「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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議員報酬は高いのか、安いのか?

来月の4/12()鳥取県の知事選と県議選の投票日です。これからしばらくの間、県政についての記事を中心に掲載してみようと思います。
 
去年の夏、兵庫県西宮市選出の「号泣議員」、野々村県会議員が話題になりましたね。このニュースは海外でも非常に関心を呼んだようです。海外ネットをチェックしてみたら、「こんな議員の存在が許されるなんて、日本はなんと不思議な国なんだ!」という反応が多かった。実に恥ずかしい話です。
 
領収書が不要であることを悪用して、城崎温泉への日帰り出張とか切手の購入代の名目で年間数百万円の政務活動費を請求し着服、生活費などに当てていたとのこと。野々村氏が三年間に支給された1843万円を返還して議員辞職したことで、この事件はいちおう一件落着したとは言うものの、今の地方議員の資質があきれるほど低レベルであることがあらためて認識されました。結局は、あんな議員に投票した有権者自身が低レベルなのです。
 
兵庫県議会の政務活動費の上限は最大で年間600万円、議員報酬は年間で1008万円。さらに期末手当が数か月分は支給されるので、議員一人あたり年間で約2000万円支給されることになります。これだけ優遇されていれば、一度議員になったらいつまでもその椅子にしがみついていたいことでしょう。野々村氏は五回も落選した末にやっと当選出来たということなので、「辞めろ!」と言われたら、あのように号泣したくなる気持ちだけについては、ある意味わからないでもない。
 
さて、鳥取県鳥取市の議員の報酬と政務活動費について調べてみました。その結果を下の表に示します。

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出典鳥取県 平成26年度予算 議会費                                                  
鳥取市特別職の職員の給与に関する条例    http://www.city.tottori.lg.jp/reiki/reiki_honbun/m002RG00000168.html
鳥取市議会政務活動費の交付に関する条例     http://www.city.tottori.lg.jp/reiki/reiki_honbun/m002RG00000038.html


兵庫県ほどではないが、鳥取県議会議員も年間千五百万円弱とかなりの金額を支給されていることがわかります。
 

 ついでに、県議と知事の報酬の他県との比較も載せておきます。(東洋経済 2014.8.23号より)。議員は鳥取県の経済力にふさわしく下から四番目、一方、知事は高い方から15番目です。知事の報酬はいつからこんなに高くなったのでしょうか?
 
 
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 さてこれらの議員報酬は、議員さんたちの働きの内容から見て、高いのでしょうか、それとも安いのでしょうか?この議員報酬について詳しく触れている記事があるので紹介しましょう。慶応大学大学院の岸教授の寄稿です。
 
 
 
 
 
 
 この記事の中で、岸教授は欧米のように地方議会議員の報酬は実質ボランティア並みとし、多数の市民が傍聴できるように議会は夜間や休日に開くべきと述べています。まったく同感です。
 
 
 
 議員の主な活動は議会に出席し政策を検討・議論することですが、議会が毎日開かれているわけではありません。例えば、鳥取市議会の開催期間は、昨年の平成26年一年間で臨時議会まで含め、合計90日間でした。上に示した表の鳥取市会議員への支給金額を90日で割ると、一日あたりで何と約9.1万円も受け取っています。政務活動費を除いても約8.7万円です。
 
 
 
 もちろん、議会閉会時でも住民の声を聞いて回ったり政策の勉強に熱心に取り組んだりしている熱心な市会議員が、少数ながらも一定程度いることは承知しています。しかし大半の市会議員は、議会の無い日には冠婚葬祭や色々なイベントに顔を出して名前を売ったり、議会活動とは何の関係もない元々の自分の商売に励んだりしています。
 
 
 
筆者も、たまに結婚式や葬式に出てみると、そこには必ずと言っていいほど、市や県の議員が同席している。まれには国会議員を見かけることもあります。結婚式や葬式の場で議員さんが自分の政見をとうとうと列席者に演説するはずもありません。彼らが冠婚葬祭に毎日のように出ているのは、自分の顔と名前を選挙民に売りたいがためだけなのです。
 
 
 
要するに、自分の選挙活動や副業にばかり精を出している市会議員がやたらと多い。こういう議員に年間で約800万円も支給するのは、本当に税金のムダです。基本的には、議会に出席している時間、または政策に関する市民との議論の場への参加時間等に比例した時間給報酬制度にするべきでしょう。
 
 
 
 こういう議論をすると、必ずと言っていいほど「議員報酬を引き下げると優秀な人が出てこなくなる」という反論があります。では、高額の報酬をもらっている現在の鳥取市会議員は、本当に優秀な人たちばかりなのでしょうか?一度、鳥取市議会の傍聴席に座って、各委員会や本会議での議員さんたちの議論を聞いてみることをお勧めします。一般の企業や学校の中ではめったに聞けないほどレベルの低い発言をする議員が、結構いるのです。
 
 
 
発言内容の論旨が支離滅裂であっても発言する議員はまだましな方で、元々執行部が提示する条例案の内容が理解できていないのに、その内容について質問さえもしない議員が実に多い。典型的なダメ議員の例を以下に挙げてみます。
 
 
 
①:一日中、黙って議場の椅子に座っているだけで、質問も発言も全くしない議員。
 
②:何年も議員をやっているのに合併特例債の仕組みをいまだに理解できず、市の負担がいくらになるのか計算すらできない議員。
 
③:新聞やネット上に出ていた記事をまるごとコピーして来て、あたかも自説であるかのようにとうとうと演説して得意になっている議員。
 
④:自分の地元の公民館や道路の補修、体育会への補助金など、地元にわずかなカネを引っ張って来ることにはやたらと熱心だが、市全体に共通する数十億円もの予算をかけた大事業には全く関心を持たず、その内容を精査する意欲もその能力も無く、執行部の原案通りに賛成ばかりしている議員。ムダな事業を通すことは市民の負担を増大させることにつながるのだが、彼らは、自分の町内に直接関係のない案件は最初から自分の責任の範囲外だと思っているらしい。公民館の補修問題等よりも、保育料、国保料や介護保険料等の各種市民負担を安くすることの方がよほど私たちの生活にとって重要であるというのに、その種の問題についてはまったく勉強もしない。執行部の提案なら、何であっても賛成することに最初から決めているだけ。
 
 
 
こういうグータラ議員たちに支払われる日給が、議会開催日当たりで計算すると、一日約9万円なのです。おかしいと思いませんか?
 
 
 
 地方議員のレベルが低いのは鳥取市だけかと思っていましたが、この現象は全国共通のようです。次の記事にはあきれるほどグータラな議員ぞろいの議会の実例が載っています。
 
 
 
いわく、五年間、議員からの一般質問が一度も無く、傍聴者が三年間の合計でわずか三人しか来なかったという福岡県の町議会。年間の一般質問の回数を制限している茨城県議会、等々。
 
「・・・ある自治体の幹部から、こんな本音を聞かされたことがある。「我々にとって一番良い議員というのは、勉強しない議員です」・・・・」
 
 
 
 
 
 
 こういう怠け者議員を議会から追放するには、やはり、議員報酬を時間給制に変え、さらに議会開催は夜間か休日に限定すべきでしょう。そうすれば、「退職したけど年金だけでは足りないので、何年間か議員にでもなっておくか、家の名誉にもなるし・・」などというような人物の立候補を排除できるでしょう。
 
 
 
また、このように制度を変えることで一番期待される効果は、自分の市や町を良くしたいという意欲にあふれている若者や中堅世代が立候補しやすくなることです。現在のように平日の議会開催では、すでに仕事を持っている人は議員になることも、議会を傍聴することさえもできません。自分の街を変えたいという強い意欲のある人は、無給であってもその意欲を失うことはないとは思いますが、家族と共に普通の生活を営むための生活費は最低限必要なのです。このような意欲のある人に議員になってもらうためには、議会を夜間開催とし、議員としての仕事と昼間の仕事との兼業を認めること以外に方法がありません。
 
 
 
夜間・休日議会をすでに実施したり、実施の検討をしたりしている議会も出てきています。例えば、このブログの1/23の記事で取り上げた長野県飯綱町
 
ここの町議会は既に夜間・休日議会を実施しています。下にこの町の活動を紹介している記事を再掲しておきます。ちなみに、この町の町議の報酬は月に16万円。
 
 
 
 
また別の例としては、3/25付けの日経新聞朝刊で、町長自ら「夜間議会」を提案した山形県庄内町の現状が紹介されています。町長の積極的な提案に対して、報酬を減らされたくない議員が二年間も抵抗しているという、情けない現状のようです。
 
 
 
 
これらの例にみるように、「夜間・休日議会」はすでに現実的な選択肢となってきています。鳥取市も、他の自治体に先んじてこのような先進的な地方自治を推進することで、全国の注目を集めたいものです。「自分の仕事をしながら、街づくりにも深くかかわれる! こういうやりがいのある街なら移住してみたい!」という若年層も、きっと数多く現われて来ることでしょう。
 
 
 
ただし、議員報酬制度を直ちにこのような形に変更することは、グータラ議員の排除のためには極めて有効と思いますが、現在、専任で熱心に頑張っている議員の生活費の大部分を一気に失わせることにもなるため、移行にあたっては慎重さが求められます。ある程度の長さの移行期間を設けることを前提として、今からそのための準備を始めるべきだろうと思います。
 
 
 
 さて、鳥取県の県議について書くつもりが、結局、鳥取市議に関することばかり書いて来てしまいました。県議の報酬についても触れておきましょう。
 
 
 
昨年平成26年の鳥取県議会の開催日の合計は75日でした。なお、この中には、裏方の事務作業のために本議会や各委員会が開かれない日、通称「議事整理日」が21日も含まれています。一応、議会開催日の合計を75日として計算すると、県会議員への一日あたりの支給額は約19.3万円です。政務活動費の年間300万円を除いてみても、まだ一日当たり約15.3万円ももらっていることになります。県会議員35名の皆さんは、はたしてこの金額にふさわしい仕事をしているのでしょうか?
 
 
 
正直なことを言うと、筆者には県と市の職務の境界がよくわかりません。各県議が県議会の中でどのような活動をしているかについても、残念ながら、現時点では詳しくは知りません。
 
 
 
ただし、県議会全体の印象としては、今の平井知事が提案する政策にほぼ全面的に賛成し続けているように感じます。知事と県議会の間で、政策をめぐって大きな対立があったという事例は、最近は一つも無いでしょう。
 
 
 
日本の地方自治は二元代表制であり、住民が選挙で選んだ代表としての首長と議会が、政策をめぐって互いに活発に議論をすることが、本来の望ましい姿です。
 
今の鳥取県議会は(鳥取市議会も・・・)、首長とその下で働く職員が提出する議案を、議員が厳しく吟味し追及することもなく、ただ原案通り追認するだけの機関になってしまっているようです。知事の提出した原案を詳しくチェックもせず追認してばかりいる思考停止県議に、報酬として一日あたり十数万円もの税金を支払う根拠はゼロでしょう。
 
 
 
/以上