「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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県道鳥取空港賀露線は明白な利益誘導事業!

 先週末の3/10に華々しく開通パレードを行った、鳥取空港と「かろいち」を結ぶ県道鳥取空港賀露線ですが、3/12には早くも地下パイプからの漏水で通行止めとなってしまいました。

 筆者は3/10の夕方、空港近くを通ったついでに立ち寄ってみました。下の写真には写っていないが、新しくできた道路を歩いてみたいのか、リタイア世代の方々が何人か談笑しながら歩いていました。

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 さて、この道路については、今までマスコミが報道していないことがあります。それは、この道路敷地の大半のもともとの所有者は「賀露町自治会」であるということ。昔からの慣習のためなのか、国道九号線の北側の賀露町区域内の農地と森林は原則として自治会の所有となっています。このことは、賀露町住民でも新しく移住してきた人の大半は御存じないようです。
 
 今回の道路の延長距離は1.58㎞、その大部分は賀露町区域の空港西端の松林の中を通っています。(湖山町に含まれる区域は空港に接続する末端部分の約100mほどでしかありません。)当然、この松林も賀露町自治会の所有であり、今回の県道新設に伴う用地買収によって、相当な金額が同自治体に転がり込んだはず。その金額を推定してみましょう。
 
 二車線道路の幅員は約10mなので、少なくとも12m幅で長さ1.58kmを県が購入したと仮定すると約1万9千平米。現在の路線価を見ると、かろいち周辺の住宅地の路線価は、平米あたりで1.68万円となっています。元々森林であったことを考慮して、仮に平米あたりの価格がこの半分であったと仮定しても、約1.5億円が支払われたことになります。情報公開制度を使って県に開示請求すれば、正確な金額がわかるはず。
 
 この道路建設予算はH28年とH29年の合計で約5.8億円。用地買収または借り上げ費用の詳細は県HP上では公開されていません。
 
 さて、この県道の問題点は、「かろいち」から空港までの所要時間をたかが三分間ほど短縮するのに、6億円近くもの税金を投入する意義があるのかという点です。空港からいったん国道九号線に出て、ローソンの角を左折して市道賀露幹線を通る従来のコースでも五、六分ほどしかかかりません。国道九号のこの区間で渋滞が発生することもありません。観光客から見れば、三分短縮したいがために松林ばかり見ているよりも、国道沿いや畑地の風景を見ているほうが鳥取の風土が感じられて楽しいのではないでしょうか?
 
 費用対効果の面でみれば、税金の無駄遣いというほかはない。さしずめ、鳥取駅前のバードハット(別名 ダラズハット)の深沢市政版というところでしょうか。
 
 この県道の新設計画(下図の赤の点線)が持ち上がる以前は、イオン北店から空港まで伸びる市道晩稲飛行場線(下図の黄色の点線)を空港まで伸ばして完成させる予定だったようです。この市道を計画どおりに完成させていれば、たぶん、この県道は必要なかった。H28年の湖山西地区懇談会で深沢市長は、「市道晩稲飛行場線は当面見送り」と述べています。
 
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 この県道新設を推進した中心人物は賀露町在住の島谷県議。県議会でこの県道の早期実現を何度も訴えていたそうです。基本的には県の事業ですが、鳥取市議会でも深沢市長と雲坂市議が熱心に訴えていました。市議会関係者によると、普段は何事にも受け身の市長が、この問題に関してだけはやけに積極的になっていたそうです。ちなみに、深沢、雲坂両氏も共に賀露町の在住者。
 
 市長が自分の地元だけのために便宜を図るなど全くの論外です。市長は市全体の均等な発展のために努力するのが当然の義務のはず。ただし議員は、地元の代表者としての役割もあるので、自分の地元が他の地域よりも不利な状況にある場合には積極的に声を上げるべきでしょう。しかし、自分の地元には他の地域よりも優先的に税金を回せというのでは、次回の選挙目当ての利益誘導以外の何ものでもない。
 
 賀露町では、選挙の際には自治会をあげて特定候補を支援することで有名です。市議選、県議選でも賀露町出身者が上位当選することが多い。その見返りとして地元自治会に巨費が転がり込む事業、客観的な正当性に乏しい事業を県予算に強引に押し込むことなど、本来許してはならないことです。
 
 今回の県道新設の背景としては、賀露町自治会が土地開発失敗によって多額の負債を抱えた事実があるとも言われています。建設業界の関係者によると、「かろいち」とその周辺の新興住宅地も元々は賀露町自治会の所有であったが、開発した住宅地が計画どおりに売れなかったために巨額負債を抱えてしまったとのこと。それの救済手段の一つが今回の県道とのこと。納得です。
 
 実際、この住宅団地は半分も埋まっていず、空き地が目立ちます。一自治会の判断ミスによる投資失敗を、県と市が表向きは別の理由をつけて救済するなどということは、行政の公平性の観点からみて決して許されることではありません。
 
 「李下に冠を正さず」という言葉があります。「君子のような立派な人物は、スモモの木の下では自分の頭上の冠を直したりはしない。スモモ泥棒と間違われるから。」という意味です。公の地位にある人物は、世間から怪しまれるような行為はつつしむべきという戒めです。
 
 自分の地元に必要性があやしい公共事業を誘導することで、自分の支持団体の財政危機を救おうとしている可能性が高い、島谷県議、深沢市長、雲坂市議の三名。いずれも君子には程遠い人物ばかりと言わざるを得ません。彼らの主張をあっさりと通した知事もまたしかり、というところでしょうか。
 
/P太拝