「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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いま鳥取に必要なのは起業家!

 12月8日、今年7~9月期のGDP確定値が公表されました。速報値よりもさらに下がって年率1.9%のマイナスとのこと。
 国内経済の停滞は全国の有効求人倍率の数字からもうかがえます。下の図に、今年10月までの全国と鳥取県内の各ハローワークの有効求人倍率の推移を示します。
 
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 このグラフから次のようなことがわかります。
 
・全国の有効求人倍率は今年の6月以降停滞。
 
鳥取県内の求人倍率は今年4月の消費税8%へのアップ以降に急低下。これは販売不振に伴う販売職求人の減少が理由と思われる。全国での数字は増税後も急には低下していないのに対して、県内では急降下。これは県内経済の脆弱性を示している。
 
・県内の中でも鳥取求人倍率はあいかわらず良くない。ここ何年も求人倍率が1を越えたことがない。また鳥取での求人の大半は販売、医療・介護、建設・土木の三分野であり、これらの分野では求人数よりも求職者の数が少ない、いわゆるミスマッチが発生している。
 
 以上に見るように、現在の鳥取市の最大の問題は雇用先の確保です。職が無いために市外への人口流出が止まらないのが現状です。
 
 話しかわって、来年春に北陸新幹線が開業します。本日投票の衆院選で当選確実の鳥取一区の与党現職大臣の以前からの主張は、誰が見ても投資回収は到底不可能と思う「山陰新幹線の実現」だそうです。想定される赤字分は自分の政治力でなんとかするつもりなのでしょうか?
 気候的には北陸と山陰はあまり差がないが、経済面では大差があります。住民一人当たりで見ると、北陸三県は日本の中でも有数の富裕県です。
 
 筆者は昨年の初夏に北陸三県を車で通過したことがあるが、広大な水田地帯が印象的でした。農業以外の産業でも、世界的に有名な会社が数多くあるのを確認しました。福井のメガネ、繊維産業。石川はコマツEIZO(欧州で有名なディスプレイメーカー)。富山は製薬業、YKK、等々。皆、誘致した企業ではなく地元で起業した会社です。本社が地元にある会社はいくら不景気になっても撤退できません。これらの企業にとっては「撤退」イコール「倒産」です。
 
 ひるがえって鳥取市を見ると、かっての市内主要企業のほとんどは鳥取三洋をはじめとする誘致企業でした。最近の世界的な産業構造の変化で、大半が撤退または大幅に事業を縮小したのはご存知の通りです。その結果が、上のグラフに見るような市内の大幅な雇用不足です。
 
 鳥取市民が自力で立ち上げた地場産業と言えば、農業分野の梨とラッキョウくらいではないでしょうか。やはり、地元で起業する人をもっと増やさなければ根本的な解決にはなりません。起業が成功して大きな企業に成長するまでには何十年もかかるだろうが、ほかに道はありません。
 
 今までのように、有力な政治家を育てれば東京からカネを引っ張って来るだろう、そのオコボレでメシを食えるだろうというようなやり方はこれからは通用しません。GDP比で世界最大の政府借金を抱えている日本国には、もうそんな余裕はありません。今までのやり方を今後も続けていれば、すぐに「鳥取は日本のお荷物」と言われるようになってしまうでしょう。
 
 政治家や財界にペコペコ頭を下げてやっと誘致した企業には、鳥取に対する思い入れは最初からありません。土地と労働力が安く手に入り、さらに巨額の補助金付きでほとんど投資をしなくて済むというからやって来ただけのこと。将来、事業環境が悪化したらサッサと出ていくだけの話です。
 
 先月の市議選中に筆者の自宅前を、近所が地盤の若手候補者が宣伝カーで一日に何度も行ったり来たりしていました。自分の名前をずっと連呼、ほかには「若い力で頑張ります」を繰り返すだけでした。上位で当選したこの新人議員は、その「若い力」を使っていったい何をするつもりなのでしょうか?市議会で立派な演説をいくらやっても、市内の雇用は一人も増えません。
 
 聞くところによると、この新人議員は市庁舎新築移転を主導してきた古株のベテラン議員が多くいる会派に入る予定とのこと。人に言われるままに採決で立ったり座ったりするだけなら、ヒマな年寄りがいるだけで十分です。税金を納める側から税金による議員給料をもらう側に回り、さらに国と地方の借金をこれ以上増やす政策にいとも簡単に付和雷同するような議員には、若者や次世代の代表を名のる資格は全くありません。
 
 自分の力に自信を持っている鳥取市内の若者には、ぜひ起業して市内の雇用を増やしてほしい。新しい産業を興して雇用を増やすことが、今の鳥取には何よりも求められていると思います。