「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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アベノミクス選挙

 半月ほど前には予想もしなかったことだが、あっという間に衆議院が解散した。
数か月前から公明党がこの筋書きを準備していたとの報道がある。
 
アベノミクス選挙」とか言うらしい。別名は「大義なき選挙」か。辞書によると、大義の意味は「人として守るべき道義」、または「重要な意義」とある。
 
 この選挙の目的は明らかだ。あと二年間となった総理の任期を四年間に延長したいだけなのだろう。自分の支配欲だけで国民全体を巻き込んだ選挙をやってはいけない。道義も意義もまったく無い。
 少々議席が減っても長期政権を確立して、自分の祖父(岸信介)がやろうとしてできなかった自主憲法制定を実施したいというのが、安倍氏のホンネなのではないだろうか。
 
 さて、過去二年間のアベノミクスの成果についてみてみよう。次の図は、日米両国の実質賃金の推移を示したもの。
 ちなみに、「実質賃金」=「名目賃金」÷「消費者物価指数」であり、給与でどれだけのモノが買えるかを示す指標である。
 
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 現在の日本の実質賃金は、あのリーマンショック直後の底よりもさらに2ポイントも低下している。安倍政権になってからの低下は3ポイントであり、その低下速度は徐々に加速している。名目賃金は若干は上向いているが、それ以上に円安にともなう物価上昇が急速であるために、このような結果になったのだろう。
 
 上のデータは今年の九月までだが、この一か月間で円は対ドルでさらに約10円も安くなった。今後、食料品などの値段が上がるのは確実なので、実質賃金はこれからさらに下降するだろう。
 
 結局、アベノミクスの成果とは、株の高騰によって株を持っていた人が大儲けしたことが第一。また、海外で事業を展開している大企業は、外貨での利益の円換算分が円安で大きく膨らんだので収益が増加した。これが第二の成果。利益を得ている彼らがアベノミクスを支持しているのは、人の行動パターンとしては、一応は理解はできる。
 
 一方、株を持たず、海外展開している大企業にも所属していない大部分の人々、恩恵どころかむしろ被害をこうむっている人々までもがアベノミクスを支持するというのは、実に奇妙である。「いったい何で?」と聞きたくもなる。アベノミクスの実施によって、日本国内の格差が拡大していることは明らかなのに。
 
 なぜアベノミクスに代表されるような金融緩和策が効果を上げないのか、その理由を理解するための格好の本がある。今年三月に出版された水野和夫氏による「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英社新書)である。
 
 新書版の薄い本であるが、中身は大変に濃い。水野氏は本書の中でアベノミクスの失敗を予言している。その失敗の理由を一言で言えば、金融のグローバル化が進んだ現在、国内にマネーを大量投入しても、海外での工場建設などの投資に回ってしまって国内への投資が進まないということである。
 
 ぜひ一読されたい。