「開かれた市政をつくる市民の会(鳥取市)」編集者ブログ

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コロナウィルス、これから世界はどうなる?

 また、新型コロナウィルスの話題です。少なくともこれから一年、二年程度はこの問題が我々の生活に影響を与えることは確実と思われるので、関連記事を見ると読まずにはいられない。

 今朝読んだ記事が現状をかなり的確にとらえていると思われるので、以下に紹介しておきます。この記事を書いた真野先生は医師で経済にも詳しいとのことなので、この問題の分析には最も適任でしょう。

非常事態宣言…コロナ感染で「弱点」をつかれた米国と日本の大きな違い

以下、内容の要約。

・医療制度の不備は米国の最も弱い点であり、今回の事態はその弱点を直撃した。

・利下げなどの金融政策で対処することにより、感染が蔓延しても実態経済はあまり落ち込まない可能性もありうる。(かなり楽観的な見方であるが、今朝の時点でFRBが早くも最大限の利下げを断行したにも関わらず、米国市場は拒否反応を示した。「これで手持ちの弾をすべて打ち尽くしてしまった」との見方が支配的とのこと。金融政策では経済は救えないことが明らかになりつつある。米国経済は今後の感染のまん延に比例して急降下することになりそう。)

・欧州は人の移動が激しいこともあり既にまん延中、中国は他国には真似できない強権を用いて封じ込めつつある。

・日本は島国であり医療レベルも高いので、まん延阻止が比較的うまくいっている方である。しかし、日本経済は既に金融政策では打つ手がないので、実体経済の急降下を招かないためにも過度の自粛は避けるべき。

 筆者がずっと米国の感染状況に注目してきたのは、最近の世界の経済成長を米国経済の好調さが主導してきたからです。米国がくしゃみをすれば、日本は当然として、中国、欧州、ひいては世界全体が風邪をひくことは明白。アメリカも中国もロシアも、いわゆる大国と言われている国を筆者は基本的に嫌いなのですが(武力で周りの国を脅してその領土を奪うことで大国になったのだから)、それはそれとして経済上の実力は認めざるを得ない。

 その米国の今後の感染の見通しですが、悲観的な見方が多い。

ついにアメリカでも火がついた新型コロナ危機「数百万人が感染しかねない」と米高官

新型コロナウイルスはアメリカにどのぐらい被害をもたらすのか

 先週、トランプ政権はコロナウィルス対策として約八千億円の予算を提出し可決されました。しかし、コロナウィルスの診断と治療の費用が無償になるかどうかさえも、いまだに決まっていない模様。2750万人もの医療保険非加入者が、政府の「コロナ対策」を信用して直ちに病院へ行くようになるとは思えない。また、驚いたことには、米国内の時間給労働者(約8000万人)の七割が有給休暇の対象外だそうです。トランプ政権によるコロナ対策が、すぐに効力を発揮するかどうか大いに疑問です。

新型コロナの「時限爆弾」 無保険人口の多さが脅威に 米

 日本でも、今のところは感染者の急増は抑えられているとはいえ、日常やるべきことはアメリカや欧州のそれと変わりはない。イベントを中止して人が集まる機会を極力減らし、外出を控えて家にこもる。いずれも経済的にはマイナスである。唯一良いのは、二酸化炭素の排出量が抑制されて温暖化のスピードが鈍ることくらいか。

 東京五輪については、筆者は今年夏の予定通りの開催はもう無理だろうと思っている。「平和の象徴としての祭典」というオリンピックの基本的精神を思い起こせば、それが明白な結論。仮に、欧州でのまん延が落ち着いたとしても、その次はいわゆる途上国に飛び火するのは必然的である。今はまだ感染の初期段階であり、かつ検査体制が整っていないために、各国が明確な患者として把握しきれていないがゆえに、南米、アフリカ、南アジア等で患者が少ないように見えているだけなのだと思う。

 仮に今後、日本を含むいわゆる先進国で状況が落ち着き、その一方で、途上国で感染がまん延した場合にはIOCは五輪を強行できるだろうか?強行した場合には、五輪は「世界全体の祭典」から「富裕国限定のお祭り」へと堕落してしまうだろう。「スポーツの世界最高の舞台」としての五輪の正当性が失われることは明らかだ。既に選ばれた選手には気の毒だが、やはり世界中の選手が同一の条件の下で参加できるようになるまで延期するというのが当然の結論だろうと思う。世界中が混乱状態にあるどさくさの中、無理矢理開催した五輪で仮にメダルを取ったとしても、世界中の人々から祝福を受けることにはならないだろう。

  このウィルス騒動が最終的に収束する条件としては以下の二種類があるそうだ。

① 効果的なワクチンが開発されて、安価に大量に供給されるようになること。

② 世界中のほぼすべての人々が感染してしまって、皆が抗体を持つようになること。

 ①が実現するまでには最低でも約一年はかかるというのが、医療関係者の一致した見方らしい。②の選択を主張した場合には、今までの経過から見て「高齢者や持病を持っている人が死ぬのは仕方がない」と言っているのと同じことになってしまう。結局、ワクチンが完成するまでの間、「今の体制を維持して極力感染者が増えないようにする」という道以外には選択肢が無いのである。どこの国においても、少なくとも一年程度かそれ以上の間、現状のまま耐え忍びつづける以外には手がなさそうである。

 日本が「露骨でむき出しの資本主義」の米国や「中国共産党王朝独裁」の中国とも異なるのは、我々国民にとっては幸運と言うほかはないが、この「国民に強制することの少ない、ゆるくて中庸な国」という世界的にも貴重な体質をそのまま維持しながらも、何とかこのコロナウィルスの大波を、他の国よりも犠牲者数が少ないままに乗り切りたいものだと思う。

/P太拝  

旧本庁舎の駐車場は有料ではなく無料にすべき

 今回は久しぶりに鳥取市政の話題について書きます。

 今年の初めから、当「市民の会」の定例ミーティングを土曜日の午前中に変更している。ミーティングの前後で改めて感じるのは、会の事務所が面している若桜街道のさびれ方のすさまじさである。
 旧第二庁舎前から若桜橋までの間の歩道を歩いている人を数えると、たいていは片手で間に合う。人っ子一人歩いていないこともよくある。ある土曜日の午前中の風景を下に示す。まさに無人のメインストリートである。

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若桜橋方面から県庁方向を見る(2020/02/01)

  先週の平日の午後に、車で若桜街道を通り、さらに智頭街道を通ることがあったが、人通りはむしろ智頭街道の方が多かった。智頭街道は既に住宅街と化しており、住民による生活道路としての利用がもっぱらのようである。若桜街道は市庁舎の駅南地区移転に伴う人通りの激減によって商店街としては既に壊滅的な状況にあり、住宅街としての利用もまだ進んでおらず、実に中途半端な状態にあるように見える。
さて、旧本庁舎周辺の若桜街道の現状を見ていて、思い浮かぶ点は以下の二点である。

(1)周辺地域の地価の下落は確実だが、それに伴って固定資産税も安くなるのだろうか?
聞くところによると、旧本庁舎の周囲には市民所有の市職員目当ての駐車場がたくさんあったのだが、現在、それらが一斉に売りに出ているそうだ。数百人分の駐車場の需要が一挙に消えたのだから、所有者の収入減は大変な金額だろう。

 今年の路線価格の下落は確実だが、土地所有者に対する固定資産税の税額もそれに伴って減額されるのだろうか。固定資産税の税率は各自治体が任意に決めることができるのだが、鳥取市が路線価の下落に伴って素直に固定資産税を下げるのかどうか、監視が必要である。
 ちなみに、鳥取市の歳入区分を見ると固定資産税は市民税よりも多く市税全体の五割弱を占めており、市の自主財源中の一番の柱となっている。

 

(2)旧本庁舎敷地内の既存の駐車場の有料化は撤回し、無料で市民に提供するべき

 旧本庁舎の跡地の駐車場は、昨年11月1の閉庁に伴い有料化された。一時間で200円の駐車料金は周辺の駐車場に比べると高い。ここに停まっている車の台数も、たいていは片手か、もしくは両手で間に合うくらいの数である。最近の写真を下に示す。

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 周辺の駐車場は、最初の30分又は40分で、100円又は110円との設定が多い。市議会での市側の答弁によると、「周辺の駐車場の民業圧迫に配慮した結果」だそうである。そもそも、市職員を対象に周辺住民が運営していた契約駐車場を自分たちで根こそぎつぶしておいてから、いまさら「民業に配慮」を言うなどチャンチャラおかしい。筆者が思うに、この有料化の目的と結果は以下のようになる。

① 一見、行政が民業にも配慮しているようにみせかけるという、「行政による偽善的政策の典型」にほかならない。散々に人を殴り倒しておいてから、後で相手の傷口にバンドエイドを二、三枚貼って「僕って親切でしょう」と言っているようなものである。議員もこんな説明に納得しているようでは、「偽善オミコシの片棒の担ぎ役」と言われても仕方がないだろう。

② 有料化後の旧庁舎跡地駐車場の運営は、すでに県外資本の業者に外注済みである。気づいてみれば、中心市街地の駐車場の大半は県外の大手資本が運営している。他にも、市が今まで直接関わってきた事業を市外・県外業者への外注化に切り替える事例が増えている。新庁舎の窓口業務の大半を東京のニチイ学館に外注化したことにもみられるように、鳥取市が最近やっている仕事とは、市民から集めた税金を市外・県外業者にせっせとみつぐことであるらしい。その結果、市内で循環するカネの総量が減り、鳥取市民はさらに貧しくなるのである。

 

(3)無料駐車場設置の意義

 以下、この旧庁舎周辺地域に無料駐車場を設けることの意義について述べたい。

① この地域では駐車場の絶対数が不足
 県庁・県立図書館・とりぎん文化会館の周辺では、駐車場の絶対数が不足している。筆者は図書館に行くことが多いが、文化会館で何かのイベントがある日には、文化会館・図書館共用の駐車場はすぐに満車になってしまう。その場合には県庁内の地下駐車場まで行くものの、大規模なイベントの場合にはここもすぐに満車となる。さらに遠くの無料駐車場を探すか、有料でも近くの駐車場に止めるしかない。

 文化会館・図書館の駐車場は341台分、これに対し旧庁舎の駐車場は現状のままでも151台とされており、これを無料化すればかなりの改善になる。

② 鳥取では駐車料金は無料が常識
 本来は公共交通網を充実すべきだが、従来の交通網を維持する財源すら不足している現状では、鳥取県民の足としては自家用車に頼るしかない。中心市街地の商店街が軒並み不振を極めているのは、何と言っても駐車場の絶対数が不足しているからだ。だから、皆が、大きな無料駐車場が付属している郊外のイオンやカインズなどの大型店に行ってしまうのである。
 鳥取では駐車場は無料が常識であり、仮に無料を有料にした場合にはとたんに人は来なくなる。実際、151台が停まれるはずの旧庁舎跡地に市が設けた有料駐車場に停まっているのは、いつ見ても一けた台にすぎない(先週、なぜか十数台も止まっていてびっくりした・・)。

③ 無料駐車場があれば周辺の商業が活性化
 中心市街地の各商店に見られるように自分の店専用に数台分の駐車場を設けたところで、仮にその店が人気店であり多くの客を集めたとしても、それが周りの店に客が流れることはありえ無い。地域が共有できる広い無料駐車場を設ければ、活性化が点から線、さらに面へと広がる可能性が出てくる。

④ 旧城跡周辺の観光活性化にも貢献
 どういう理由かは判らないが、お堀端に沿って設置されていた駐車場が最近撤去されたと聞く。鳥取道が無料化されていることもあり、少なくとも関西方面から鳥取市内にやってくる観光客の大半はマイカー利用だろう。市がいくら観光スポットを宣伝しても、車を止める場所がなければこの地域を訪れる観光客はわずかにとどまる。城跡からはいささか遠いものの、城跡から山の手地区沿いに樗渓神社や観音院あたりまでも含めた街歩き周遊コース(このコースは鳥取地震鳥取大火の被害を免れた希少な地域の中を通る)を設けた場合、この跡地は格好の駐車地点となる。

⑤ 「二核二軸」構想の実現に向けた第一歩
 鳥取市は既に「第3期鳥取市中心市街地活性化基本計画」を2022年までの五カ年計画で国に提出して承認を受けている。その中では「鳥取駅周辺地区と鳥取城跡周辺地区を核とし、その2つの核をつなぐ若桜街道と智頭街道を軸とする、二核二軸を中心とした約210ha」を計画区域とし、「活気のあふれる中心市街地の形成を目指す」としているが、一向にその具体策が見えない。特に旧市庁舎跡地を含む「鳥取城跡周辺地区」についてはさびれるばかりである。この地域に公営の無料駐車場を設けることは、国との約束を果たすための第一歩に他ならない。

 

 さて、上に挙げた効果を実現するためには、少なくとも今後十年間程度の長期間にわたって駐車料無料を保証する必要がある。仮に当面無料化するとしても、将来は有料になる恐れがある限りは、近くで新たに店を出そうとする人は出てこない。仮に現本庁舎を今後解体するとしても、その際に駐車場を全面使用禁止とするのではなく、この無料駐車場を当て込んで周辺で事業を始めた人に対しては、引き続き無料での駐車場提供を続けるべきである。

 なお、市執行部と市議会は、現在「旧本庁舎と第二庁舎」については解体の方針で動いているが、いずれも耐震改修を施せば、引き続き長期間使用できる可能性が大である。そもそも、この「解体方針」は市民の意見を全く聞くことなくして決められたものである。与党の新生の重鎮である某議員は、「跡地活用に関する調査特別委」の中で「我々議員は選挙で選ばれたのだから、跡地の活用方法については我々が決めればいい」と言い放った。なお、この議員の2018年11月の市議選における公約は「市民の意見等を踏まえた、本庁舎跡地の活用策の早期決定」であった。この議員には、「まず、自分の公約を約束通りに守れ!」と言いたい。

 繰り返すが、跡地の活用方法については、市民の意見を十分に確認してから、あらためて解体か継続使用かを決めるべきである。市議会では、既に旧本庁舎と第二庁舎の解体に関する実施設計予算1770万円を昨年の十二月議会で既に可決済であるが、この跡地に今後新たに大きな公共施設を建てようとすれば、十数億~数十億円を要することは明らかである。

 市民団体の活動拠点が不足している現在、市民が集まりやすい市中心部に位置し、手入れさえすればまだ十分使える公共施設を、約4.25億円もの税金をかけて壊してしまうというのは実にもったいない話である。今からでも遅くはない。深澤市長は、改めて市民を交えて旧庁舎の活用方法について議論すべきである。

 さて、当「市民の会」では去る1/25に実施した「跡地利用に関する懇談会」で参加者から出た意見を踏まえて、現在、会としてどのような提案をしていくのかを検討中である。近いうちに提案内容を公開する予定なので、もう少しお待ちいただきたい。

 以上に述べた駐車場に関する意見はあくまで筆者個人の意見であるが、この無料駐車場設置の提案についてはおおむね会の主要メンバーからの支持が得られているので、会としての提案の中に盛り込まれる見込みである。

/P太拝 

新型コロナウィルス肺炎は長引きそう

毎回コロナウィルスの話になってしまい申し訳ないが、当初思っていたよりも事態は深刻化しそうです。次の記事を読んでそう思いました。

国内の事例から分かった新型コロナの深刻度~ウイルスとの戦いは年単位か

記事の内容を要約すると次のようになります。

・クルーズ船での感染状況からみて、感染した高齢者の約5%が重症化、ICU(集中治療室)での処置が必要となる。

・感染者をICUに入れると、他の病気による重症患者がICUを利用できなくなる。その結果、通常ならば救えていた一般患者を救えなくなるケースも出てくる。

・近い距離での会話や家庭内が感染のリスクが高い。屋外でのスポーツイベントや電車での感染リスクは工夫すれば低くなるはず。

・一斉休校はやめる時の条件設定が難しい。「感染を恐れながらも日常生活に戻る」ことが必要。

以上、「一番怖いのは、感染者が増えて病院がいっぱいになり医療体制が崩壊してしまうこと」というのが、公衆衛生学の専門家である和田先生のお話でした。やはり、極力感染しないようにするしかないのでしょう。

「自分は若いから大丈夫」と無頓着に歩き回って感染を広げてしまっては、結果的に自分自身にも、将来そのツケが回ってくることになりかねない。

もう一つ記事を紹介しておきます。最近は、中国での感染者数の増加がゆるやかになりつつあるようだが(例によって政府による情報操作の可能性もある)、その背景にある現地での徹底した感染予防策のルポ。南京市で映像制作を仕事としている日本人によるものです。

街中で体温検査 「新規感染者ゼロの街」新型コロナ封じ込め徹底する中国・南京を歩く

「人権無視の中国だから可能、日本では無理」という声が挙がって当然の内容ですが、日本でも今後感染が広まり続けるのであれば、同様の対策を取らざるを得なくなるかもしれない。タクシーの中をビニールで仕切るというのは、日本でもすぐにできる対策だと思います。

/P太拝

米国の医療体制の実態、あまりにも高額

 あいかわらず新型肺炎の話になりますが、総理による唐突な全国での休校指示に対するとまどいの声が広がっているようです。何かやらないと「指導力がない」とみなされるので、「全国一斉の生産・営業停止」に比べればまだ経済的な影響が小さい「全国一斉休校」を選択したように見えます。

 前日の鈴木北海道知事による、決然たる「道内一斉休校」宣言が安倍総理を大いに刺激したことは疑いない。低下しつつある内閣支持率の回復が主たる目的でしょう。鈴木知事と違うのは、総理は「結果の全責任は自分が取る」とは言わなかったことです。

(ちなみに、鈴木知事は既に中国でも大人気のようです。「北海道の鈴木知事が中国で大注目」)

この総理が指示した「全国一斉休校」の有効性に対する疑問を指摘する声も挙がっています。

新型コロナ「衝撃の休校要請」…多くの医師が疑問を抱いている -子どもたちにしわ寄せを強いる古い発想-」 

 この記事の末尾にあるように、「休校するかどうかは個々の家庭の判断にまかせ、国は休校した家庭の経済的支援に努める」という程度の政策にとどめるべきだったのではないでしょうか。

 さて、表題の米国の医療体制の実態ですが、昨日、衝撃的な記事を読みました。

米国でコロナウイルスの検査に行ったら35万円。請求額に息も絶え絶え

 米国での年収600万円は、階級としては「中の下」くらいでしょうか。このクラスですら検査を躊躇するようでは、米国民の半分くらいは症状が出ても検査を受けに行こうとはしないでしょう。今後、米国でもウィルス対策の補正予算が組まれるでしょうが、それほど安くなるとも思えない。米国の医療業界にとっては大儲けの絶好のチャンスとなるでしょう。

 二日ほど前に読んだ記事では、ちょうど今、米国に来ている日本人が幼児の娘とともにインフルエンザにかかり、医者の診断を受けてタミフルを買ったが、診断料と薬代あわせて約300ドル、日本円で約3万3千円を支払ったとのこと。調べてみたら、日本では同等の医療は高くても5~7千円ですむようです。やはり、国民皆保険のない米国では、十分な医療を受けられるのは「上級国民」だけらしい。

 今後、米国国内でこの新型肺炎が猛威をふるうことになるのは、上に述べた国内の医療格差の存在と、このウィルスの感染力の強さから見てほぼ確実でしょう。民主主義が国是の米国で、中国のような人権無視の隔離政策や強制措置が実行できるはずもない。ニューヨーク株価は連日暴落しているが、患者数が増えるたびにさらに落ち込むことも確実。リーマンショックに近い、あるいはそれ以上の経済の落ち込みが今後予想されます。

 唯一の明るい材料は、そうなった場合にはトランプ大統領の二期目はほぼありえなくなるということ。この新型コロナウィルスの登場によって、米国内の医療格差の大きさがあらためて注目されることになれば、到底トランプの勝ち目はなくなる。子供の頃から甘やかされて育った人間に特有の、あの舌足らずで甘ったれた不快な声を来年からもう聞かなくてすむと思うと、実に喜ばしい。

 できることならば、同様な声の持ち主である我が国のトップにも、さっさと退陣してもらいたいものです。テレビのニュースで顔を見るたびに、舌打ちしながらチャンネルを切り替えなくてもすむようになるからです。

/P太拝

新型肺炎ウィルスの検査数について(続き)

新型肺炎の拡散については日ごとに拡散の状況が変わっているのだが、その事態はいよいよのっぴきならない段階に達しつつあるように思う。まずは、政治家と官僚のくだらない自己保身にまつわる話から始めたい。

最初に昨日の当ブログ記事に関する補足について。次の記事は、昨日時点での国内各テレビ局の新型肺炎に関する報道状況を伝えている。残念ながら筆者は完全な朝方人間であり、最近は夜の十時を過ぎて起きていることはめったになく、このNEWS23を見たことは(筑紫哲也さんがMCであった時代を最後として)近年は記憶にない。

内容の概要は、昨日の同局の報道で筆者が見聞きした内容におおむね沿っているものだと思う。この記事は個人名義なので、Yahooでもかなり長期間掲載されるはずだ。

「「検査が遅いのは厚労省側のウラが?」新型コロナ対策で「NEWS23」上昌広さんの辛口解説を聞け!」

筆者が抱いた印象の裏付けになるが、まともに独自の視点から報道していたのはやはりTBSくらいしかなかったとのこと。他局はおおむね政府広報の垂れ流し、フジサンケイに至っては感染症の専門家すら招くことがなかったそうである(芸能人ゴシップと中韓叩きが売り物の同局に、第三者視点からの公正な報道を期待するのは元々から無理な話)。

この記事の中の文章を以下に抜粋しておこう。

「こういう緊急時にこそ、人びとが頼るべきなのは報道機関だ。緊急対応に追われる政府にも間違っている点があるのではないかと批判的に見る視点だ。ともすれば、こういう緊急時になってくると政府が発表する方針などを盲従して解説するニュースが多くなっていく。他方で、そうした政府方針そのものを批判的に捉える報道は姿を消しがちだ。・・・」

さて本日夕方、他局のニュースものぞいていたら、1chの日本海テレビ日本テレビ系列。読売新聞系列で基本的には政府寄りであるが、8chのフジサンケイ系列ほどに露骨ではない))が、ちようど重要なニュースを流していた。以下、箇条書き。

① 本日の国会における加藤厚労相の答弁では、最近の検査数は多い日で1000人程度とのことだが、2/18に約束した3800人とは大差がある。昨日のTBS報道の人数よりも大幅に増えているが、その背景についてはまだよくわからない。

② 同局が某検査会社に取材したところ、国からの依頼により検査体制を整え専任担当を四人配置したものの、未だに国からは一件も検査依頼が来ないとのこと。

③ 本日時点で、韓国では最大で一日15000人の検査体制を整え、開始してからの延べ検査人数は既に45000人に達したとのこと。

④ 本日の国会で立憲民主の議員が検査数の少なさを追求したところ、厚労相は「財源的に保健所での検査しかできない」と答弁。

以上の内容から浮き彫りになってくるのは、なるべく検査件数を抑えて感染者数を極力少なく見せようとしている安倍内閣の姿である。

④については、閣議決定で一般医療機関での検査も予備費投入で無料にすれば済むことなのに、なぜやろうとしないのか?やっぱり、東京五輪への影響を心配して意図的に感染者数を低く見せようとしているとしかみえない。

これらの決定は、無論、加藤厚労相だけの判断でできるはずもなく、トップである総理の指示でそうしているとしか思えない。検査希望者への対応をたらいまわししている間に、潜在的な感染者数はどんどん増え続けているのだろう。安倍氏にしてみれば、今さら国内感染の実態を示す希望者の全数検査など、怖すぎて絶対にできないのかもしれない。

さて、今日の報道の中で注目すべきは次のニュースである。

新型コロナ、中国・広東省 退院患者の14%から陽性反応

これが事実ならば、この夏の東京五輪の開催はあきらめた方がよかろう。この騒動が長引くことが確実となるからである。ウィルスを持っているのか、本当に治癒して他人に移すおそれがないかわからない状況では、日本を目指して多くの観戦客が押しかけてくるとは到底思えない。金儲け命のIOCも難色を示すことだろう。第一、汚染地の日本に来たがる選手が、はたして何人いるだろうか。

誰にも歓迎されない五輪は、いっそのこと開催しない方がましである。1980年のモスクワ五輪の二の舞となりかねない。「努力してきた選手が可哀そう」との声が上がるかもしれないが、暫定的に2021年の世界選手権の勝者に五輪メダルを与える等の処置も、この非常事態においてはあり得ると思う。

/P太拝

なぜ、日本の新型肺炎ウィルスの検査数は、韓国のそれの数十分の一なのか?

先ほどTBS系の夕方のニュースを見ていたら、気になる報道がありました(NHKのローカルニュースは県と市の広報の垂れ流しで、独自の視点が無くて全くつまらないので、最近の夕方のニュースはもっぱら6CHを見ている)。新型肺炎ウィルスの検査数(PCR検査数)は、ここ数日は、日本が韓国の数十分の一、日によっては百分の一以下の時もあるとか。細かい数字はメモしなかったが、昨日もテレビ朝日系で似たような報道があったとのこと。その記事を以下に紹介しておきます。

「玉川徹氏 韓国のPCR検査能力1日5000件に「日本の医療態勢が韓国以下のわけが…やってないだけ」」

フジサンケイグループはここ数日、「韓国の感染者数が日本のそれを上回った!」と大々的に報じているようだ。しかし、両国の検査数の間に圧倒的な差があることを報じないようでは、意図的なフェイクニュースまがいを垂れ流して日本人の優越感をあおることで産経新聞を買わせたりクリック数をかせいだりするという、彼らのいつもの営業手法の一環と評するしかない。

そもそも、昨日の記事にも書いたが、「2月18日からは最大1日3000件超の検査体制を整えたと加藤厚労相が発表した」という報道自体がウソだったことになる。ここ数日の検査数の実態は一日に100件程度なのである。

この理由は、昨日も書いたように「国民の命よりも厚労省管轄の公共事業優先」という背景があるのかもしれない。しかし、先ほど見たニュースの中で、ある評者が面白いことを言っていた。「今の時期に感染者数を増やすと東京五輪に差し支えるから、政府は意図的に感染者数を抑えようとしているのではないか?」

これが本当ならば、「国民の命よりも自分のメンツを気にしている安倍某なんぞは、さっさと退陣しろ!」と言いたい!自分のメンツにこだわった国のトップが適切な対応を見送っていた間に、既に、韓国以上に、日本の街中を何万人もの無自覚の感染者が歩いているのかも知れない。

もう一つ心配なのはアメリカの感染状況だ。今日現在、公式には数十人程度ということになっているが、なにしろ富裕層しか医療保険に入っていない国なのである。アメリカの実態についてはよくは知らないが、風邪をひいて医者にかかるだけでも数万円は取られるとか聞く。医者とは無縁の貧困層でどのような病気が実際に流行っているのか、米国人でさえ誰も実状を把握してはいないだろう。

既に米国内で一万人以上が死亡しているというこの冬のインフルエンザ患者の中に、この新型肺炎の患者がかなり含まれている可能性もある。医療の手の届かない貧困層でこの新型肺炎がいったん蔓延したら、中国以上に長引くのは当然予測されることだ。

国民皆保険に強硬に反対しているトランプが「アメリカは完全に感染を阻止する自信がある」とことさら強調するのも無理もない。いったん感染が広がってしまったら、彼が二期目の大統領に就任することはあり得ないからだ。

米国の株式の時価総額は世界の約半分。アメリカで感染に起因する経済パニックが始まったら、リーマンショック以上の経済的打撃を世界に対して与えることは間違いないだろう。その確率はかなり高くなってきたようだ。

念のために付け加えておくが、筆者はこの新型肺炎自体は、症例に関する報道から判断するに、従来のインフルエンザのやや強力なもの程度ではないかとみている。ただし感染力がかなり強力らしく、感染の広がり方は従来よりも速い。現代では、世界中のニュースが数十分以内に世界全体に伝わる体制になってしまったので、ニュースに対して過剰に反応し過ぎている傾向があるように思う。具体的なデータを見ながら冷静に判断することを忘れてはならない。

/P太拝

新型肺炎の記事

 先週末から花粉が飛び始めたのか、目がかゆくなって涙が出る。のども痛いし鼻水も出る。新型肺炎のせいで、どこの店に行ってもマスクが手に入らないので対応に困ってしまう。今年は鼻炎対策の薬だけだけで何とかしのぐしかないようだ。

 さて、最近読んだ新型肺炎関連の記事を何本か紹介します。

(1)「新型コロナウィルスに感染するとこうなる

三日前の記事ですが、詳しい病状が載っていて、万一感染した際の参考になります。「インフルエンザの少し強いやつ」くらいに思っていたが、読んでいるうちにだんだん怖くなってきました。

(2)「岩田教授の告発が暴いた…新型コロナを「人災」にした厚労省の大失態

神戸大の岩田教授がいったんアップした告発動画を取り下げた理由は明らかではないが、たぶん上からの強い圧力に負けたのでしょう。

内閣が設置した専門家会議のトップを出している国立感染症研究所厚労省の下部組織に過ぎない実態からみれば、今回の大失敗に終わったクルーズ船対策の責任が厚労省幹部にあることは明白。

「・・・プロの専門家でもない官僚が全体を仕切り、その結果、感染が広がって、本当の専門家には批判される。それが、いまの時点だ。これは、どこかで見た風景ではないか。そう、最初に告発した医師が死亡した中国・武漢である。・・・」 

(3)「新型コロナ、厚労省が最新検査法を導入しない呆れた理由

厚労省の対策がことごとく後手に回っている理由が書いてあります。Yahooの記事の大半は数日中に消されてしまうので、以下、肝心な部分を引用しておきます。(元々の記事は、女性セブン2020年3月5日号)

「これまで1日1000件程度しか行えなかったPCR検査を、2月18日からは最大1日3000件超の検査体制を整えたと加藤厚労相が発表した。しかし、ここにも大きな問題が潜んでいる。
「スイスの製薬会社『ロシュ』が開発した遺伝子検査キットで、喉の粘膜をとればいいだけの簡単なものも、すでに実用化されています。しかし、日本政府はなぜか頑なに導入していません。理由は、厚労省が検査方法を独自開発するために予算をつけ、公共事業にしたからです。最初からロシュの検査キットを使っていれば、クルーズ船の感染拡大をもう少し抑えられたかもしれません」(前出・上さん)・・・」 

「ナビタスクリニック理事長の久住英二さんも、厚労省の“不手際”を指摘する。
『中国ではすでに、CT検査が有効という論文があがり、すぐに切り替えました。しかし、厚労省はそうした最新の検査法を導入していません。感染が流行った国が対応している方法や論文を見て対応すべきなのに、どういう検査が優れているかという最新情報を知らないんです。その結果、本当は陽性なのに陰性と判断される人が増えています。
 しかも、ワクチンに関しても、国内のワクチンメーカーは厚労省天下り先なので、日本で作ろうとしている。なぜ海外のメーカーと協力体制をとらないのか。国民の健康を省みないため、あらゆる対応が後手に回っています』・・・」

 自分の天下り先を守り、「自省の縄張りとしての」公共事業の権益と枠組を死守しようとする厚労省。日本では、国政だけでなくて地方行政でも日常的に見る構図だ。

官僚や政治家が「国民を守るよりも自分の保身の方を最優先する」という点については、日本も中国と同質なのである。

/P太拝

教育問題がらみの漫画の紹介

 さきほど読んだ漫画の紹介です。

「成人式、普通に行けなくてごめんなさい」

 私はこの漫画の作者の深谷さんよりも一回り近く年上ですが、成人式の日は式に出ないで街でパチンコしてましたね。確かに我々の世代にも、人と違うことをやる方がカッコいいという雰囲気はありました。

 また、自分が小学校、中学校に通っていた間、勉強のできる子と、できない子、可愛い子と、そうでもない子、クラス全員のそれぞれが自分の居場所が確保できていたように思います。誰かがいじめが原因で学校に来なくなったという記憶は全くありません。皆、学校に来るのが大好きだったようです。ただし、家庭の貧困のためと当時推測したのだが、長期欠席後に学校に全く来なくなった同級生が中学時代に二人いました。

 最近、学校でも会社でも、みんなと同じようにふるまわないといじめを受けるという同調圧力が年々強まるのはなぜなんでしょうか。管理する側にとっては、その方がやりやすいのは確かですが。でも先生の側でもいじめられる先生が増えていると聞きます。他者に対する不寛容さが、日本社会にまん延しつつあるのかもしれません。

 自宅にいる日には、15h過ぎに近くの中学校の生徒が帰宅する姿をよく見かけます。女子生徒はたいてい二、三人で楽しそうに笑いあいながら歩いているが、中には 一人で下を向いたまま悲しそうな表情で足早に帰っていく女の子もいます。「この子、大丈夫だろうか」とよく思います。その点、男子生徒は一人で歩いていても、たいていはあっけらかんとした表情です。

 もう一つ、これも教育にまつわる漫画。

「「それだけは言ってほしくなかった」不登校だった母の内面」

 「オンライン学習+不登校」で検索してみると、サイトがたくさん出てきます。自宅にいてもネット経由で十分な学習ができるようになったのだから、毎日学校に行かなければならないという固定観念からそろそろ解放されたほうがいいように思います。

/P太拝

新型肺炎に思う、これからの中国

  以前、中国で一緒に働いていた知人が、現在は華北の某市に住んでいます。連日の報道にだんだん心配になり、先週メールで現地の状況を問い合わせてみました。帰ってきた返事は「マスク不足でほとんど外出できなくなってしまい、実に困っている」とのこと。

 わずかでも送ってあげれば助けになるかと思い、さっそく鳥取市内のドラッグストアやスーパーを数軒回ってみました。しかし、どこに行っても、本当にマスクがない!どこの店でも、マスク売り場だけがほぼ空っぽという異常な状態。数個だけ棚においてある店もあったが、その横には「一家族につき一個だけ販売します」との張り紙。これではどうしようもない。

 家に帰って家族に話したら、「先月から既にマスク不足、世間知らず。」と笑われました。これだけマスク不足が深刻だとは思わなかった。もしも、これから日本でも感染が広まってしまったら、我々もマスク不足で苦しむことになりかねない。

 そんなこんなで心配になり、今回の新型肺炎の蔓延状況について改めて調べてみました。

・死亡率 「新型ウイルス、全国の死亡率は2.1%、 武漢は4.9% 中国衛生当局」

 「2/4の時点で、死者は湖北省に集中していて全国の97%を占め、湖北省の確定感染者の死亡率は3.1%。武漢市の死者数は全国の74%を占め、武漢市の死亡率は4.9%」。対して「湖北省を除くその他地域の死亡率は0.16%」とのこと。

 武漢市の死亡率が異常に高いのは、既に感染してしまった膨大な患者数に対して医療体制が全く追い付いていず、実質的に医療現場が崩壊してしまっているためと推測されます。発生患者数が少ない湖北省以外の中国国内では、従来の医療体制で対応できるために症状が悪化する例は極く少ないようです。

 

・日本国内での蔓延の危険性について

 医療当事者による最近の記事を以下に三件紹介しておきます。上に述べた「湖北省以外の中国国内」と同様に、患者の発生が単発的であれば現在の日本の医療体制で十分に対応できるので、それほど恐れる必要はないとのこと。用心するに越したことはありませんが、健康な人に関しては通常のインフルエンザよりも少し危険度が上がるという程度のようです。ただし、免疫力が低下している高齢者、および持病を持っている人に関しては、十分に注意する必要があります。

「新型コロナウイルス、メディアは危険性を強調しすぎ? 専門家「日本の感染拡大予防策はおおむね成功」」

「新型コロナウイルス感染症 実際に診た医師の印象」

「ワクチンも治療法もない新型肺炎。一般人ができる最大の「防衛策」は?」

 
 さて、この新型肺炎騒動は今後の中国に対してどのような影響を与えるのでしょうか。経済的な影響については連日のように報道されているので、あらためてここに書くまでもなく、以下、社会的な側面について考えてみたいと思います。

 そもそも、武漢でこれほどまでに感染が広がった原因が、湖北省武漢市の幹部に蔓延している「上部からの指示待ち」体質にあることは明らかです。

「新型肺炎は人災、「習近平に追従」で出世の弊害露呈 」

 上ばかり見上げては上司からの評価に一喜一憂し、人民の困窮に目をそらして彼らから取り上げた税金に寄生しているだけの「ヒラメ官僚」や「カレイ小役人」の増加はなにも湖北省だけに限ったことではないらしい。政治体制がトップダウンになればなるほどに、この種の役人が増えていくのは間違いない。中国に限った話ではなくて、長期政権が続く日本でも同様に隠蔽官僚が増えていることは、日々の新聞の紙面を見ればすぐに判ることだ。

 ただし、日本の役人の隠蔽体質がまだ中国ほどにはひどくないのは、日本社会の意思決定プロセスが主としてボトムアップによっているためだろう。組織の中に気骨ある人間が存在する場合には、部下であっても上層部に対して上からの方針と異なる対案を逆提案することもおおむね許されている。日本社会の弱点は、むしろ、組織の上層部があまりにもリーダーシップを取りたがらないという点にあると思う。

 先月末から一連の新型肺炎に関する記事を読んだり見たりしていて、筆者が注目したのは一週間ほど前に見たTBS系列のテレビ報道でした。武漢市内の医療スタッフが出勤の交通手段の確保ができずに困っている中、ボランティアの青年が無償で自分の車を運転してスタッフを病院まで送り届けていました。市政府があてにならないので、自分たちで自主的に行動する姿勢が生まれつつある。

 このようなボランティアの登場は、2008年の四川大震災の辺りから目立つようになってきています。無能で隠蔽体質の役人を批判していても一向にラチがあかないので、自ら行動して社会を良くしていこうという積極的な市民が増えているようです。

 もう一つ注目した記事は、ボランティアの登場とは対照的な、復古的な動きについてのものです。

「新型肺炎ショックが、中国共産党の「致命的弱体化」をさらけ出した」

 中国の伝統的な統治体制では、科挙中央政府に採用された役人は全国各地を転々と異動するのですが、彼らの統治は県レベルよりも上の領域にとどまり、県を構成する数多くの農村集落内の統治はそれぞれの集落の自治に任されていました。集落は主として父系を同じくする宗族ごとに構成されており、現在でも「李家村」(李家の村)とか「王家村」(王家の村)というような集落名が至るところに残っています。

 中央政府の法律は集落内までは及ばず、現代でも中国人が国の法律を軽視する傾向にあるのは、この伝統が影響しているようです。また、中国人の、いったん人間関係ができた人に対しては非常に手厚くもてなすが、無関係な人に対しては極めて冷淡な傾向があるというのも、この宗族意識の延長線上にあるのではないかと思います。「国家は税金を取り立てるだけで、結局はあてにはならない。本当に頼りになるのは、親戚をはじめとする身内だけ。」というのが中国人の本音でしょう。

 この宗族を基本とする集落自治体制は、1949年の共産党政権の成立後に徐々に解体され、1966年から始まった文化大革命で個人が直接共産党に結び付くことを強制されたことにより、いったんは完全消滅したかのように見えました。しかし、結局、共産党は宗族に代わる新たな中国社会の紐帯とはなりえなかったようです。今世紀に入ってからの中国共産党による法輪功への大弾圧、最近の無認可キリスト教会に対する大規模な打ちこわしなどは、国民相互を結びつける社会の紐帯としての宗教団体の台頭を中国共産党が何よりも恐れていることの裏返しです。

 話は脱線しますが、華南の工場で働いていたころ、休日に市内の仏教寺院を訪問したことがありました。意外に思ったのは、参拝者の多くが若い世代であり年配者が少なかったことでした。若い世代ほど精神的にすがる何かを求めているように見えました。ちなみに、お寺の壁には「中国仏教界は、中国共産党の全面的な指導の下に活動しています」というような意味の文章が大きく掲げられていました。

 今回の新型肺炎騒動がなかなか収束しない場合、あるいはこれがきっかけで中国経済が大幅に落ち込んだ場合、習近平体制の信頼の失墜は当然予想されることです。国民に選挙で信任されていない中国共産党がその独裁的統治の正当性の根拠としているのは、かっては「侵略者の日本軍を追い出した」ことでしたが、現在では「順調な経済発展により国民をみな豊かにするという政府の約束と、それに対する国民からの期待」にしかありません。いったん経済が落ち込めば、「かっての宗族集団や地域小集団の方が、共産党よりも頼りになる」という意識が生まれかねません。

 昔の貧困な中国を知っていて「中国の急速な経済発展は共産党の指導のおかげ」と考える傾向が強い文革経験世代は既に中国国民の半分以下となり、順調な経済発展の時代しか知らない四十才台以下が国民の過半数となっています。経済のつまづきが中国政治の大転換に直結することは大いにありうることです。

 中国経済の動向は各都市の不動産価格の動向を見るのが判りやすいと思います。中国人が日本に来て爆買いができるのも不動産価格の高騰があればこそです。現在の大都市のマンション価格は既にかっての日本のバブル期以上と言ってよく、中央政府は不動産価格の急落を必死になって食い止めようとするでしょうが、今回の肺炎騒動をきっかけにいつ暴落が始まってももおかしくない。中国経済がパニック化すれば日本経済に与える影響も深刻でしょう。今後の中国の地価動向に要注目です。

/P太拝

いい記事がありましたので紹介します

今日、ぼんやりとあれこれいろんな記事を読んでたら、なんともいい記事がありました。以下、紹介しておきます。なんだか、現代の神話を読んでいるような気分になりました。

「甘えない男の子に渡せなかったぬいぐるみ 27年後にかけた言葉」

藤元さんやお二人の老夫婦のような人たちが増えたら、もっと住みやすい世の中になるのでしょうね。

人に期待ばかりしていないで、まず自分がそうなるべきなんでしょうけど。

/P太拝