「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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廃屋だらけ

昨年から「市民の会」の活動に参加するようになり、時々チラシ配布などもしています。今までそばを車で通りすぎるだけだった町や集落も、一軒一軒を自分の足で歩いて回るようになりました。
 
回ってみて感じるのは、鳥取市内のいたるところで廃屋がものすごく増えていることです。特に中山間地の一番奥の集落は、だいたいは二軒に一軒が廃屋といっていいほどです。遠くから眺める限りは立派な豪邸に見えても、近くに行ってみると庭は雑草におおわれ網戸は破れ、長いこと人が立ち入った形跡がない、思わず哀感を覚えるというようなことが多い。旧市街地でも、地区によっては半分近くが空き家です。改めて人口減少のすさまじさを感じます。
 
一方、最近目立つのは、旧市街地の中やその周辺部に十軒程度の小さな新興住宅地が次々に誕生していることです。庭がほとんどない小さな敷地面積に断熱性や機能性の良さそうな箱型の新築住宅が建ち、それらが密集して並んでいる。子供が幼稚園や小学校に通っている三十代くらいの子育て世代が主たる住人らしい。民間の開発業者が、遊休地や元々あった大きな家を取り壊した跡地を売り出したケースが大半のようです。
 
将来の人口減少にそなえて「コンパクトシティ化」が叫ばれていますが、すでに鳥取市内では民間の市場原理によって、農村部から都市部への人口移動の真っ最中といったところです。それはそれで正しい方向とは思うのですが、農村部は人がいなくなり耕作放棄地が増える一方です。
 
農村部のくらしの特徴は「生活のストック」があることです。自宅で野菜やコメを自給していれば、衣はともかく、住と食はある程度はなんとかなる。実際に、農村部でお年寄りに話を聞くと、「税金や保険料が一番の負担、食べるのはそうは困らない」という声が多いようです。一方、街のくらしは「フローに頼っているだけでストックが無い」ことが特徴です。失業などでフローすなわち現金収入が断たれると、もうどうしようもない。
 
コンパクトシティ化を進めることと並行して、街と農村のつながりを強くして、街の住民も農業体験などに参加できる仕組みをつくれば、農村部の衰退もある程度は防げるのでは、などと思ったりしています。