働、同一賃金」のスローガンをひっこめてしまうのではないか?興味深々だ。

/以上