「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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「鳥取市の未来を次世代につなぐ会」の鳥取市庁舎新築移転差し止め請求初公判を傍聴

 本日の午前11時より、鳥取地裁で「鳥取市の未来を次世代につなぐ会」(以下、「つなぐ会」)の提訴による「市庁舎建築に関する公金支出差止請求」の初公判があり、傍聴してきました。以下、概略を報告します。

 筆者は裁判傍聴は初体験、開始二十五分前に地裁に到着したらすでに傍聴券の抽選は終わっていました。しかし、傍聴席には空きがあるとのことで係りの方から傍聴券をいただき、開始十分前にはすんなりと32号法廷の一般傍聴席に着席することができました。この法廷の一般傍聴席は36席。報道機関用は12席。開廷時にはほぼ九割が埋まりました。山陰放送のTVカメラだけが撮影に来ていましたが、今日の夕方ニュースで確認した限りでは同局での報道は無かったようです。

 さて、公判内容です。今日は初公判ということもあり、提出書面と日程の確認だけて終わってしまいました。最初から激しい論戦を期待していた自分にとってはガッカリです。しかも、原告側は「つなぐ会」の石上事務局長と代理人弁護士二名が出廷していたにも関わらず、被告の深澤鳥取市長側は答弁書を提出しただけで一人も被告席に現れないというまったく誠意のない態度でした(鳥取市の対応としては、毎度おなじみのこと・・)。

 結局、公判自体は五分ほどで終了。次回の公判は11/6(金)11h から口頭弁論を行うとのこと。また、被告側の答弁書の質問に対する原告側の杉山弁護士からの陳述書は次回公判の一週間くらい前に裁判所に提出することになりました。

 さて、閉廷前に原告の「つなぐ会」の石上事務局長から訴訟に至った経緯に関する意見表明がなされました。非常に中身の濃い内容であり、以下に概要を記載します。
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*「つなぐ会」石上事務局長
 原告を代表して述べさせていただきます。なぜ私たちが訴訟に踏み切ったのかその理由を説明します。
 
①「鳥取市住民投票の結果を無視」

 市民が直接参加する住民投票は民主主義の根幹。その後の市長選や市議会選挙の経過があったとしても、住民投票結果を無視することは地方自治においてあってはならないこと。市民からはこの住民投票結果の無視に対する抗議の意見が多数出ているが、市はその事実さえも否定している。最近の各地の住民投票に見られるように、「地域の事は、住民が最終的に決めてその責任を負う」というのが常識である。
 
②「現庁舎の耐震補強困難とした日本設計の調査報告書は全く信用できない」

 現本庁舎と隣の市民会館の設計者は内藤建築事務所。本庁舎と同一時期に設計・建設された市民会館は、すでにH22年に耐震補強を完了している。
 住民投票で市民に支持された本庁舎耐震補強案の検証調査を受注した日本設計は、住民投票で耐震補強案の対案となった新築移転案の基本構想案を受注した企業そのものであり、公正な調査結果は最初から期待できない。その日本設計の調査結果は一般的なものでしかなく、現庁舎の耐震性確認等の詳細な調査はまったく実施していない。さらに、日本設計の調査結果では、住民投票時の耐震補強案の費用には元々含まれていなかった付帯費用も付け加えられている。それでも、日本設計の調査により算定された耐震改修案費用の総額は、市が当初案の費用を今春になって五割増しで増額し発表した新築移転案費用(98.4億円で付帯費用は含まない)の約三分の一にしか過ぎないのである。
 
③「現市庁舎のコンクリートは十分な強度を示している」

 市は現庁舎の耐震補強案は「寿命が短くなった建物を延命させようとするもので、二重投資」としているが、これは全くの誤り。現庁舎のコンクリート診断結果は「強度は十分にあり劣化の程度は極めて低い」というものであり、極めて良好な状態にある。現庁舎の設計者の内藤氏は、「設計者は施主が払う費用がムダにならないように設計すべき」とのコメントを残している。
 
④「市新庁舎の移転先の旧市立病院跡地は、大規模な地盤改良無しに市庁舎の建設は困難」

 鳥取市民は、この新庁舎移転先がいかに危険な場所であるかを良く知っている。この場所は千代川と袋川の合流点に隣接し旧河道であり地下水位が高く、洪水や地盤の流動化が容易に発生する場所にある。このような危険な立地場所であるにもかかわらず、鳥取市は、最初に基本設計と実施設計を進めて、その後で地盤調査を実施するとしている。地盤改良費用等の付帯費用は地盤調査の結果しだいとしている。まったくの本末転倒である。
 
⑤「新築移転すれば街の構造が変わる。さらに、災害に脆弱な都市となる」

 市庁舎を旧市立病院跡地に新築移転すれば、若桜街道沿いの中心市街地が空洞化することは必然である。さらに、移転先の旧市立病院跡地は危険物を扱う工業地域に隣接している。また、この場所は千代川と鉄道線路に挟まれており逃げ道がない。新築移転は、防災上の観点から見てマイナスである。
 
 以上のような理由により、市の強行する市本庁舎新築移転計画は、この街を危険で住みにくいものにあると変えるものであると思います。先の住民投票でいったん否定されたにもかかわらず、このまま何もしなければこの新築移転計画がスルスルと進んでしまいかねません。だからこそ私たちは、子や孫、次世代への責任のため、今回の住民訴訟に踏み切ったのです。どうもありがとうございました。
 
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/以上
 
追伸:「つなぐ会」のfacebookを紹介しておきます。