「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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自民党のポスターにある「この道」とは? (続き)

 現在、参院選の最中でもあり、アベノミクスに対する評価記事も多くなっているようです。以下、このブログの6/23記事の続編として別の記事を紹介します。

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 安倍総理が進むべきと大声で主張する「この道」を突き進んだ先に、何が待っているのか?次の記事では、その行く末を予想しています。


以下、この記事の概要。

・ 今秋に予想される国の補正予算は、5~10兆円規模となりそう。その第一の目玉は、またしても、(公明党が偏愛する・・)プレミアム商品券となるとの予想。しかし、過去のデータから見てその景気浮揚効果が少ないことは明白。第二の目玉の公共事業も、予算を付けても人手不足で消化し切れないだろうとの予想。

・ アベノミクスの三本の矢、「異次元の金融緩和」(第一の矢)、「財政出動」(第二の矢)はそこそこの効果はあったが、肝心の「規制緩和構造改革」により人口減にかかわらず生産性を押し上げるという戦略(第三の矢)は不発のまま。勤労者の実質賃金と個人消費は、アベノミクスによって、むしろ減少の一途である。

・ 首相の経済ブレーンを務める米エール大学の浜田宏一名誉教授でさえ、第一の矢の異次元緩和の現状をこう表現、 「強いクスリを使っても、だんだん効かなくなっていく」。

・ 慶應義塾大学の池尾和人教授はこう指摘する。 「財政出動(第二の矢)と金融緩和(第一の矢)の本質は、将来の需要の前借りです。先々にわたって需要を増やすことはできません」。
 
・ 紙幣を刷る権限を握る中央銀行が政府の借金を直接引き受けることは「財政ファイナンス」と呼ばれ、まともな国では禁じ手とされる。国民が嫌がる増税をせずに政府が支出を増やせるため歯止めがきかなくなり、通貨の価値が下がって激しいインフレを招きかねないからだ。池尾教授は、「安倍政権は『今』に最大限注力する一方で、『将来』が手薄になっている。これが最大の問題だと思います」と指摘する。

 この記事では、一部の経済専門家の間でささやかれるとされている、「ベストシナリオ」も紹介しています。

(1) 日銀は国債の買い増しをやめるが、保有分は塩漬けする。
(2) 政府も社会保障費抑制や増税によって財政再建の姿勢を示す。
(3) そうして何とか金利上昇を抑え込み、物価上昇率も1ケタ台にとどめて国の借金負担を少しずつ減らしていく。インフレでお金の価値が下がれば、過去につくった借金の価値も減る。
(4) 極端なレベルではないが、収入の伸びを上回るインフレに耐えながら(要するに実質賃金の低下に耐えながら・・)、お金持ちも貧しい人も等しくツケを支払っていく──。
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 何ともサエない「ベストシナリオ」ですが、少なくとも、「国債の信用失墜→ ハイパーインフレ→ 国家財政の破たん」と言うハードクラッシュのシナリオに比べれば、はるかにましでしょう。これがベストシナリオということは、それだけ日本の経済には、今後の選択の余地がなくなっていることを示しています。

 しかし、現実には安倍総理は、

(1)日銀の国債買い増しを容認、
(2)消費税増税を延期しながら社会保障も充実させると、財源の当てもなく、出来もしないことを平気で発言、
(3)この項目については、日銀のマイナス金利の恩恵で国債、利払い費をゼロかむしろプラスにできる見込み (政府から日銀への圧力があった?)、
(4)大企業の法人税は大幅に減らすと再三発言、大企業とそれに関係する富裕層は優遇される・・・

 等々と、ベストシナリオからは真逆な方向に突っ走り続けているのが現状。

 なお、国債の信用失墜に関しては、昨日、国内最大手の野村証券さえもが、国債の信用失墜に伴う最悪シナリオの可能性に言及し始めました。


 このシナリオの実現確率は、今のところ5%とのことですが、今後、安倍政権が赤字国債を発行して補正予算を増額すればするほど、この確率がアップすることは確実。この最悪シナリオの内容は、当然のことながら株価の急落だけではすみません。株を持っていない人にも大変な影響があります。

 日本円の信用失墜に伴い、対ドルでの急激な円安も同時発生します。その結果として、輸入に頼っている食料品やエネルギー・石油製品等の原材料価格も急激に値上がりします。ハイパーインフレが発生し、私たちの生活に大変な影響をもたらすことになるでしょう。

 さえない「ベストシナリオ」ですが、この「最悪シナリオ」に比べれば、まだ数等もマシなのです。

/以上