「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

当ブログの内容は編集者個人の見解であり、「市民の会」の公式見解ではありません。当ブログへのリンク、記事内容の引用等はご自由に!

風疹の撲滅は国の責任!

 先月読んだ記事の中でもっとも印象に残ったのは、「先天性風疹症候群」で18歳で亡くなった女性に関する記事でした。風疹とは、成人がかかってもほぼ軽症ですむ病気ですが、ワクチンを打っていない女性が妊娠期間中に風疹にかかると、胎児に重大な障害が発生する確率が高いそうです。眼、耳、心臓と三か所に障害を持って生まれてくると言うのは、どんなに苦しくて大変なことだったろうかと思いました。

 この夏、関東では風疹の流行が始まっていて全国に拡散が始まっているとのことです。風疹患者、一週間で倍増

 風疹体験者の手記をもう一件紹介しておきます。生後三カ月で白内障の手術を受けなければならなかったとは、あまりにもかわいそうです。
 
 
 ワクチンさえ打てば撲滅できる病気なのに、未だに障害を持って生まれてくる赤ちゃんを放置し続けているようでは、日本は日頃自称している先進国とすらも呼べないでしょう。次の記事は風疹の根絶方法について詳しく述べています。

内容を要約すると、

・ワクチン対策のしっかりしているアメリカ、カナダでは風疹はほぼ撲滅済。

・風疹の感染力はインフルエンザの数倍強い。症状がまだ出ていない潜伏期間でも他人に感染させてしまう可能性が高い。

・ワクチンを二回打っていれば感染する恐れはほとんどない。今年四月で28歳以下の男女であれば二回接種済だが、それ以上の年齢層ではゼロまたは一回しか接種されていない。

・特に一度もワクチンを接種されていない39才以上の男性が、現在の主要な感染源となっている。

・60才以上の男女では、既に幼少期に感染して抗体を持っている人が100%に近いので、接種の対象外としてよいらしい。

 このような大規模な感染症対策は自治体まかせでは到底無理なので、国が本腰を入れて乗り出すべきでしょう。それでこそ本当の先進国です。
 
 その財源としては、例えば、トランプに無理やり買わされることになった、下記の記事によれば実際には役立たずのイージス・アショア二基の値段が4664億円。この記事は著名な軍事専門家によるものですが、ボッタくられる上に防衛上の意味はほとんどないとの厳しい評価です。
 こんなものを買うのをやめれば、風疹ワクチンは一本当たり一万円だから日本国民の約4~5千万人分に相当、全対象者にワクチン接種できておつりが来ることになります。
 
 ところで、我が鳥取市の風疹対策は大丈夫なのでしょうか。今年の四月には中核市移行に伴って県東部福祉事務所が廃止され、県東部の保健所業務全体が鳥取市に移管されました。これに伴って、風疹・エイズ等の診察場所も、従来の県立中央病院敷地内から通行者の多い鳥取駅南口に近い「市立さざんか会館」に移転しました。保健所では以下に示すように、エイズウィルス、性感染症(梅毒・クラミジア)、肝炎ウィルス、風疹抗体検査等の診療を行っています。
 
イメージ 1 この診療を行っているさざんか会館の二階の「鳥取市保健所」には、診療所に隣り合って「健康支援課」があり、同課では不妊治療費助成の申請を受け付けています。
 
 また、三階には「子ども家庭相談センター」や「健康推進室 成人コーナー」が、四階には母子健康相談に対応する「中央保健センター 母子コーナー」があります。
 
 自分が風疹ではないかとの疑いを持って二階の診療所を訪れた人と、妊娠を希望する女性、健康相談に訪れた母子や一般成人が、この会館内の一階ロビー、二階、階段、エレベーターで隣り合わせとなる可能性は極めて高いと予想されます。風疹やその他の感染症の拡大を防ぐという観点からは、まさに最悪の場所に保健所を選んだというほかはありません。
 
 もう一つ問題なのは、この保健所には精神障碍者の相談窓口もあることです。以前の中央病院敷地内であれば駐車場からすぐに相談室に入れたのに、現在の相談室があるさざんか会館二階に達するためには、ボランティア団体の拠点である一階を通るしかありません。さらに五階には最大で240人収容可能な大会議室があり、二階から四階までにはボランティア団体関係者、健康相談に訪れた人等がひっきりなしに出入りしています。
 とてもじゃないが、精神の悩みを抱えている人が気軽に出入りしたくなるような環境ではありません。鳥取市が相談者のプライバシーの問題を、人権の問題を完全に無視していることは明らかです。こんな場所に移転したがために、感染の心配をしている市民や、障碍を抱えている市民が、公的なサービスを十分に受ける権利すら阻害されてしまったのです。
 
 鳥取市の計画では、来年秋は新市庁舎が完成したら駅南庁舎一階にある分庁舎が新庁舎に引っ越して、その跡に保健所や母子センターが入ることになっているそうです。しかし、現在の駅南庁舎の二階より上に入居している市立図書館、放送大学、スポーツジム等は現状のまま残るとのことなので、不特定多数の一般人が保健所周辺を出入りする傾向は現状以上に激しくなるものと予想されます。
 
 自分が感染したかもしれないという不安を抱えている人、妊婦や幼児などの他者からの感染には脆弱な立場にある人たち、精神の不安を抱えている人たちが、背景不明な多数の一般人と同じ空気を吸い、かつ同じエレベーターに乗り合わせることになるわけで、今以上に公衆衛生上の危険性が増大するでしょう。
 
 そもそも、なぜ保健所をさざんか会館に移転しなければならなかったのでしょうか?副市長時代から前市長の市庁舎新築移転方針に一貫して従順であった深沢市長は、三つどもえで争った2014年4月の市長選で初当選、さらに同年11月の市議選を経た同年12月の市議会で市庁舎新築移転の位置条例可決を得ました。この時点まで深沢市長は、新庁舎と現在の駅南庁舎を併用し、新庁舎面積は19,400m2、付帯費用を含む建設費は65.6億円としてきました。
 
 ところが位置条例が可決されてから数カ月しかたたない2015年5月に、深沢市長は突如として新庁舎面積を23,100m2、付帯費用を含む建設費を一挙に五割増しの98.4億円にひきあげると発表しました。その主な理由とは、保健所を駅南庁舎に入れることにしたので現在の駅南庁舎の事務スペースを新庁舎に付け加えることになったためというものでした。新庁舎の完成は来年秋なので、それまでの約一年半の間は保健所をさざんか会館に一時的に設置することとなりました。
 
 そもそも鳥取市中核市移行方針は、竹内前市長の時代から既定路線として推進されてきましたが、中核市移行に伴って県から移管される県東部の保健所の位置については、深沢市長はそれまでは一言も触れて来ませんでした。市に移管されてからも、今までの場所で業務を続けるか、あるいは市内にいくらでもある市有の遊休施設を活用すれば済むだけの話でした。わざわざ保健所を駅南庁舎に移転しようという話自体、大半の市民にとっては寝耳に水でした。
 
 位置条例が可決されたとたんに市長が急に保健所の駅南庁舎への移転を言い出したのは、保健所移転をダシにして新庁舎の建設費を釣り上げることが本当の目的であったとしか思えません。保健所の関係者からみれば、余計なお世話、いい迷惑でしょう。当初の約束から五割増しとなった市庁舎新築費用まで負担させられる市民全体にとっても、迷惑この上ない話です。
 
 
 さて、鳥取市議会では、米村議員が過去再三にわたってこの保健所移転の問題点を一般質問等の場で指摘し続けてきました。しかし、深沢市長の回答は毎度のごとく、「すでに決まったことだから・・」と、例によって「木で鼻をくくった」ような内容に終始してきています。
 
 以前、当会のサイトにも関連する記事(2015/6/23)を載せていますが、2015.6.22の市議会での米村議員の一般質問に対する市長答弁(発言No.55)では、あろうことか、「感染症の方が直接に保健所を訪れることはない。電話相談を受けるのみ」と市長が断言。深沢市長は、さざんか会館の保健所で日常的に感染症患者を診察している現状をどう説明するのでしょうか?重要な問題なので、市議会議事録から市長のありのままの発言を引用しておきます。
 
「・・・現在の保健所によりますと、感染症の方が直接保健所を訪れられるということはなく、不安のある方等、電話相談を受けまして、治療が必要だと、そういった判断をされた場合には専門の医療機関を案内しておられるということであります。・・・」
 
 保健所がエイズ等の感染症患者の診察を引き受けていることは、県東部福祉事務所のサイトに長年にわたって公開されており、既に公知の事項です。国の法律で決まっていることでもあり、行政トップの市長たるものが知らないはずはありえません。市議会という公の場で見え透いたウソをつき通した深沢市長。そこまでして前市長の指示に従おうとしているのかと思うと、怒りを通り越して、むしろ哀れみを覚えます。
 
 聞くところによると、鳥取市議会最大与党の会派新生の最古参であるU議員も、この保健所感染症問題については、「何が病気がうつるだいや、(保健所に)電話をダイヤルするだけだがな!」とのたまったとのこと。この場合は、ウソというよりも単なる無知によるものでしょうが・・・。
 
 この古参議員さん、市の公共事業が巨額になればなるほど次の市議選で自分への業界票が増えると期待しているようです。鳥取市民の安全や健康などは、彼にとってはどうでもいいように見えます。

/P太拝