とっとり地域自治研究所 第二回フォーラムの報告

 10/12(土)、台風12号が関東地方に接近、鳥取市でも雨と強風が吹き荒れる中、とっとり自治研主催の「フォーラム 人口減少に負けない地域づくり」が開催されました。鳥取西道路は閉鎖、JR山陰線や因美線も運休となる悪天候にもかかわらず80名強の参加者を得て盛況でした。以下、概要を報告します。

 

(1)基調講演「鳥取県内での「平成の大合併」後の現状」 藤田安一氏 鳥取大学名誉教授

①「平成の大合併」の背景 

 国は1999年に「改正 合併特例法」を成立させて合併を奨励した結果、全国の市町村数は3232(1999年)から1543(2018年)へと減少。その主な目的は「国から地方へ給付している地方交付税の削減」にある。合併しない自治体の地方交付税を削減。その一方で、合併する自治体には合併に伴う地方交付税の削減を10年間猶予、さらに合併特例債という名の借金発行を認め、その元金+利子の七割は国が地方交付税に組み入れて支給すると約束した。

② 合併のメリット・デメリット

 合併により行政サービスの低下と住民負担の増大、住民の声が行政に届きにくくなるなどの弊害が生じた。特に周辺地域での弊害が大きくなった。

鳥取県における合併の現状

 39の市町村が19へと約半減。特に県東部では、9市町村が大型吸収合併により鳥取市の1市となった。

鳥取市に見る合併の現状

合併特例債を限度額いっぱいまで使って新本庁舎などのハコモノを建設したことにより市財政を圧迫、その結果として住民サービスが低下。
・旧町村部では合併によって、住民税、固定資産税、介護保険料、ゴミ袋代、ガンや骨粗しょう症の検診料などがアップした。逆に通学費補助は減らされた。
・合併後の旧町村部の職員数は大幅に削減され、現状は合併前の五分の一以下。結果、周辺部住民の要望が無視されることが多くなり、過疎化が急激に進んだ。

・2018年に鳥取市中核市へと移行したが、県から2000を超える業務を引き継ぐことになり、その実行力と財源が危惧される。

⑤まとめ

・合併時のスローガン、「人が輝き、まちがきらめく、快適環境都市 鳥取」は幻想におわった。
・合併によって地域づくりは弱体化した。さらに市の窓口業務を今年春から企業(ニチイ学館)に任せたことで、官製ワーキングプアの増加、行政サービスの低下、個人情報の流出が危惧される。
道州制推進下でのさらなる市町村合併の可能性

 

(2)シンポジウム「平成の大合併」後の地域づくり

 

① 智頭町のまちづくり実践と「SDGs未来都市」 寺谷誠一郎氏(智頭町町長)

(参考:「SDGsとは何か」 今年7月、内閣府は智頭町と日南町を「SDGs未来都市」に選定した。)

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 「平成の大合併」の時には「鳥取市と合併すると町の借金が無くなる」との誘い文句があった。町民の中には「合併すると自分の家の借金もなくなる」と誤解した人も結構いたようだ。一時、国は「地方創生」を盛んに唱えたが、今はどこへいったのか。自分は今の地方創生大臣の名前も知らない。

 国は机上の計算だけで規制をかけて地方を意のままに操ろうとしている。先日突然発表された「公立病院の赤字」問題にしてもそうだ。国は卓上の論理だけで病院の統廃合を唱えているが、我々は赤字になっても住民の命を助けなければならない。自分は今年75才になったので、もう怖いものは何もない。

 ・「日本1/0(ゼロ分のイチ)村おこし運動(地縁型住民自治)」をやっている。町内には88の集落があるが、集落ごとに「10年後にどういう集落になりたいか」を徹底的に議論してもらう。出てきたアイデアには町がお金をつけるが、口は出さない。

 ・「百人委員会(テーマ型住民自治)」は、教育、林業などテーマ別に分かれて関心のある町民が自主的に参加して議論する仕組み。毎年12月に町の幹部がヒヤリングをして、予算をつけるかつけないかをその場で決める。町職員は委員会で出てきた意見を否定せず実現方法を検討し、基本的には提案者と賛同した委員が責任をもって実行することになっている。
 当初は町民だけの参加だったが、鳥大学生、智頭農林高校や智頭中の生徒と参加者の範囲をどんどんと広げてきた。今話題の「森のようちえん」はこの委員会に参加した移住者のひと言から始めたものである。当初、我々地元の人間は「見慣れた智頭の森の一体何がいいのか」とか、幼児を森の中で遊ばせて危険はないかとか心配していたが、やってみたら特に問題はなく、他の市町村にもどんどんと広まっていった。
 この委員会の問題点は、町議員から「我々の存在意義がなくなる」との苦情がくること。また、長くやっているとメンバーが固定化されて、なかなか新しいアイデアが出てこなくなることも問題点。


② 琴浦町における民間主導のまちづくり 四門隆氏(琴浦まちづくりネットワーク会長)

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 琴浦町には24ものまちづくり関連の団体があり、その支援を行いながら地域の活性化に取り組むのが「琴浦まちづくりネットワーク」。設立して五年目を迎えた。行政だけでは行き届かない点を各団体に担ってもらうことを目的としている。「中間支援」として、町からの補助金も活用して各団体の活動を支援している。

 具体例としては、自宅の古民家を民泊施設に改造したいとの町民からの要望があり、このための団体を設立して開業するためのアドバイスを実施したことなどが挙げられる。
 

③ 廃校の隼小学校を活かした隼Lab.(はやぶさラボ)によるまちづくり 田中周氏(シーセブンハヤブサ 事業マネージャー)f:id:tottoriponta:20191017101125j:plain

 八頭町の隼地区はスズキのオートバイの「ハヤブサ」ライダーの聖地として既に有名だが、隼駅前のJAの空き施設を利用したレストランや古民家を改修したゲストハウスなど地元の若者による起業が始まっている。隼小が廃校になるのを機会に、八頭町と鳥銀をはじめとする民間企業7社と地域住民とが集まって同小の活用策を検討、2017年12月に隼Lab.をオープンさせた。

 旧隼小を改修して「公民連携コミュニティ複合施設」とし、カフェ、ショップ、貸スペース、体育館、プールなどを整備。貸スペース12室は満室、オープン後に約10件の起業を果たすなど活発に活動している。

 隼Lab.の運営会社であるシーセブンハヤブサの目標は、「地域の価値を最大化し、新たな産業や人材を生み出し、日本の未来のモデルになる田舎をつくる」ことである。

 

 以上の三件の取り組み発表のあとで、藤田教授も含めた四者に対する質疑応答が行われた。時間が短時間にとどまり、会場参加者に質問の機会が与えられなかったのは残念であった。


(3)傍聴しての感想

① 藤田教授

 藤田先生が強調されていたのは、大合併した鳥取市では、各総合支所の職員数の大幅削減に見られるように周辺部の衰退が著しいということ。先生が青谷町の現状を調査に行った際、青谷和紙工房のある山根地区への行き方を青谷総合支所の窓口職員に問うたところ、その職員は和紙工房の位置すらも知らなかったそうである。青谷町観光の目玉であり市の所有施設でもある同工房への行き方を支所の職員が知らないようでは、合併後に青谷町が急速にさびれつつあるのも当然というほかはない。市職員のやる気のなさが目に見えるようだ。

 市の窓口職員の外注化も大きな問題。受注したニチイ学館の本社は東京にある。我々の税金から同社に支払ったかなりの部分が、同社の利益として東京に流出し地元には還元されない。従来も窓口業務には非正規職員が多かったのだろうが、今までは彼ら彼女らを市が直接雇っていたので、少なくとも給与の大部分は市内で消費されることで地元に還元されていたはずだ。

 鳥取市の非正規職員は増加の一途をたどり、既に全職員数の半分以上が非正規である。こんな市は全国でも珍しい。例えば、市保育所の保育士の大部分が正規職員ではない。

 そもそも、市民との最大の接点であるはずの窓口業務を民間企業にまかせておいて、市の正規職員はいったいどんな仕事をしているのだろうか? 市職員が市民との直接の接触を面倒がり、怖がっているようでは、満足な市民サービスなどできるはずもない。筆者が思いつくのは以下のような「仕事」だ。

・非正規職員や企業からの派遣社員の働きぶりや、窓口で暴れる市民がいないかどうかを、庁内各所に設置のカメラで監視。何かあったらすぐ警察に通報。
・自分の席に一日中座って、誰もろくに読まないような書類を量産。
・一日中会議室にこもって、さも重要な要件を検討しているようなふりをする。
・NHK鳥取を始めとするテレビや新聞を毎日呼んで来ては、熱心に仕事をしているように見せかけるパフォーマンスをカメラの前で連発。

 ろくに仕事もしない市職員や議員の生活費となる税金を払うような余裕は、我々貧しい鳥取市民には到底ないのである。

 鳥取市の合併に伴う問題点の詳細については、当ブログの「鳥取市政」カテゴリーや「市民の会」サイトにも若干記事を載せているので、そちらも参照していただきたい。

 

② 智頭町

 以前から智頭町の百人委員会の内容については詳しく知りたいと思っていたのだが、今回、寺谷町長自らの説明を聞くことによってその概要を把握することができた。この委員会の存在は「住民による直接民主制」の試みというべきであり、「議員を媒介とする間接民主制」と対立することは原理的に当然だが、試み自体は非常に賞賛に値するものであると思う。住民が自主的に声を発することによって、町内の不平等や格差の縮小が期待される。マンネリ化の弊害を克服しながら今後も頑張っていただきたい。

 以前にも寺谷町長の講演を聞いたことがあるが、ずいぶんエネルギーに富んだ人だと思った。今回もその印象は変わらない。以前、当ブログの記事で全国的に注目されるほど頑張っている自治体の首長の紹介を三回連続でしたことがあるが、全員がエネルギーにあふれる人との印象があった。やはりリーダーはこういうタイプでないとだめだ。

 現鳥取市長のように、声が小さくて何を言っているんだか聞き取れない、かりに聞き取れてもいったい御自身で何をしたいんだかサッパリ判らないようでは、「誰かに利用されるための操り人形」の存在にしかならない。

 

③ 琴浦町

 まちづくりの団体が町内に24もあるのは素晴らしいことだと思う。ただし、それらの団体の活動を後押しする、この「まちづくりネットワーク」の活動の内容が今一つ理解できなかった。もっと具体的な例を数多く挙げていただければよかった。

 一つ気になったのは、町当局と各団体に参加している住民の間の橋渡しの役割を引き受けて推進するのは良しとして、団体に参加していない住民に対するサービスはどうなるのだろうか。行政の公平性は、どのような場合でも保証されなければならないと思うのだが。

 

④ 八頭町

 シーセブンハヤブサの取り組みが順調に発展しているのは実に歓迎すべき話であり、県東部の中心と空威張りしているだけの鳥取市の外でこのような活発な活動が自発的に始まっているのも喜ばしいことだ。筆者自身、旧隼小のカフェに行ってみたくなった。

 ただし、発表者自身が述べられていたように、この地区に結果的にせよ町からの投資が集中してしまっている現状は、あまり好ましいことではないだろう。自発的なまちづくりの意欲を示す町内の全ての地区に対しても、(あまりコストをかけない形で)隼地区と同様に町が援助していく姿勢をはっきりと示す必要があると思う。智頭町の「地縁型住民自治」の取り組みが参考になるのではないだろうか。

 

⑤ 感想のまとめ

 シンポジウムの最後に、シンポジウムの進行役を務めた多田憲一朗氏(鳥大教授)が「地域のつながりを作ることが大切。協働がこれからの地域づくりのキーワードになる」と述べられていたが、まさにその通りだと思う。

 今の鳥取市は、住民投票結果に反して新庁舎建設を強行、その新庁舎窓口には派遣社員を配置して正職員は奥に引っ込み安逸を貪る等々、行政当局自らが「行政と市民との間、行政と地域との間のつながりを断ち切る」行動に余念がない。行政自ら率先してワーキングプアを増やしては市民間の格差拡大に拍車をかけ、国からの税金を市内に落とさずにその大半を東京や大阪の大企業に吸い上げさせて喜んでいる。「愚かさももここに極まれり」と評するほかはない。

 こんな鳥取市には、絶対に明るい未来はありえない。その一方で、智頭町や日南町の現在の取り組みの先には大いに明るい希望がありそうに思える。これから日本の将来を担うのは、案外、「平成の大合併」から取り残された小さな自治体なのではないだろうか。「地域のつながりを大事にして安心して暮らせる、過疎化に負けない自治体」を是非とも応援していきたいものである

 筆者の知人は、既に「こんな鳥取市には絶対に税金を納めたくないので、去年は別の町にふるさと納税をした」そうである。筆者も見習いたい。

 今年の12月末までにどこか自分の好きな自治体に寄付をすれば、その金額の大半は来年二月の確定申告で控除され、現在住んでいる自治体への住民税と所得税を大幅に減額ことができる。国が保証している制度なのだから、日本の将来をよくするために堂々と有効に使いましょう。詳しくは、以下を参照してください。皆で「自分が好きな自治体」を探しましょう。

「ふるさと納税とは?」

/P太拝

「市民の会」公式サイトに「鳥取市の明?と暗!」の記事を掲載しました

 当「開かれた市政をつくる市民の会」の公式サイトに、久しぶりに記事をアップしました。題して、『「鳥取市の明?と暗!」-写真で見る鳥取市政の現状-』

 新本庁舎の完成を機に、山積する鳥取市政の問題点の一部を写真と共にまとめたものです。一読いただければ幸いです。

 今回まとめてみて改めて思うのは、「なんで鳥取市はこんなにハコモノ建設が好きなのか」ということです。もちろん、旧建設省出身の前市長の影響が極めて大きいことがその主たる理由でしょうが、いくらハコモノ好きと言ってもふつうは限度があるものです。

 今年の五月末時点での鳥取市の合併特例債の活用状況は、既に限度額544.93億円の90.2%に達しています。こんなに借金好きな自治体は全国的にも珍しいでしょう。その活用先の大半は公共事業という名のハコモノづくりです。国から支給される税金に頼りきって自助努力を忘れた結果、鳥取市特有の「煮えたら食わあ」精神は、より一層肥大化してしまいました。

 さて、合併特例債の使用枠の残りは約53億円でしかありません。もう無駄なハコモノをこれ以上市内で見なくて済むのはうれしい限りですが、合併特例債という名の「打ち出の小槌」を失ないつつある深沢市長と与党議員は、これからいったい何にすがって自分たちの支持業界を食わせていくつもりなのでしょうか?大いに見ものです。

/P太拝 

 

 

一般市民を排除した上での「鳥取市政施行130周年 & 新本庁舎完成記念式典」が本日開催されました

 今日の10/1は、鳥取市が市になってから130周年とのこと。まったくもって、オメデタイ話!なのに、その祝賀式典では一般市民は入場禁止。

 
 上に挙げた本日付の市の公式サイト、たいていは市が記事をすぐに消してしまうので、念のために記事の内容を下に貼り付けておきます。
 
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 130周年を祝う式典は、ほぼ完成した駅南の新本庁舎で開催するとのこと。筆者はまだ完成した新本庁舎を見ていなかったので、今日の午前中に見に行きました。式典は13:30からとのことですが、都合があり午前中のみ周辺を観察。
 
(1)イオン鳥取店正面真向かいから見た巨大な新本庁舎。さすがに約100億円もの税金をつぎ込んだだけのことはあり、ずいぶん立派に見える。
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(2)式場の案内看板、周りには誰一人いない。
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(3)祝典から一般市民を排除して自画自賛の「祝賀垂れ幕」。背景の青空が哀しい。
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 さて、市公式サイトに発表された本日の記念式典の日程を下に示しておきます。
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鳥取市制施行130周年・新本庁舎完成記念式典」の開催について

(日程・内容)

① 開式のことば

② 国歌斉唱、市民歌斉唱

③ 市長式辞

④ 議長あいさつ

⑤ 来賓祝辞

◆市制施行130周年

⑥ 記念品贈呈(叙勲受章者36人 代表1人へ贈呈)

⑦ 表彰状授与(市政功労表彰者33人 代表1人へ贈呈)

⑧ 表彰状授与(特別功労表彰者20人 代表1人へ贈呈)

⑨ 謝辞(代表 1人)

◆新本庁舎完成

⑩ 新本庁舎新築工事経過報告

⑪ 工事施工業者へ感謝状贈呈(各工事代表11人へ)

⑫ 謝辞(代表2人)

⑬ 鏡開き

⑭ 閉式のことば

◆記念撮影(叙勲受章者、市政功労表彰者、特別功労表彰者)

◆新本庁舎内覧会


一般参加の可否  関係者のみ

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 この新庁舎を建てる費用の約100億円を拠出した鳥取市民と日本国民の代表を一人も招かずにおいて、この工事で利益を得た「工事施工関係者」のみに感謝状を贈呈するとは何たることでしょうか?「関係者」という名の仲間内だけで、勝手に巨額の税金を分け合い喜び合うというのが本日の祝賀行事の主眼であったようです。

 当然、2012年の住民投票で賛成多数で支持された「現庁舎耐震改修案」に「本体建設費の約33億円は高すぎる」とイチャモン付けておきながら、この新本庁舎の建設費約100億円にはアッサリと賛成した市議会与党の「新生・公明党・その他」の議員の面々も、本日の祝賀行事にはニコニコ顔で参列したことでしょう。

 さて、筆者は1996年に亡くなられた故司馬遼太郎氏の愛読者であり、氏の著作のほとんどを読了しています。司馬さんは1985年頃に鳥取県を訪れていますが、鳥取市滞在時に鳥取城址の見学を進められて婉曲に断っています。以下、朝日文庫 第27巻 「因幡伯耆の道」からの引用。

「・・。私は城跡を見ることを好んでいる。しかしわざわざ鳥取城址にゆく気がしないのは、どうも、江戸二百数十年、ぼう大な数の家臣団が、百姓の米を食ってきただけの痕跡を見て、あすから元気に生きましょうという気がおこりそうにないからである。」

  もしも現在、司馬さんがご健在で再び鳥取市を訪れ、この新市庁舎を見たらなんと言われるでしょうか。「日本全国の中で、鳥取市だけは江戸時代のままだね」とおっしゃるのではないでしょうか。

/P太拝

ラグビー、再発見!(2)

 一昨日の土曜日の日本対アイルランド戦。優勝候補を倒す大金星を挙げました。試合内容については既に山ほど報道されており、いまさら紹介するまでもないが、記事を一つだけ付け加えておきましょう。まさにラグビー精神の「ノーサイド」を象徴する光景。実際に会場で見ていたら、自分も感動で涙が出たかもしれない。

「アイルランド、日本に作った“友好の花道”に感動」

「ツイッター上の実際の動画」

 昨日のウェールズ対オーストラリア戦も、最後までどうなるかわからない、いい試合でした。ドロップゴールの多用が意外だった。オーストラリアが優位だろうと思っていたが、先入観は裏切られるもの。ラグビーの勢力図は日本も含めて変わりつつあるのかもしれない。

 さて、テレビでは全然報道されていないが、同じ時期に来年の東京五輪予選を兼ねた7人制ラグビーアジア大会も開催されていました。日本は男女ともに総合優勝。

「アジアセブンズシリーズ2019は男女とも日本が総合優勝 スリランカ大会もWで金」

  日本は開催地枠で既に東京五輪への出場が決まっていました。スクラム主体の15人制ラグビーに比べると、15人制と同じフィールドをわずか7人でカバーする7人制は走力と持久力が要求されるため、バックス系の選手が主体。数十mを独走してのトライが頻繁に見られ、形勢が一気に変わるところがスリル満点。先回のリオ五輪で正式種目となり、当時、面白くてよく見ていました。放映の機会があればぜひ見てください。

 試合だけでなくラグビー関連の放送もこのところ多いが、一つ驚いたのは先週のNHKの番組で日本ラグビー協会副会長の清宮克之氏が、「自分たちは、先発メンバーを選手だけで相談して決めていた」との発言でした。同氏は早大出身であり早大在籍当時のことのようだが、ラグビーの特徴である選手の自主性尊重を物語る話だ。監督からの上意下達に偏りがちな野球とは対照的。最近の高校野球チーム数の減少は、旧来然とした硬直的、画一的な指導体制がその一因のように思われる。

 筆者は、1970~80年代の大学ラグビー全盛のころは毎年正月に大学選手権の放映を見るのが楽しみでした。特に早明戦の盛り上がりはすごかった。当時はトライを挙げる花形であるバックスばかりに目が行っていて、フォワードの働きについてはよく理解していなかった。今回のWカップを見ることでフォワードの役割が非常に大切であることがようやく理解できた。フォワードの突進力があってこそ相手の陣形が乱れてスペースが空き、そこをバックスが突くことができるのですね。フォワードのボール保持能力が高いほど、味方の攻撃の機会も増えるわけだし。

 中学生の頃、兄が買っていた石原慎太郎の「青年の樹」という小説を読んだが、その中に、主人公がラグビーの試合で数十mを独走してトライを決めるシーンがあった。そのかっこよさに魅了されて、高校に入ったらラグビーをやりたいと思った。しかし、いざ高校に入ってみると、自分が激しいぶつかり合いに耐えられるかが心配になり(当時の筆者はヒョロヒョロだった)、中学からやっていた種目をまた選んでしまった。

 なお、我が母校には当時は弱小ながらラグビー部が存在したが、今はない。鳥取県は昔も今もラグビー不毛の地であり、ラグビー部のある高校は、現在、県中部に二校、西部に二校しかないようだ。

 人生の節目節目において自分が選んだ道をほとんど後悔したことがない筆者ではあるが、「あの時、ラグビー部を選んでいたら、自分は今頃どんな人間になっていただろうか?」と今でも時々思うことがある。

/P太拝

ラグビー、再発見!(1)

 先週末からラグビーカップにドップリとはまっている。9/20開幕戦の日本対ロシア。もちろん試合内容もよかったが、その前の開会式も簡素かつ短時間で印象的だった。試合が始まると、体重100kg前後の大男たちが全力で疾走して正面からぶつかりあう、その迫力に圧倒された。小柄な日本人同士の試合とは迫力がまるで違う。それからというもの、毎晩のように外国勢同士の試合を見ている。

 一番すごいと思ったのは、やはりニュージーランド南アフリカの試合。試合前のオールブラックスのハカも実に勇壮でしたね。今夜は試合がなくて暇なので、久しぶりにブログを書こうと思ったしだいです。

 なんでこんなにラグビーに引き付けられるのかと考えてみると、ラグビーには短距離走、格闘技、球技に不可欠な敏捷性等々、スポーツに要求される個々の要素が全部含まれている。さらにあえて言えば、ラグビーはもっとも戦争に近いスポーツ、いわば「戦争行動をもっとも模倣したスポーツ」なのだろう。我々の、特に男性の心理の中には、格闘し相手をやっつけて自分の支配下においてみたいという欲望が多少なりともあることは否定できない。

 何しろ百年ほど前まで、我々人類の御先祖様は世界中の至るところで血みどろの戦いを繰り広げていたのである。より闘争的で戦い上手な連中ほどより多くの子孫を残せたのだろう。我々の大半こそ、彼らの子孫に他ならない。

 最近の世界はかなり平和になってきたとはいうものの、殺人の技術はますますエスカレートするばかりで、アフガニスタン戦争などでは米軍のロボット兵器による人間の大量殺戮も現実となってしまった。米軍の将軍や技術スタッフは(米国大統領も?)、ロボットがテロリストを殺す映像を見るたびに拍手喝采しているのだろう。プロレスやボクシングなどの格闘技の観客、兵器オタクや戦争ゲーム愛好者等々に見られるように、我々の心の中には戦いに対する一種のあこがれ、強い者に対する憧憬がまぎれもなく潜んでいる。

 この戦いへの憧憬が世界のいたるところで即実行に移されれば、この世は地獄と化してしまうのだが、良くしたもので戦いの模倣行為をするだけでも我々の心はかなりの満足を得られるらしい。いわば、疑似的戦争行為としてのスポーツに参加することによって、我々は自身の暴力への衝動をコントロールし抑制することができるらしいのである。

 典型的な例が、ワルや不良の集まりと言われた京都の伏見工業が、ラグビーが強くなることによって自信を取り戻して全国優勝の常連校となった事実である。半グレの不良少年がスポーツに熱中することで自らの誇りを回復し、世の中に居場所を見出して社会的にも成功するというのは映画や漫画の定番ストーリーとなっている。

 さて、ラグビーはいったん分断されてしまった社会間の再結合にも役立っているらしい。明日、日本は世界ランク一位のアイルランドと対戦するが、次の記事によれば、そのアイルランド代表チームの構成もラグビーならではなのである。このチームこそが、「試合が終わればノーサイド、敵も味方も無くなる」というラグビーの基本的精神そのものをチーム自から表現しているのではないだろうか。ちなみにサッカーに関しては、英領北アイルランドと、英国から独立した(南)アイルランドとは別々の代表チームとなっている。

「ラグビーが統合する南北アイルランド」

 
 「ラグビーは元々ブルジョアのスポーツであり、労働者階級の我々とは縁がない。統一チームなど偽善にすぎない。」と批判するアイルランド市民がいるのかもしれない。しかし、仮に偽善的であるとしても、かって対立し殺しあってきたカトリックプロテスタントが一つのチームを実際に構成しているという現実だけでも大した成果なのだろう。それに、英国やアイルランドについてはよくは知らないが、日本を含むそのほかの国のラグビー選手の全てがブルジョアということはあり得ない。彼らの大半は、いわゆる庶民、一般市民のはずだ。

 もう一つ付け加えておきたい。先週末にネットの記事を読んでいたら、「ラグビー日本代表は外国人だらけ」というコメントがいくつかあった。誰が書いたのかは知らないが、書いた人には次の二つの記事を読んで見てほしい。

 たまたま日本人に生まれたというだけの理由で上から目線で外国人を見下す人間と、日本人になるべく、あるいは日本のために貢献するべく日夜努力している人間と、どちらに人間としての魅力があるかは言わずとも明らかだろう。前者は「日本国籍以外には誇れるものを何も持っていない人間」なのではないかと推測してしまうのである。

「開幕戦3トライ 松島幸太朗「悲しみを乗り越えて」日本の至宝に」

「「もちろん勝ちたい」。アイルランド戦に先発する38歳の生き様」

 

 特に、松島選手とそのお母さんには頭が下がる。高校の三年間、校長先生に毎年年賀状を出す高校生が、今の日本に何人いるだろうか。

 明日のアイルランド戦には松島、トンプソンの両選手は共に先発する予定とのこと。日本とアイルランドの両チームとも存分に戦い、かつ、大いに試合を楽しんでもらいたいものである。

/P太拝

10/12(土)に「人口減少に負けない地域づくり」をとりぎん文化会館で開催します。

 昨年秋に「とっとり地域自治研究所」が発足、筆者は個人の立場で既に会員になっています。

 昨年五月、まだ準備段階にあったこの研究所がフォーラムを開催、その内容は昨年5/15の当ブログの記事で既に紹介していますが、特に日南町と鳥取市鹿野町による町おこしの具体的な内容は非常に印象に残るものでした。(当時、エネルギッシュに街づくりについて報告されていた日南町の増原前町長が今年の春に急逝されたことは、まことに残念でした。)

 さて、とっとり地域自治研究所では、来月の10/12(土) 13:30~16:30 於 とりぎん文化会館第二会議室で第二回目のフォーラムを開催します。

 

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 フォーラム前半の基調講演「鳥取県での「平成の大合併」後の現状」は鳥取大学名誉教授の藤田先生が担当されます。京大で経済学博士号を取得、長年にわたり鳥大教授を務められた藤田先生の専門は自治体の財政と政策論。今回は、2004年頃に県内で相次いで実施された大合併のその後の現状と問題点についてわかりやすく解説していただきます。

 フォーラムの後半では街おこしの具体的な取り組みについて、各自治体・団体の代表者の皆様から紹介していただきます。

・智頭町(公式サイト

 「森のようちえん」や、直接住民と対話して政策を決めていく「百人委員会」等々、最近話題になることの多い県東部山間部の智頭町。今年七月には日南町とともに内閣府より「持続可能なまちづくりを実践する自治体」への指定を受けています。

・「琴浦まちづくりネットワーク」(公式サイト

 多種多様な団体が集まって町の活性化をリードしていくというユニークな取り組みが県中部の琴浦町で始まっています。

・「シーセブンハヤブサ」(公式サイト

 県東部の八頭町で廃校となった小学校をリフォームして、ソフトウェア開発、人材育成等、様々な事業の拠点として活用。地元の鳥取銀行を始めする数社が資本参加しています。

 急速な人口減少に負けずに地元の活性化を進めていくにはどうするかについて、日頃関心をお持ちの方には大変に参考になるフォーラムであると思います。

 

 どなたでも参加できますが、自治研会員以外の皆様には資料代として会場にて500円をいただきたく御了承ください。また、会場の席数の関係もありますので、参加希望の方は事前に事務局にご連絡いただいたほうが良いでしょう。事務局の連絡先は上のチラシにも載っていますが、念のためにメールアドレスを示しておきます。

f-ikenari@mcoop-tottori.jp(池成さん)

 

/P太拝

 

 

 

鳥取市の地価下落率、全国の県庁所在地の中では最悪?

 


 今朝の新聞に昨日公表された全国の地価(今年7月1日時点)に関する記事が載っていました。地方の中心都市では地価上昇が鮮明になってきた半面で、多くの地方都市では地価下落がいまだに止まらないとの内容です。我が鳥取市に関する部分を拾ってみました。

 下の図は日経新聞の記事からの引用で昨年からの地価の変動率を示したものです。詳しいデータまでは載っていないものの、表現の仕方から見て、全国の県庁所在地の中ではどうやら鳥取市が地価下落率トップのようです。

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 鳥取県内の中ではどうでしょうか。県の公式サイトに県内各自治体別の地価変動率が載っています。その中から、市部の部分を抜粋して下に示します。f:id:tottoriponta:20190920222547j:plain

 米子市は住宅地、商業地、工業地とも全てプラスで全用途の平均では0.6%のプラス。それに比較して鳥取市はすべての用途でマイナスであり、全用途平均では1.3%のマイナスです。倉吉市境港市に比べても下落率は大きく、いわば鳥取市の存在が県内全体の地価上昇率を引き下げているといってよいでしょう。

 地価はいわばその街の「経済の体温計」のようなもの、鳥取市の経済の低迷が相当深刻であることを示しています。名前だけ「中核市」になっただけでは、実際には何の効果もないようです。

 もう少し細かく見てみましょう。この県のデータの中には地価上昇率のトップの約5地点とワーストの約5地点も載せてありますが、トップリストの全ては米子市周辺、ワーストリストの半分程度は鳥取市内と両市の明暗がはっきりと分かれています。

 特に注目されるのは、商業地のワースト三位に鳥取駅のすぐ近くの末広温泉町の地点が入っていること。備考には「中心市街地の商店街であるが、店舗の閉鎖が目立つ」との記載。同じく県のデータによれば、鳥取駅周辺の商業地の地価は駅南の扇町がマイナス1.6%、若桜街道沿いの栄町がマイナス0.8%となっており、市内の他の地域に比べて、特に鳥取駅周辺の経済の低迷が深刻であることを示しています。栄町の地点は長らく県内最高地価を維持してきましたが、近いうちに米子市明治町にその座を奪われそうな感じがします。

 市長は「市庁舎の駅南移転で駅周辺の活性化を図る」と繰り返し豪語していますが、どうやらその言葉通りに受け取っている向きは少ないようです。来月から新庁舎への移転が始まりますが、果たして市長の言葉通りに市庁舎移転で鳥取市の経済が活性化するものかどうか、大いに要注目!

/P太拝